GAME REPORT
ゲームレポート
GAME1 2021.05.29[SAT]
「待ち望んだ2シーズンぶりの頂上決戦」
5月29日(土)、横浜アリーナで「日本生命 B.LEAGUE FINALS 2020-21」GAME1が行われた。 2シーズンぶりの開催となったチャンピオンシップを勝ち進み、この大舞台に辿り着いたのは宇都宮ブレックスと千葉ジェッツ。 宇都宮は地区1位に与えられたホームアドバンテージを存分に生かし、4戦負けなしでリーグ王者に輝いた初年度以来のファイナル進出を決めた。 一方の千葉は、これが3度目の横浜アリーナ。琉球ゴールデンキングスとのセミファイナルは敵地での戦いを強いられたが、GAME3までもつれた激闘を制した。 リーグトップの守備力を誇る宇都宮と、リーグ平均89.0得点の攻撃力を武器に勝ち上がった千葉による頂上決戦。互いの意地とプライドがぶつかり合った初戦は、後半に明暗がわかれた。
先手を取った千葉だが、宇都宮も譲らず
注目の立ち上がり。まずは千葉が#31 原、#2 富樫の連続3ポイントシュートで先手を取った。 序盤で8-2とされた宇都宮だが、速攻から#40 スコット、#5 ピークのダンクが飛び出し同点に追いつく。 中盤以降、両軍ともにベンチメンバーを送り出し変化をつけると、残り2分26秒に#6 比江島が3ポイントを射抜いて宇都宮が3点リード。 千葉はこの直後にタイムアウトをとり流れを断ち、#2 富樫に代わって入った#11 西村がシュートを決めて再び前へ。千葉が2点をリードして第1Qを終えた。
リバウンドで優位に立った千葉
第2Qも#12 ショーターの連続得点で千葉が先行し、序盤で7点差に広げる。 対する宇都宮は千葉の守備の前に苦戦。 なかなかインサイドを崩せず、アウトサイドシュートを打たされる時間が続く。 だが、残り4分43秒に#9 遠藤がバスケットカウントをマークすると、#4 ギブス、#22 ロシター、#40 スコットのビッグラインナップを敷いて反撃。 一気に1点差まで詰め寄ったが、千葉も#22 サイズを中心に13本のリバウンドを拾って対抗し、36-35で前半が終了した。
千葉が堅守速攻で流れを掴む
第3クォーターも、ロースコアながらコンスタントに加点していく千葉。 守備ではゾーンディフェンスで揺さぶり相手のリズムを崩しにかかる。 放つシュートが嫌われ続けた宇都宮は、6点ビハインドになったところで後半最初のタイムアウト。 しかし、ここから勢いに乗ったのは千葉だった。 #21 エドワーズ、#12 ショーターのファストブレイクで突き放し、この10分間を21-11で制した。
宇都宮は最後まで活路を見出せず…
流れを戻したい宇都宮。 57-46で迎えた最終Qは序盤からオールコートディフェンスを仕掛けたが、#4 フリッピンに突破を許すと、攻撃では#5 ピークが連続ターンオーバーを犯してしまい点差は15点に。 さらには、ここで#2 富樫が貴重な3ポイントを沈めて横浜アリーナを沸かす。 残り5分で53-69。第3Qから主導権を握った千葉が、最後まで宇都宮を押し切りGAME1をものにした。
大野HC「もう1つ勝たないと意味がない」
65-85と思わぬ差がついた初戦。 千葉・大野篤史ヘッドコーチは、第3Qに流れを引き寄せた要因を「選手たちが40分間ハードワークし続けた結果」と話した。 だが、「もう1つ勝たないと意味がない」と続けたように、今季のファイナルはこれで終わらない。 これまでの一発勝負とは異なり、初めて2戦先勝方式が採用されたからだ。 運命のGAME2は15時ティップオフ。千葉が決めるか、それとも宇都宮がやり返すか。 いずれにせよ、明日、Bリーグは未知の領域へと踏み入れることになる。
GAME2 2021.05.30[SUN]
「決めるか、戻すか。天下分け目のGAME2」
千葉ジェッツが初優勝に王手をかけて迎えた5月30日(日)の「日本生命 B.LEAGUE FINALS 2020-21」。 B.LEAGUEはこの日、発足から5年目にして初の“ファイナルGAME2”を行うこととなった。 前日のGAME1は、85-65という予想外の差で決着。 勝敗を分けたのはリバウンドだ。 宇都宮ブレックスが40分間で30本に留まったのに対し、千葉は44本。 そのうち16本のオフェンスリバウンドをもぎ取り、セカンドチャンスから24得点を積み上げた。 追い込まれた宇都宮が修正力を発揮するか、千葉が勢いのままに駆け上がるか。 現地時間15時、運命のGAME2が幕を開けた。
追い込まれた宇都宮が好スタート
千葉は#22 サイズ、宇都宮は#9 遠藤がチームのファーストシュートを決めて試合がスタート。 開始約1分30秒で7-5とテンポよくスコアが刻まれたが、宇都宮は#5 ピークがドライブからバスケットカウントをねじ込み7点をリードした。 千葉が請求したタイムアウト後も、宇都宮は6-0のランで早くも点差を2桁に。 引き離されたくない千葉。 ベンチスタートの#4 フリッピンが連続得点で食い下がったが、#13 渡邉にやり返されてしまい、1Qは26-16で宇都宮が上回った。
5本の3Pシュート攻勢でさらに加速
2Qは、#4 ギブスの3Pシュートで宇都宮が先制。 さらには#18 鵤のジャンプシュート、#10 竹内のオフェンスリバウンドから#13 渡邉がこの日2本目の長距離砲を沈めて突き放す。 15点ビハインドを背負った千葉は、インサイドからの得点でつないで我慢を強いられる展開。 だが、宇都宮の勢いは止まらず、3Pシュート、バスケットカウントで点差を拡大していく。 終盤には#22 ロシターが攻守で存在感を示し、前半を終えてのスコアは52-32。 負ければ終わりの宇都宮がリバウンド争いでも優位に立ち、ハーフタイムを迎えた。
追いつきたい千葉だったが、3Qは拮抗
追いつくにはディフェンスの修正が求められる千葉。 しかし、宇都宮は冷静なパス回しからオープンショット、リバウンドからの速攻で加点し試合を進める。 中盤以降は互いのターンオーバーが目立つ時間帯があり、千葉は#11 西村にゲームコントロールを託した。 それでも、この10分間で点差を縮めることができず、68-48で最終クォーターへ。
主導権を握り続けた宇都宮がリベンジ
最終クォーター、千葉はディフェンスで意地を見せ、残り5分10秒まで宇都宮を無得点に抑え込む。 一方の宇都宮も、#22 サイズや#1 ダンカンのインサイドアタックをチームディフェンスで凌ぎ、依然として反撃の糸口を掴ませず。 残り3分35秒からは#4 ギブスのバスケットカウントで#1 ダンカンをファウルアウトへ追いやり、ルーズボールには#13 渡邉が飛び込んで最後までエナジーを注入。 ほぼ勝敗が決まった終盤、#31 喜多川、#0 田臥がコートに立つと、宇都宮のファンからは一段と大きな拍手が送られた。 千葉は最後まで宇都宮を脅かすことができず、GAME2は83-59でタイムアップ。
優勝の行方はGAME3へ
宇都宮は前日の鬱憤(うっぷん)を晴らすかのように千葉を圧倒した。 だが、ヒーローインタビューでの#22 ロシターの言葉を借りれば「この勝利はもう過去のこと」。 6月1日(火)に王者が決まる2020-21シーズンのファイナルは、一体、どんな結末が待っているのだろうか。
GAME3 2021.06.01[TUE]
「シーズンを締め括る至高の最終戦」
6月1日(火)、ついにB.LEAGUE 2020-21シーズンのチャンピオンが決まる。 「日本生命 B.LEAGUE FINALS 2020-21」は、GAME1を千葉ジェッツが、GAME2を宇都宮ブレックスがものにして1勝1敗の五分。 優勝の行方はGAME3へと持ち越された。 最後のブザーが鳴ったとき、待ち受ける結末は王座奪還か、それとも初優勝か――。 泣いても笑っても、今シーズンを締め括るラストゲーム。 両者ともに死力を尽くした一戦は、観る者の心を震わせた。
千葉の決定率が上回った1Q
宇都宮ボールで試合が始まると、#22 ロシターのパスに合わせた#5 ピークが先取点をマーク。 #18 鵤が千葉 #2 富樫を振り切って5点を積み上げるも、千葉は#14 佐藤、#31 原の3Pシュートで返した。 10-10の残り5分57秒からは、両チームともベンチメンバーを投入。 中を起点にスコアする宇都宮に対し、千葉はビッグマンの3Pシュートが決まり、相手にタイムアウトを取らせる。 残り1分18秒には#11 西村が宇都宮 #13 渡邉のファウルを受けながらもタフショットを決めて宇都宮16-21千葉とした。
一時10点差がつくも、宇都宮が反撃
#11 西村は3点差で迎えた2Qにも、先制の3Pシュートを決めてチームを牽引。 宇都宮の圧に対しても落ち着いてパスを配給し、序盤で18-28とした。 詰め寄りたい宇都宮。 #22 ロシターと#9 遠藤の連続3Pシュートで反撃を開始すると、残り3分18秒で同点に追いつく。 終盤には千葉 #2 富樫、宇都宮 #6 比江島が3Pシュートを打ち合い、両者一歩も譲らない。 試合開始から繰り広げられた息詰まる攻防は、35-35で折り返した。
さらに激しさを増した後半
やや重い立ち上がりとなった後半。 しかし、宇都宮は千葉のタイムアウト後に速攻を展開すると、#2 富樫からアンスポーツマンライクファウルを誘発。 前半から守備の強度を上げて千葉を苦しめ、攻撃では#22 ロシターが速攻からダンクを叩き込んだ。 それでも、千葉も負けじとボールへの執着心を見せ、#21 エドワーズのダンク、バスケットカウントなどで応戦。 残り2分17秒で44-46とリードを奪い返した。 決めては返す展開が続いた3Q。勝負は50-50で4Qに突入した。
ラスト10分は最終盤で明暗
一つひとつのプレーが一層重みを増すラスト10分。 両チームともに序盤で宇都宮#22 ロシター、千葉 #2 富樫らをコートへ戻し勝負に出た。 試合終了残り5分で56-57。 ここから千葉は、速攻から#2 富樫がリバースレイアップを沈めて3点差とする。 宇都宮は残り3分19秒で#6 比江島が4つ目のファウルを宣告されたが、指揮官はコートへ残すことを決断。 しかし、残り1分44秒にオフェンスファウルをコールされ無念のファウルアウト。 3点が遠い宇都宮に対し、優勝を大きく手繰り寄せたのは千葉だった。 残り38秒、#22 サイズがオフェンスリバウンドから得点を決めて60-65。 これで得た点差を最後まで守りきり、歓喜の時を迎えた。
3度目の正直。ようやく辿り着いた“てっぺん”
最終スコア 宇都宮 62-71 千葉。
声なき黄援と声炎が激しくぶつ合った横浜アリーナは、歓喜と悲哀が入り混じる。
大野篤史ヘッドコーチの目には光るものが見えた。
#2 富樫は声を震わせながら、コート上で喜びの声を語り、今季のB.LEAGUEを支えた方々へ感謝の言葉を述べた。
「こういった厳しい状況の中でファイナルまでできたことが本当に良かった」。
これまでの悔しさを知る者も、知らない者も、選手、スタッフ、ファン・ブースターがひとつになって掴んだ初の栄冠。
“きたぜてっぺん”