規約違反による制裁決定について
B.LEAGUEチェアマン 大河 正明は、下記の件について裁定委員会に諮問し制裁を決定いたしました。
■制裁対象者、制裁の種類・内容および制裁理由
1.制裁対象者:香川ファイブアローズ 衛藤 晃平 ヘッドコーチ
(ア)制裁の種類および内容:1 年間の公式試合に関わる全職務の停止
(イ)適用条項
①「Bリーグ規約」第3条 [遵守義務]第2項、第4項
②「Bリーグ規約」第122条 [制裁の種類]第2項4号
(ウ)違反行為の内容
①暴力行為について
1.2017年12月に開催された試合の終了後のロッカールームにおいて、選手に対し飛び蹴り、また胸倉を掴み暴言を吐いた行為。
2.2017-18シーズンの練習の際に、1回または2回にわたり、選手に対し顔面を平手打ちした行為。
3.2017-18シーズンの練習の際に(2017 年 11 月頃)、選手のプレーに激昂し、同選手の首を掴みゴール下から体育館の壁まで押しやり、暴言を吐いた行為。なお、同選手は、当該暴行やその他の暴言等により精神的に追いつめられ、体調を崩すに至った。
②暴言について
1.上記①1および3の暴力行為の際、相手に暴言を吐いた行為。
2.主に、若手の選手に対し、2017-18シーズンから2018-19シーズンにかけて試合中あるいは練習中、日常的に暴言を吐いた行為。
3.チームスタッフに対し、暴言を吐いた行為。
③その他
2018-19シーズン中、試合前等に実施のミーティングにおいて、直近の試合における所属選手のミスプレーについて、同選手を厳しくなじり、また、他の若手選手に対しても、試合中のミスプレーについて質問攻めにする、怒鳴り散らすなどの行為。
上記で認定した選手に対する暴力行為(有形力の行使)は、暴行罪(刑法第 208 条)にも該当する行為であり、当該暴力行為及び上記暴言等は、ヘッドコーチという強い優位性を背景に、指導等の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与え又はチーム環境を悪化させる行為であることから、パワーハラスメント※に該当し、規約に違反する行為である。
※本件において、パワーハラスメントについては、厚生労働省の定義に準じ、「チーム内における優位性を背景に、指導等の適正な範囲を超えて、精神的・身体的 苦痛を与える又はチーム環境を悪化させる行為」と定義する。
(エ) 制裁理由
①上記違反行為は、「豊かなスポーツ文化の振興および国民の心身の健全な発展に寄与する」というB.LEAGUEの目的に反する悪質なものであり、かつ、 B.LEAGUEや公益財団法人日本バスケットボール協会(以下、「JBA」という)ひいてはバスケットボール界全体の価値を貶めるものであり、厳に慎むべきものであるため。
②村上代表取締役社長より自己の言動への注意を受け、改善の機会があったにもかかわらず、その後も暴言等を繰り返したため。
2.制裁対象者:株式会社ファイブアローズ(香川ファイブアローズ) 村上 直実 代表取締役社長
(ア) 制裁の種類および内容:けん責および制裁金 100 万円
(イ) 適用条項:
①「Bリーグ規約」第3条 [遵守義務]第2項、第4項
②「Bリーグ規約」第122条 [制裁の種類]第2項1号・2号
③「Bリーグ規約」第132条[2,000万円以下の制裁金]1号
(ウ) 違反行為の内容
①2018年1月頃、B.LEAGUEが衛藤ヘッドコーチについて、匿名の方から暴言暴行の可能性があるという話を受け、村上代表取締役社長が衛藤ヘッドコーチへの事実確認を行った際、具体的な事実関係をしっかり把握することなく、一般的な注意をするに止まり、その後も 1、2 名の選手を対象に、通り一遍の聴取を行ったのみで、パワーハラスメントはないものと 速断し、過去のパワーハラスメントについて把握することができず、かつ、その後のパワーハラスメントを招いたこと。
②2017-18シーズン、2018-19シーズン終了後の所属選手との面談の際、複数の選手から、衛藤ヘッドコーチの問題行為について一定の訴えがあったものと認められるが、それにもかかわらず、具体的な対応を一切行っていないこと。
(エ) 制裁理由
①上記違反行為は、B.LEAGUEやJBAひいてはバスケットボール界全体の価値を貶めるものであり、厳に慎むべきものであるため。
②代表取締役社長というヘッドコーチよりも上位の立場にあり、かつ衛藤ヘッドコーチのパワーハラスメントを止めさせる機会が実際にあったにもかかわらず、 B.LEAGUEの理念に対する理解が不十分であり、かつ、選手らの切実な訴えへの配慮、人権意識等を著しく欠いていたことにより、理不尽な暴力や暴言の横行を招いたため。
3.制裁対象者:香川ファイブアローズ 津田 洋道 取締役兼エグゼクティブコーチ
(ア) 制裁の種類および内容:けん責および制裁金 50 万円
(イ) 適用条項:
①「Bリーグ規約」第3条 [遵守義務]第2項、第4項
②「Bリーグ規約」第122条 [制裁の種類]第2項1号・2号
③「Bリーグ規約」第132条[2,000万円以下の制裁金]1号
(ウ) 違反行為の内容
2017-18、2018-19シーズンの試合、練習に同行しており、衛藤ヘッドコーチの暴力・暴言に ついて認識していたものと認められるが、衛藤ヘッドコーチの当該言動に関して、衛藤ヘッドコーチを制止したり、注意したりするなどの必要な対応を一切行っていない。
(エ) 制裁理由
①上記違反行為は、B.LEAGUEやJBAひいてはバスケットボール界全体の価値を貶めるものであり、厳に慎むべきものであるため。
②取締役、エグゼクティブコーチという立場にあったにもかかわらず、B.LEAGUEの理念やパワーハラスメントに対する理解や選手等への配慮が不十分であり、結果として、衛藤ヘッドコーチの暴力や暴言が横行することとなったため。
4.制裁対象者:株式会社ファイブアローズ(香川ファイブアローズ)
(ア) 制裁の種類および内容:制裁金 100 万円
(イ) 適用条項:
①「Bリーグ規約」第3条 [遵守義務]第2項、第4項
②「Bリーグ規約」第122条 [制裁の種類]第1項2号
③「Bリーグ規約」第127条[両罰規定]
④「Bリーグ規約」第132条[2,000万円以下の制裁金]1号
(ウ) 違反行為の内容
上記、衛藤晃平ヘッドコーチ、村上直実代表取締役社長、津田洋道取締役兼エグゼクティブコーチの違反行為。
(エ) 制裁理由
衛藤ヘッドコーチのパワーハラスメント等およびクラブ役員らの不適切・不十分な対応は重大な規約違反であり、B.LEAGUEやJBAひいてはバスケットボール界全体の価値を貶めたことに鑑み、クラブの管理責任を問うもの。
■発覚から裁定決定までの経緯
1.2018年1月頃、匿名の方から香川ファイブアローズの衛藤ヘッドコーチの指導方法に問題があるのではないかとの情報を得る。
2.B.LEAGUEにて、香川に対し、上記内容が事実かどうかを確認したところ、香川側で独自調査を行ったが「そういった事実はない」との回答があった。
3.2019年3月中旬頃、JBA内に設置してある「インテグリティ委員会」にて対して衛藤ヘッドコーチの選手およびスタッフに対する暴力行為および暴言についての情報提供があり、同様の情報提供が2度目であったため調査を開始。
4.調査を進めたところ、複数年および複数の選手、スタッフが同様の行為を受けた、または見ていたことがわかり、関係のある多数の選手、スタッフに対し、慎重にヒアリングを行い、事実認定を行ったことで本制裁決定に至った。