バスケ新時代が華々しくスタート、新たな演出、新たな若手の台頭に注目!!
9月22日、東京・代々木第一体育館のアルバルク東京VS琉球ゴールデンキングス戦で、遂にスタートをきったB.LEAGUE。この試合は、バスケットボール界では異例となるゴールデンタイムでのTV地上波生中継もされた。そして22日、23日のチケットはどちらも完売、両日とも9,000人を超えるお客さんと、日本バスケットボール界において、かつてないスポットライトを浴びた歴史的開幕戦となったのは記憶に新しい。
文・写真◎鈴木栄一
そして、この熱狂は東京だけでなく、日本全国に波及。その結果、リーグが1つの目標としている5000人以上の観客を集めた試合、また、収容人数の都合から5000人には達しなくとも立ち見が出る文字通りの満員となった試合も少なくない。まさに北海道から沖縄まで、全国各地で多くのお客さんが、B.LEAGUEの試合を見ようと例年になくアリーナに足を運んでいる。
代々木第一での開幕戦は、全面LEDの世界でも例のない画期的なコートを使用したことでも大きな話題となり、B.LEAGUEがただのバスケットボールの試合ではない上質のスポーツエンターテイメントを提供していくことへの強い意志を示した。さすがにLEDコートは他の会場で導入されることはないが、演出面を大きくグレードアップさせたチームは数多い。
世界的な映像集団とタッグを組んでの斬新な演出を導入したり、得点など試合情報が会場のどこからでも見やすくなるように中央部に天井から吊るす巨大ディスプレイを新たに設置。試合前、選手紹介の演出でレーザー光線などを使うなど、より派手なものにすべく、各チームがより趣向をこらすようになっている。
そして、当然のように多くの観客が足を運んでくれることは、選手、スタッフにとって大きなやりがいとなっている。横浜ビー・コルセアーズの青木勇人HCはホーム開幕ゲームの後、満員の会場について感慨深げに語ったことが印象に残っている。「バスケットボールの未来を感じる試合だったと思います。これだけの大勢のお客さんが集まり1つ1つのプレーに盛り上がってくれました。小さい頃からバスケットボールをやってきて、いよいよこの時代が来たな、日本のバスケが1つになったと感じることができました。バスケットにここまで関わってきてよかったという思いが頭の中によぎりました」
また、各選手ともB.LEAGUEという新たな、そして、今までより大きなステージで活躍していこうと高いモチベーションを持っており、それが白熱の試合を生み出す原動力となっている。開幕戦の終了後、アルバルク東京の竹内譲次が「これからは、今まであまり知られていなかった選手も台頭してくると思います。自分としてはベテランとして、そういう選手に負けたくないです。一方、若い選手たちには今度は自分たちの番と、ベテランを食ってかかる気持ちでプレーしてほしいです」と述べていたが、彼のコメントのように昨季まで目立つ機会が少なかった選手たちの躍進も目立つシーズン序盤となっている。
例えば開幕ダッシュに成功した名古屋ダイヤモンドドルフィンズでは笹山貴哉が3ポイントを約50%の高確率で沈め、1試合平均で15得点近くをマーク。同期入団で、昨季NBL最後の新人王だった中東泰斗との若手ガードコンビで名古屋をけん引している。中東も、昨季からプレータイム、平均得点を大きく向上させ、特にダンクの数では外国籍選手に混じって日本人では唯一となる上位の数字を残している。
また、この2人と同学年であるアルバルク東京のザック・バランスキーもベンチスタートが多いものの、1試合平均で二桁近い得点を挙げるなどチームにとって大事な攻撃オプションに成長中。「去年、試合にあまり出られなかったのが悔しく、オフにはもっと頑張ろうと練習に励みました。ポジション的に、自分は小さいので外のシュートをもっと身につけるため、オフには3ポイントを中心に取り組みました。去年より自由に打っていいよとコーチからも言われていますし、打てると判断したら積極的に打っています。ベンチから出ることが多いですが、安定したプレーをいつもできる仕事人を目指しています」と意気込みを語っている。
そして若手といえば、忘れてならないのはB1最年少プレーヤーである20歳の津山尚大だ。歴史的な22日、23日の開幕戦、津山はそれぞれ7分32秒、8分52秒の出場時間だった。20歳の年齢を考えれば、まずはコートに立てたことに満足してもおかしくないはずが、津山は「もっと試合に出たかったです。その悔しさが大きいです」と開口一番に語っていた。
この悔しさを忘れずに戦い続ける彼は、琉球が強豪のシーホース三河を撃破した10月9日の試合では、要所での3ポイント成功を含む8得点をマーク。「津山が第3Qに点を取ってよくつないでくれました」と指揮官からも評価されていた。しかし、本人は「自分の持ち味である積極的にシュートを狙うこと、誰よりも先に走ってオフェンスに参加することはできつつあると思います」と手応えを感じつつも、「第4Qの勝負所に立てなかった悔しさはありますし、まずは最低でも20分のプレータイムをもらえるようになりたいです」と満足することは全くない。この飽くなき向上心が、シーズン終盤にどんな成長へとつながっているのか楽しみだ。
一方、竹内譲次は1試合平均で二桁のリバウンドを稼ぎ、リバウンドランキングで上位とベテランの健在ぶりを示している。世代交代を目論む若手、まだまだ若手には負けないという意地を見せるベテランによる戦いにも目が離せない。このように様々な注目ポイントがあるのがB.LEAGUEであり、是非とも会場に足を運び、ライブの醍醐味を味わってもらいたい。