開幕間近、東北6チームによる熱戦を紹介!!
9月に入り各チームとも開幕に向け、外国人選手も次々と合流し、記念すべきB.LEAGUE元年を戦うメンバーが揃った。また、より密度の濃いトレーニングを行うだけでなく、貴重な実戦での調整となるプレシーズンゲームでもチーム力を高めていった。北は北海道から、南は沖縄と全国各地で行われ、対戦相手もアメリカの大学、韓国リーグKBLのチームといった海外勢、またB1チーム対B2チームとレギュラーシーズンでは対戦のない組み合わせなど、様々な試合が実現した。
文・写真◎鈴木栄一
その中でも最も大きな規模を誇るプレシーズンゲームが、東北カップだ。元々はbjリーグの東北チームが集ってスタートした同大会だが、B.LEAGUE開幕を前に、今回は青森ワッツ、秋田ノーザンハピネッツ、岩手ビッグブルズ、仙台89ERS、福島ファイヤーボンズ、山形ワイヴァンズと東北各県をホームとする全6チームが参加。3日間にわたって、福島県会津若松市で熱戦が繰り広げられた。
決勝に進出したのは、秋田と仙台。東北6チームの中でB1に所属する2チームが貫禄を示した格好となった。試合は序盤、仙台が主導権を握り前半を10点リードで折り返す。しかし、後半に入ると、ディフェンスをしっかり修正した秋田が盛り返し、第3Q開始早々から一気に点差を詰めた。すると秋田は、このQを21対6と圧倒して逆転。そのまま第4Qに入っても優勢に試合を進め、74対65で勝利を収めた。
秋田の長谷川誠HCは、「前半、相手の外国人選手を1対1で守りきれないなど、オフェンス、ディフェンスとも機能していなかったです。しかし、後半、水町(亮介)を投入し、しっかりディフェンスから入るようにしました。結果、リズムが良くなり、ディフェンスから良いオフェンスにつながりました」と勝因についてコメント。
また、上記の長谷川HCのコメントが示すように、今季の秋田は、まずは堅いディフェンスができるチームを作っていくことを意識している。それは、わずか9得点にとどまった第2Qについても「9点しか取れなかったら、相手を8点、9点に抑えるようにしなければいけない」と述べていることからも伺い知れる。
そして「負けるより、勝った方が気分は良いです。プレシーズンを全勝で終えたことは次につながるよい弾みになる」と振り返る指揮官は、「(プレシーズンを通して)各選手の使い方も大体わかってきました。シーズンでは各選手がそれぞれ調子の良い時、悪い時の波をうまくなくせるように練習中から取り組んでいきたい」と開幕へ向けて意気込みを語っている。
一方、仙台の間橋健生HCは、「第3Qの入りが全てでした。後半、精神的な緩みがあったまま試合に入ったのを締めることができなかった。ハーフタイムの過ごし方、タイムアウトを取るタイミングが1ポセッジョン遅かったなど、(逆転を許したのは)全て僕の責任です。(6点に終わった)第3Qは、我々のオフェンスの自滅で、パニックになってしまっていました」と敗因を分析する。
ただ、一方で「新加入の選手たちが、(自分の)持っているイメージと重なってきました」と収穫もあった。そして開幕へ向けては「フィジカル、精神面の両方をもっと強くしていかなければいけません。自分たちは他のチームと比べて小さいですが、サイズがないことが弱みではなく強みとなる展開の速いバスケットボールを追求していきたい」と締めくくった。
そして、地元ブースターの熱い声援を背にした福島も3位決定戦を制し、B2所属の4チームの中では最上位で大会を終えている。3位決定戦では序盤から高確率で3ポイントシュートを沈め、76対62で山形に逃げ切り勝ち。森山知広HCは、チームとして目指す戦い方について「前から守備でプレッシャーをかけ、相手にタフショットを打たせそこから走る展開に持っていく。走ってボールをしっかり動かすことができれば、マークのズレを作ってシュートを打てます。そして外のシュートが入らない時、どう戦っていくのかをもっと突き詰めていきたいと思います」と語った。
今回、福島だけでなく各チームのブースターが集まり、会場はそれぞれのチームTシャツを身につけた人で溢れ、彩り鮮やかな光景が広がった。また、岩手ビッグブルズの選手たちが、台風10号で被害を受けた地元の人たちへの支援を目的とした募金活動を実施。福島の選手たちも募金活動を行い、岩手、福島のブースターだけでなく多くの人たちが募金に協力していた姿はとても印象に残るものだった。
東北カップの翌日には、東京でB1の全18チームから選手が参加した、ティップオフカンファレンスが開催された。「前例を笑え!常識を壊せ!限界を越えろ!選手、スタッフともにBREAK THE BORDERをスローガンに壁や境界を壊し、バスケットボール文化を根付かせてまいります」と大河正明チェアマンが宣言。そして、「リーグを選手としてもチームとしても引っ張っていきたい」(田臥勇太・栃木ブレックス)、「新潟は日本最初のプロバスケットボールチームであり、そのプライドを持って全力で戦っていきたいと思います」(佐藤公威・新潟アルビレックスBB)、「愛知県には様々なスポーツチームがあります。中日ドラゴンズ、名古屋グランパスエイトに負けないように成長していきたいです」(長谷川智也・シーホース三河)など、各選手たちが熱い思いを語った。
いよいよシーズン開幕まであと少し。9月22日、23日に行われるアルバルク東京対琉球ゴールデンキングスの開幕戦だけでなく、翌24日、25日に各地で行われる開幕週のカードも見逃せない戦いばかりだ。より多くの人に各会場へと足を運び、新たな歴史のスタートをライブで体感してもらいたい。