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2016.07.01

「B.LEAGUEに勢いをつける開幕戦に」

  • COLUMN

記念すべきB.LEAGUE開幕ゲームの出場チームに選ばれたアルバルク東京と琉球ゴールデンキングス。アルバルク東京はNBL、琉球ゴールデンキングスはbjリーグを代表する常勝チームと、文句なしの実績を誇っている。そこで今回はアルバルク東京から田中大貴、琉球ゴールデンキングスから岸本隆一と両チームをけん引しているエースに開幕に向けての思いを語ってもらっている。

文・写真=鈴木栄一

新リーグの幕開けは、NBL、bjリーグ随一の強豪が激突

2016年9月22日、B.LEAGUEの幕開けとなる開幕ゲームとして行われるのは、アルバルク東京と琉球ゴールデンキングスの一戦となる。アルバルク東京はNBL3シーズンの歴史においてレギュラーシーズンの通算成績でリーグ最高の132勝31敗(勝率.814)をマーク。一方の琉球ゴールデンキングスは、bjリーグに在籍した9シーズンの中において、リーグ11年の歴史で単独トップ4度の優勝を成し遂げている。NBL、bjリーグが統一してスタートするB.LEAGUE誕生の経緯を考えても、まさに新しい歴史のスタートとなる戦いに登場するに相応しい両チームだ。

今回、琉球ゴールデンキングスを迎え撃つ格好となるアルバルク東京だが、昨季は、攻守ともにどんどん仕掛けていくアグレッシブな戦いで試合の主導権を握りシーズン序盤から安定した強さを披露。プレーオフではセミファイナルで惜敗してしまったが、レギュラーシーズンではリーグ1位となる47勝8敗をマーク。また、全てのチームに対戦成績で勝ち越すという見事な内容だった。

もちろん優勝を逃した悔しさはあるが、田中もシーズン全体を通しての内容については手応えを感じている。「優勝だけを目標にしていたので、それが達成できなくて残念なシーズンでした。しかし、レギュラーシーズンではどこよりも安定して戦えていたことは自信を持っていいと思いました。」

ただ、一方でリーグ屈指の選手層を誇るアルバルク東京においても、大黒柱としてチームをけん引し、リーグベスト5にも選出されながら自身のプレーについては課題があったと振り返る。「自分のパフォーマンスについては、納得のいくシーズンではなかった。チームを優勝に導くには、まだまだ力が足りないと思ったシーズンでした。(プロ2年目となる)昨季は、年齢に関係なくコートの上では周囲を引っ張っていきたかったですが、そこまで余裕がない部分はありました。」

一方、琉球ゴールデンキングスはレギュラーシーズンを西カンファレンスの2位で終えるも、プレーオフでは安定したプレーで勝ち上がり4度目の頂点に立った。「昨季は結果的に優勝できましたが、順風満帆というわけではありませんでした。むしろシーズンを通してチーム、個人としてもうまくいっていなかった期間が長かったのです。その中で終盤、尻上がりにチーム、個人も調子が上がっていっての優勝であり、今まで感じたことのないくらいの達成感、喜びがありました」と語る岸本。彼自身にとっては2度目のチャンピオンとなったが、前回とは違う嬉しさがあった。

「1回目の優勝は良い意味で何も考えないでプレーしていた中で、自分の調子が良い試合が、大事な試合にたまたま重なって優勝できたという感覚でした。今回はキャプテンということもあり、優勝できなかったら自分にすごく責任があるというふうにとらえていたので、最低限の責任は果たせたかと思います。」

そして記念すべき開幕戦で激突する相手について、両チームとも今シーズンを戦うメンバーが確定している段階ではないが、田中、岸本の2人には互いのチームであり、それぞれの印象を伺った。

「(琉球ゴールデンキングスは)bjリーグのチャンピオンであり、ファンの方の応援が熱心でとても一体感のあるチームというイメージです。岸本選手はシュートがうまく、個人技のスキルが優れている。オフェンス能力の高い選手だと思います。」(田中)

「(アルバルク東京は)ディフェンスがすごく堅いチーム。簡単に点数が取れないというイメージです。田中選手は、すべてのプレーを効率よく賢くプレーできる。ディフェンスもよいですし、状況判断力に優れている選手という印象です。」(岸本)

開幕戦で多くの人々を魅了したい思いは同じ

ともにB.LEAGUE初代王者を目指して挑む新シーズンだが、それと同時にB.LEAGUEでの戦いを通してバスケットボールのブランド力、認知度を更に高めていきたいという意識も共通している。

例えば田中は、勝利第一に加え、バスケットボール初心者の人により興味を持ってもらえるプレーをしたいと考えている。

「バスケットボールをあまり知らない中でも、見にきてくださる方たちに、『あの選手はちょっと何か違うぞ』と思わせたいです。新しいプロリーグがスタートする中、自分も一選手としての価値を上げていかなければいけない。バスケを初めて見る方にも周りの選手よりも明らかに違うと伝われるようなパフォーマンスを見せたいです。それが得点を取ることか、どうかはわかりませんが、まずは試合に勝つことを考えていきたいです。」

岸本は人とボールをともによく動かし、自分たちより大きい相手をスピードと運動量で上回って撃破していく。日本有数のバスケットボール王国である地元・沖縄で培われてきたバスケットボールをB.LEAGUEでも披露していくことが勝利の鍵と見ている。

「チームとして、小さい選手がどうやって大きい選手に向かっていくべきかを昨季から追求してきました。結果としてリーグ優勝を達成でき自信もつきました。引き続きスピードのあるバスケットボールを追求し、小さい選手が大きい選手に激しく向かっていくスタイルにもっと磨きをかけていきたいです。」

「開幕カードは、自分たちと琉球ゴールデンキングスさんの2チームだけ。みなさんが注目してくださる中で試合ができることは素直に嬉しいです。今から開幕を戦うことにワクワクするなど純粋に楽しみな気持ちが大きく、それが自然とモチベーションにもなっています。また、B.LEAGUEの最初の試合ということで、リーグの印象が決まるというくらいの責任がある1試合と思っています。どういう戦い方をするのかチームのみんなで共通認識を高めていき、シーズンを優勝するためにも開幕戦で勝って強いアルバルク東京を見せたいと思います。」(田中)

「開幕戦について、勝負なので勝ちにいきたいですし、多くの人に見てもらうという意味で下手なプレーはできないという思いです。レギュラーシーズンの1試合と、良い意味で平常心を持って戦わなくてはいけないですが、これから日本でバスケットが普及していくための大事な試合と、そこはしっかり意識して臨みたいです。

とても強いアルバルク東京さんが相手であり、勝つにせよ負けるにせよ良い流れが簡単にくるゲームにはならない。悪い流れ、チームが沈んでいる時、いかに得点するかなど、みんなを勇気付けられるプレーをすることを目標としています。チームが悪い時にこそ、どれだけ自分が活躍できるかを意識したいです。」(岸本)

アルバルク東京、琉球ゴールデンキングスの両チームによる激しく、迫力のあるプレー。そして最先端の音響、照明設備による豪華な演出も加わった開幕戦は、色々な部分でバスケットボール新時代の幕開けにふさわしい試合となる。だからこそ多くの人に会場に足を運び、この一戦をライブで観戦してもらいたい。

田中大貴(たなか・だいき)

1991年9月3日生 192cm 93kg 長崎県出身

長崎西高校、東海大学を経てアルバルク東京に2013-14シーズン途中にアーリーエントリーで入団。高い身体能力とバスケットボールIQを兼ね備えたオールラウンダーで、ルーキーシーズンである2014-15シーズンから中心選手として活躍。日本バスケットボール界を屈指の若手選手の1人だ。

岸本隆一(きしもと・りゅういち)

1990年5月17日生 176cm 75kg 沖縄県出身

北中城高校、大東文化大学を経て琉球ゴールデンキングスに2012-13シーズン途中にアーリーエントリーで入団。3Pラインのさらに後方から放ちながら決める長距離砲など、爆発力が持ち味で2013-14シーズンのファイナルでは34得点を挙げてプレーオフMVPを受賞。また、昨季はゲームメイクに磨きをかけて優勝に貢献と、司令塔としてさらに進化を続けている。