ホーム最終戦を勝利で飾れなかったファイティングイーグルス名古屋、エース佐土原遼の葛藤「チームを勝たせられなかった」
欠場した京都戦からコンディションが上がらず
4月26日~27日、ファイティングイーグルス名古屋はシーホース三河とホーム最終節を戦った。第1戦はディフェンスとリバウンドで三河を圧倒して85-76で勝利。第2戦は序盤からのビハインドを跳ねのけて一時逆転に成功したが、勝負どころで三河に押し込まれ69-85で敗れた。
日本人エースとしてチームを牽引している佐土原遼は、今節、自身のパフォーマンスをチームの勝利に繋げる難しさを味わった。
26日の第1戦、チームは見事な勝利を収めたものの、佐土原は今シーズン最短の9分24秒の出場で2得点のみにとどまった。コンディション調整によるプレータイム制限があったとはいえ、ファールトラブルが重なり本来の力が発揮できぬままベンチで勝利の瞬間を迎えた。
佐土原は「個人的に今シーズンで一番思うようにいかない試合でした」と試合を振り返り、不調の要因を語った。
「京都ハンナリーズ戦を欠場してからコンディションが上がらず、身体も思うように動かなくてフラストレーションが溜まりました。プレータイム制限があるから短い時間で100%のプレーをしなきゃいけないと思っていましたが、勝手に自分の中でブレーキをかける部分があり、思うようなプレーができませんでした」
しかし翌日の第2戦、佐土原は気迫あふれるプレーで前日の悪いイメージを払拭してみせた。試合後、「ホーム最終戦だったので勝ちたい気持ちが強かったです」と佐土原は言った。
28分49秒コートに立ち、23得点3リバウンド1ブロックの活躍。特に12点のビハインドを背負って迎えた第2クォーターは、このクォーターだけで15得点を挙げる圧巻のパフォーマンスで追い上げの立役者となった。
しかし、自身の活躍とは裏腹にチームは敗れた。「パフォーマンス自体は悪くなかったですが、チームを勝たせられなかったのは課題です」と語る通り、佐土原は復調の喜びよりもチームを勝利に導けなかった悔しさが勝った。
さらに「チームとしてディフェンスから速攻を仕掛けたかったですが、水曜から土日とタフなスケジュールもあって疲労感が出てしまいました」と反省点を挙げた。
「タフに我慢強くやれたシーズンだった」
佐土原は今シーズン、B1に所属する日本人選手で4番目に高い平均12.6得点を叩き出している。特に自身が「自分の持ち味です」と評価するフィジカルを活かしたドライブは対戦相手の脅威になっており、三河戦の第2戦でも、アタックからフィニッシュまで持っていく場面が何度も見られた。このプレーがうまくいっている要因を佐土原は次のように明かす。
「昨シーズンまでは右にドライブする割合が多かったので、今シーズンは両方に行けるようにハンドリングの練習をしました。そこが相手が止めづらくなったポイントだと思います。あとは3ポイントの確率が少し上がったのでディフェンスも前に出ざるを得なくなり、今までよりもドライブがうまくいく感触はあります」
ディフェンスではシーズンを通じて外国籍ビッグマンとのマッチアップが大半で、この試合でもザック・オーガストやジェイク・レイマンといった実力者相手にも一歩も引かずに真っ正面からぶつかっていった。これも自身のキャリアにとってプラスととらえている。
「リーグ戦で彼らとマッチアップしている経験があるから、日本代表の試合でも臆することなくプレーできる自信がついています。今、代表では吉井(裕鷹・三遠ネオフェニックス)選手がそれを担ってますが、自分が10分でも15分でもプレーできれば吉井選手の負担を軽くでき、代表チームにもプラスになります」
佐土原にとって今シーズンは「スタッツも伸ばせてチームに貢献できたのはプラスですし、個人的には良いシーズンでした」と振り返ることのできる、大きなステップアップを果たせたシーズンとなった。
チームの成績に目を向けると、レギュラーシーズン2試合を残して28勝30敗。数字だけを見ると、昨シーズンの33勝27敗から勝ち星を落としているが、チャンピオンシップ常連のアルバルク東京と名古屋ダイヤモンドドルフィンズが入ってきた中地区で戦い抜いたことを考えれば、一定の評価はされるべきだ。
佐土原は地区6位という結果には満足していないものの、チームとしても手応えのあるシーズンになったと話す。「目標としていたCSには至りませんでしたが、 すごくタフに我慢強くやれたシーズンだったと感じます。上位チームに勝った試合がいくつもあったので、昨シーズンよりもレベルアップしたファイティングイーグルス名古屋を見せることができました」
最終節の横浜ビー・コルセアーズ戦について「勝率5割で終われるチャンスがあるので、しっかり準備して2連勝でシーズンを終えたい」と語った佐土原は、さらに先のことも見据えている。「良い時と悪い時の差が激しかったので、来シーズンは改善が必要です。オフシーズンは代表活動もあると思いますが、波を作らない選手になるためにオフを有効活用していきます」