インサイドで奮闘し三河をチャンピオンシップに導いたザック・オーガスト「苛立ちを抱えたままプレーしたいのか自分に問いかけた」
指揮官は先発メンバーのディフェンスを評価
4月27日、シーホース三河はアウェーでファイティングイーグルス名古屋と対戦。チャンピオンシップ進出マジック1で迎えた26日の第1戦は、終始リズムをつかめず76-85で敗戦したが、第2戦は序盤から主導権を握り85-69で勝利。2シーズン連続となるチャンピオンシップ進出を決めた。
三河は試合開始から高いディフェンス強度を発揮。第1クォーターだけで5つのターンオーバーを奪って20-8と先行に成功した。第2クォーターでFE名古屋のドライブに対応できず追い上げを許し、後半開始直後には逆転を許すも、そこから再びディフェンス強度を上げ、最終クォーターで突き放して見事前日のリベンジを果たした。
試合後、三河のライアン・リッチマンヘッドコーチは、安堵の表情で次のように振り返った。「スタートの5人がディフェンスのトーンセットをしてくれて、良い形で試合に入ることができました。相手のターンオーバーを18本誘発して、自分たちは6本に抑えることができました。リバウンドも昨日よりしっかりと戦うことができました」
この言葉の通り、第1戦の敗因の1つは、ショーン・オマラや曾祥鈞にインサイドで仕事をさせてしまった結果、FE名古屋に19本のオフェンスリバウンドを取られ、セカンドチャンスで28失点したことだった。しかしこの試合では、12本のオフェンスリバウンドから12失点と半減できた。
リッチマンヘッドコーチは「ハードに戦おうと話しました」と、この日のリバウンドについて言及する。「昨日は努力量が足りていませんでした。それは受け入れがたいものでしたが、今日は選手が応えてくれてから勝利に繋がりました。リバウンドが強いオマラ選手に対して、5人全員が意識して戦ったのはよかったです」
特にリバウンドで奮闘を見せたのが、ザック・オーガストだ。第1戦ではシーズン平均を下回る5リバウンドだったが、第2戦は12本を獲得してインサイドを支えた。さらに勝負どころとなった最終クォーターはチーム最長となる9分59秒コートに立ち、8得点を挙げて勝利の立役者となった。
オーガストもフィジカルバトルを戦い抜いたチームをたたえる。「昨日からバウンスバックして、とても良い試合運びができたチームを誇りに思います。昨日のFE名古屋は素晴らしい仕事をしました。私たちは今日それを上回らないといけませんでしたが、特定の選手に対して全員でしっかり身体を当てに行ってリバウンドをとりにいくように話しました」
「誰も下を向くこともなく戦えるようになった」
ただし、オーガストにとってこの試合のすべてが順調だったかと言えばそうではなかった。第1クォーターで2つのファールをしてベンチに下がらざるを得なかった。
さらに、前日同様に当たりの激しいゴール下の攻防に苦心したが、相手の強度の高さを前向きにとらえたと明かす。「確かにフラストレーションが溜まる時間帯はありました。ただ、プレーオフ(チャンピオンシップ)に対して良い準備ができる機会になると考えました」
また、第1戦では我慢できずにテクニカルファールを犯す場面もあったが、この試合では苦しさや悔しさを力に変えた。
「『フラストレーションを抱えたままプレーしたいのか? それともチームのために戦いたいのか?』ハーフタイムでこのように自分自身に問いかけました。自分はチームのために戦いたいので、チームメートを鼓舞して勇気づけるような声かけを意識しました。チームメートもそれに応えてくれて、悪い感情を継続することなく切り替えることができました」
三河は38勝20敗と、レギュラーシーズン残り2試合を残してすでに昨シーズンの成績を上回った。上位チームに勝利することも多く、チームは着実な成長を見せている。この要因をオーガストは次のように話す。
「試合へ臨む姿勢が昨シーズンよりもよくなっています。何か壁にぶつかったときに、自分たちで解決することができています。チームとして一体感を持ち続けることが難しい時期もありましたが、その期間こそチームが成長でき、誰も下を向くこともなく戦えるようになりました」
チャンピオンシップ進出は決めたものの、レギュラーシーズン最終節では中地区でしのぎを削った名古屋ダイヤモンドドルフィンズとの『愛知ダービー』を残している。オーガストは消化試合にはせず、勢いをつけてチャンピオンシップに臨みたいと話す。
「チャンピオンシップ進出を達成できたのは素晴らしいことです。この段階で昨シーズンの成績を上回っているのは認識していますが、より高いゴールを目指すため40勝を挙げたいです。あと2試合しっかり戦って、プレーオフに繋がるように頑張ります」
昨シーズンは最終戦に勝利しギリギリでチャンピオシップ進出を決め、クォーターファイナルであえなく敗退となった。しかしオーガストにとって2度目となる今シーズンのチャンピオンシップは、心身ともに整った状態で迎えられそうだ。昨シーズンは取れなかった『6つの勝利』をつかみとる準備はできている。