【B2プレーオフ】ベルテックス静岡の岡田雄三、B1昇格へ本気のチャレンジ「今年は『当たって砕けろ!』ではダメ」

ベルテックス静岡は、りそなグループ B.LEAGUE 2024-25を34勝26敗の西地区3位で終え『りそなグループ B2 PLAYOFFS 2024-25』(以下、プレーオフ)のクォーターファイナルで富山グラウジーズと対戦する。5月3日に迫ったプレーオフに向けて、現在のチーム状況や意気込みを岡田雄三に聞いた。
「竜馬さんの加入はめちゃくちゃ影響が大きい」
──レギュラーシーズンの振り返りをお願いします。
オフにヘッドコーチが代わって、選手も半分以上が入れ替わりましたが、チームとしてはB1昇格を目標にしてスタートしました。B2全体のレベルが上がる中で、 開幕から思っていたより良いスタートが切れたと思います。そこからフィン(ディレイニー)が抜けて、 J3(ジョナサン・ウィリアムズ)が入って来ましたが、チームのコンセプトが徹底できない期間が2カ月ぐらいあって、しんどかったです。今はやりたいバスケットが見えてきて、それぞれの役割もより明確になってきました。
──昨シーズンはどちらかとオフェンシブなチームでしたが、今シーズンはディフェンス力が向上して勝利に繋がっている印象です。
コーチは、ディフェンスとリバウンドをシーズンの最初から強調していて、ディフェンスできない選手は試合に出られません。アルバルク東京にいたコーチなので、ディフェンスとリバウンドが強くないとプレーオフでは勝てない、という考え方です。シュートの成功率はコントロールできないこともありますが、ディフェンスとリバウンドは自分たちがコントロールできるので意識しています。このプレーオフでは、それをいかに出せるか大事になります。
──岡田選手は不動の先発ガードですが、チームとしてはセカンドユニットの底上げも上手くいったシーズンですよね。
特別指定で入って来てくれた山本愛哉選手(3月で特別指定選手活動が終了)が、 スタートメンバーとはまた違った形でフィットして繋いでくれたのが大きかったです。ウチはまだ若いチームで、追い上げられたり劣勢になると崩れてしまうことがあるので、 そういう時に最近加入してくれた(橋本)竜馬さんが、コートの中でのプレーで示したり、ベンチで声をかけてくれるのはチームにとってすごくプラスになっています。ガード以外にも最近の(サイモン)拓海は、点を取りにいっていると感じますし、ベンチで見ていてもセカンドユニットは頼もしいです。
──岡田選手個人として、橋本竜馬選手の加入によって変わったことはありますか?
めちゃくちゃ影響が大きいです。ポイントガードは僕とルーキー2人というシーズンスタートで、『僕がコケたら立て直せない』とプレッシャーを自分にかけていましたが、今は後ろに竜馬さんがいることで安心感があります。メンタリティはすごいですし、見習うところが多いです。ルーズボール一つに対する姿勢、オフェンスの仕方、ディフェンスの圧のかけ方など技術的なところも勉強になるので、僕にとっても大きな加入でした。

「守り合いをしてロースコアに持ちこめるか」
──昨シーズンが初めてのB2の舞台でしたが、滑り込みでプレーオフ進出を決めました。今シーズンは早々に進出を決めて、気持ち的な違いがありますか?
昨シーズンはプレーオフ進出が目標だったので、シーズン終盤がピークでした。プレーオフ1発目の相手がアルティーリ千葉で、 客観的に見れば大きなレベルの差がありました。今シーズンは目標が昇格ですので、ここから120%の力を持ってこれるかの勝負です。そういう面では大きな違いがありますし、自分も2年目で身体的にもマインド的にも慣れてきています。今がすごく良い状態だと感じる反面、皆さんが昇格を期待しているプレッシャーも感じます。去年は『当たって砕けろ!』でしたけど、今年はそれではダメなので、しっかりと準備していきます。
──レギュラーシーズンでの上位との対戦は5勝19敗と負け越しています。プレーオフを勝ち抜くために何が必要になってきますか?
自分たちの中では、どのチームに対しても絶対にやれるという感覚は持っています。もちろん上位との差を埋めるのは簡単ではないという意識もある一方で、プレーオフは全く別物だとも思います。レギュラーシーズンに勝てなかったのは、悪い流れを止めきれなかったり、単発のシュートを勝手に打ったりと、メンタルの部分が大きかったです。そこをシーズン終盤から、チームにマイナスになるプレーはやめようと全体で話して、なくなってきました。強度を上げて、実力差ではなく我慢比べにできるか。守り合いをしてリバウンドを必ず取ってロースコアに持ちこめるか。それがウチが勝てる唯一の方法です。
──岡田選手は社会人を経験し、B3からプロキャリアを始めた選手で、決してエリート街道を走ってきたわけではありません。逆境に対する精神的な強さがあると想像します。
本当におっしゃる通り、僕はチームの中でもエリート選手でも代表に入っていたわけでもありません。でも、それがすごい楽しいというか、学生時代は雲の上の存在だった選手とプロになってマッチアップして『俺、全然やれる!』って(笑)。今シーズン、B1の上位チームとやらせてもらっても、 チャレンジできるという気持ちがあったので、下から上がって上位チームや今まで雲の上の存在だった選手を倒したいと思っています。社会人をわざわざ辞めてプロの世界に入ってきたので、 行けるところまでトライしたいですね。

「プレーオフで勝つことが最大の恩返しになる」
──シーズンを通じて自身が成長できたと感じる部分はありますか?
ディフェンスはもともと自分の武器だと思いますし、1番から3番までは守れる自信があります。昨シーズン以上にディフェンスに意識を持っていった中で、オフェンスでも遜色ないスタッツが残せているのは、自分の中では評価できることです。インサイドの強みがあるチームになったことで、レイアップにいける場面は少なくなりましたが、プルアップの3ポイントシュートを打つようになったりと課題に向き合ってやっていけています。プレースタイルが変わるというよりは、引き出しが多くなってきた感覚です。
──シュートだけでなく、ピックのユーザーとしての技術が上がってきていると感じます。
ピックはウチの生命線です。正直ボールハンドラーは多くないですが、ちょっとズレを作ることで活躍できる選手がたくさんいます。そのズレを作ることが、僕がオフェンスで1番に求められてることです。何回もコーチと話したり練習したりして、少しずつ形になってきてるかなと。でも、まだまだB1の選手を見てると『上手いなあ』と感じます。上手い選手のプレーを見ることで、自分のピックに対する見え方や考え方も変わってきて『まだまだ上手くなれるじゃん!』と最近すごく感じますね。
──昨年11月にお子さんも産まれ、メンタル的な変化もありますか?
めちゃめちゃあります! 家に帰って顔を見たりとか、 遠征先で写真を見返すと一気に気分が晴れます。すごい大きいですね、そこの変化は(笑)。
──最後に、応援してくれる皆さんへのメッセージをお願いします。
一人ひとりの熱気がすごくて、自慢できるファンだと本当に素直に思っています。まだB2プレーオフで勝ったことがないので、 一緒に勝利を一つずつつかみたい気持ちが強いです。シーズン最初から昇格に向けて、すべてはプレーオフで勝つためにやってきましたが、簡単な試合は一つもないので、最大限にやれることをやっていきます。ファンのみなさんに1シーズンに渡りサポートしてもらったので、プレーオフで勝つことが最大の恩返しになると感じています。一緒にファンのみなさんにも戦ってもらって、良い結果をつかむことができたらうれしいです。