2025.04.09
秋田ノーザンハピネッツU15が連覇達成[不二家PRESENTS B.CLUB U15 WOMEN’S CHAMPIONSHIP 2025]
予選リーグ戦から多くの接戦が見られる
Bリーグ、B3のクラブが保有するU15女子ユースチームによる日本一決定戦、「不二家PRESENTS B.CLUB U15 WOMEN’S CHAMPIONSHIP 2025」が3月25~27日に開催された。今大会は過去最多の12チームが参加(交流戦には東京羽田ヴィッキーズU15も参加)し、4チームごとの予選リーグ戦を行った後に3チームごとの順位決定リーグというフォーマットで実施された。
予選リーグ戦のグループAでは前回準優勝の三遠が同4位・山形に1点差勝利。グループBでは初出場の名古屋Dが前回3位・茨城と最後まで競り合って3点差勝利と接戦も多かった。結果、前回女王の秋田、名古屋D、三遠が1~3位リーグに駒を進めた。
まず行われたのは、秋田対三遠。前回大会、両者は順位決定リーグで優勝を懸けて対戦。1点差で折り返した3Q、秋田が33-16というビッグクォーターを作って逃げ切っている。リベンジを目指す三遠は開始からリバウンドで健闘したが得点が伸びず。逆に、秋田はエースの#21高橋志奈が1Qだけで8得点する活躍し、主導権を握った。三遠は6点差で迎えた2Q、気迫あるディフェンスを展開し、秋田#21高橋のドライブに対応。#51齋藤夏のコーナー3Pシュートに続いて#53鈴木千愛、#50北郷愛莉のシュートで8‐0というスタート。14‐13と一度逆転にしたが、秋田が浮足立つことはなかった。#21高橋が「まずは1本!」と声掛けすると#16佐々木希華のフローターでクォーター初得点。さらに#21高橋もコーナーから3Pシュートを沈めるなどでリズムを取り戻して22‐16でハーフタイムを迎えた。

流れを引き寄せたい三遠は3Q、#52塩山清香の3Pシュートでクォーター初得点を奪うとフルコートプレスを展開。しかしターンオーバーを引き出しても、秋田の寄せが速く得点につながらない。三遠はその後もトラップディフェンスを仕掛けてミスを誘うが、秋田は的確に対応。着実にスコアを伸ばして45‐33と連覇に向けて大きな1勝を挙げた。勝敗を分けたディフェンスへの対処について、「練習してきたことを生かして自分たちで解決できました」と内村祥也コーチは選手たちの対応力を称賛した。勝てば優勝が決まる名古屋D戦に向けて「いかに判断して自分たちのバスケをやれるか。いかに相手の弱点を付けるかですね」とポイントを語った。
秋田は名古屋Dにも快勝、連覇を決める
名古屋Dは、今大会で驚きを与えたチームの一つ。昨年4月に設立されたばかりで18人中16人が1年生という下級生主体だが、唯一の3年生#2高桑希音がゲームメーカーとなり、予選リーグを3連勝。男子のU18、U15にも通じるバスケは、「トップチームの戦術を落とし込んだもの」と松島有梨江コーチは説明している。女王にどんなバスケを展開するか注目されたが、試合は思わぬ展開になった。開始から秋田は、素早い寄せでターンオーバーを誘発すると、速い攻めから#1森田心花、#16佐々木、#23佐藤柚子、#33前山実来らが得点。1Qで23‐4と大差を付けた。名古屋Dは2Q以降、②高桑が見事なハンドリングからフローターを決めると#1ミュア愛奈、81光岡史浦も得点に絡み2Q11‐10、3Q15‐14と健闘したが、大差を縮めるには至らず。秋田が67‐37で連覇を決めた。

嫌な流れになっても自分たちで解決して連覇を成し遂げた秋田。内村コーチは「新チームに向けた準備というテーマに関してもやり切れた部分と課題が見つかり、非常に充実した大会になりました。〝全員が主役〟という考えの元、さらに判断力を高めたいと思います」と新チームをさらに成長させていきたいと意気込んだ。
なお愛知県内で何度となく戦っている間柄という三遠と名古屋Dの試合は、三遠がじりじりとリードを広げて63‐34で勝利。三遠が2年連続準優勝となっている。
最多12チームが参加、ここでしか経験できない強度がある
冒頭でも触れたとおり、今大会は過去最多の12チームが参加した。その中で初出場となったのが、昨年4月にチームが誕生したばかりの横浜EXと名古屋Dである。
「バスケ人口が多い地域で男子のU15、U18のチームがあっても、女子がプレーできる環境がありませんでした。ニーズもあったため、チーム設立に至りました」と設立の経緯について説明したのは横浜EXの河合翔吾コーチ。設立1年目で小学生のメンバーも多いこともあって、今大会は多くの経験を積むことがテーマだった。「チームとしてディフェンスの部分、特にヘルプや助け合いといった全体での守りを重視してきていますが、その点は試合を重ねるごとに少しずつ出来てきています。試合の強度にも慣れてきたからだと思います」と交流戦を含めて多くの試合経験を積む中で、チームに良い変化が現れたと喜んだ。
一方、初出場で3位という好成績を収めた名古屋D・松島コーチの目には、ビッグマンのアウトサイドチャレンジや、スペーシングを重視した戦術が印象的に映ったようだ。「Bリーグに近い戦術、システムという印象を受けました」と話し、今大会のレベルの高さを言及。さらに高い強度の中で得た学びを、新チーム作りに生かすべく。改めて基礎の徹底から取り組んでいく考えを示した。また越谷を率いた小磯典子コーチも、高い強度での試合ができる経験は少ないとし、「チームにとって本当に貴重な機会です」と述べていた。
高い強度の中でこそ見えてくる課題や可能性がある。多くのチーム、選手が3日間の中で成長を見せていたのは、そういう背景があるからだ。選手たちは、この大会で得た経験、成長体験を次のステージへの糧として持ち帰ったに違いない。

<最終順位>
優勝:秋田U15
準優勝:三遠U15
3位:名古屋D U15
4位:山形U15
5位:茨城U15
6位:静岡U15
7位:立川U15
8位:千葉J U15
9位:U15川崎
10位:越谷U15
11位:福島U15
12位:横浜EX U15
<個人賞>

■MVP
高橋 志奈/秋田U15#21

■MIP
君島 凛/茨城U15#89

■大会ベスト5
高橋 志奈/秋田U15#21
佐藤 柚子/秋田U15#23
前山 実来/秋田U15#33
北郷 愛莉/三遠U15#50
高桑 希音/名古屋D U15#2
記事提供:月刊バスケットボール