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2025.03.18

【Bリーグドラフト】有識者3氏に直撃!“ぶっちゃけ”ドラフトトーク「選手とリーグがファンの求めるものに追い付けるかが一つのテーマ」

  • 月刊バスケットボール
注目すべき第1回Bリーグドラフトを前に、その内情を知る青木崇さん(ライター、解説者)、井口基史さん(バスケットボールコメンテーター)、鴨志田聡さん(NBA/FIBA公認代理人)の3人の有識者を直撃。ドラフト制度への率直な思いや期待、懸念点、今後どのように発展していく可能性があるのかといった、“ぶっちゃけトーク”を展開してもらった。
※取材は3月3日に実施

こちらの対談は『月刊バスケットボール2025年5月号の』インタビュー冒頭の紹介です。全文は誌面にてご覧ください。
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──ドラフト制度導入について、率直にどう感じますか?

青木 Bプレミアが昇格降格のないクローズドなリーグであるという点では、ドラフトは導入されるだろうと考えていました。ただ、参入クラブが26とすごく多いです。NBAであれば指名プールに世界中から数百人の候補選手が挙がります。ただ、日本人に限定したBリーグドラフトの場合、例えば巡目までで最低 名が必要ですが、それだけの選手が果たしてプールされるのかという点は懸念しています。

鴨志田 ドラフトはbjリーグでも行われていましたが、当時はプロ選手自体が少なかったし指名するクラブも6クラブだけでした。なので、しっかりと全クラブからドラフト指名がされました。ただ、青木さんが話されたように今回は クラブもありますから、それにふさわしいレベルの選手数も必要ですし、最低でも1巡目分の26人は果たして指名されるのか。Bリーグが思い描いているような、プロ野球やNBAのような華やかなものになるのかは蓋を開けてみなければ分かりません。ファンとしては、1巡目1位指名となるとやはり即戦力の華やかな選手が指名されるイメージを持つと思うのですが、本当にそういう選手が出てくるのか。選手とリーグがファンの求めるものに追い付けるのかは、一つのテーマになると思います。

井口 ドラフト自体はビッグクラブ以外にも戦力均衡で勝てるチャンスを提供する考えなので、とても良いと思います。ただ、個人的に感じているのは、制度が出来上がるまでの過程が参加型だったら、もっと認知度アップされたのではないかということです。制度自体はBプレミア構想が出たときからオープンになっていましたが、その後、我々にはどんな過程だったかの情報公開が少なく、それに対して各クラブや選手、大学連盟、メディア、ファン、ブースターがストレスを感じている部分はあると思います。NBAでは新しい競技ルールや制度ができるときにその過程や委員会メンバーなどもオープンになって、現役選手が意見を述べることもあって納得感が出ます。外部の方が気付くような選択肢は議論を重ねて、この制度になったはずですから、その過程もエンタメとすると盛り上がりそうです。


左からバスケットボールコメンテーター井口基史さん、解説者・ライター青木崇さん、NBA/FIBA公認代理人 鴨志田聡さん

──指名対象選手は日本の大学生が中心です。大学側とBリーグ、クラブとの連携はどう見ていますか?

青木 関東1部の大学バスケの取材に伺うと、一部のBクラブ上層部と大学の関係があまり良くない印象を受けます。選手としてはやはりプロになりたいですが、大学としてはスカウティング費用などのある程度の投資をして選手をリクルートしてくるわけで、彼らが僅か 、1年でプロに転向してしまうのは...。アメリカのNCAAように(1年だけ大学でプレーして即NBA入りしてしまうような)割り切りができていればいいですが、現状まだそこには至っていません。ドラフトをより良いものにするためには、エントリーの中心となる大学側との関係性はすごく大事だと感じますね。

鴨志田 青木さんのおっしゃるとおりで、現状、Bリーグのドラフトルールは決まっていますが、大学側ではいつからプロに転向してもいいのかといったルールが整備されていません。その中で主力の選手がいきなり大学を中退してプロに転向してしまうのは、大学側の損失です。

ただ、選手としては少しでも早くプロになりたいと思いますし、昨今の日本代表を見れば分かるとおり、国内の競技レベルは急激に伸びています。それはBリーグの成功とも関係していますが、じゃあ大学や高校も同じように伸びているのか。そこが階段のように問題なくつながっているのであれば、大学4年生が1巡目の26人に選ばれてしかるべきです。ところが、そうはならないであろうというのが現実。Bリーグの著しい成長に大学や高校がまだ追い付けていないと感じています。

井口 学生カテゴリーの試合解説もするのですが、すでに進路が決まっている選手でも、解説で話すことが許されないケースがほとんどです。現場レベルでは「○○選手がBリーグで特別指定」といった情報公開についての相談をクラブから受ける事もありますが、それをオープンにはできない。そんな状況の中でドラフトとなると、情報開示の面でもまだ高校や大学側はBリーグのスピード感に追い付けていない印象はあります。もちろん個人情報ですし、彼らは学生なので仕方のないことでもありますが、まずは先ほど話した過程のところも踏まえて、もっとオープンに物事を進められる文化作りが必要なのかなと感じますね。

──現状はクラブが自由に選手との契約交渉ができます。契約までにどんなプロセスを踏んでいるのでしょうか?

鴨志田 今までは自由競争で、選手がコミットすれば契約が決まるという形でした。判断要素としてはプレータイムや専用練習場の有無、サラリー、契約年数などがあり、その中から選手が何を望むか。複数クラブからのオファーがある場合は選手が自分にとってベストな環境を選べる状況でした。それに、今のBリーグはアシスタントコーチやディベロップメントコーチが充実しているので、早期に選手に接触して自分たちで育てることができるようになった点も、リーグ発展の理由です。

ところが、ドラフトが導入されることで選手を直接的に獲得することができなくなる。ここで一つ難しくなるのが、高校生がプロになる、あるいは大学に進むときに、大学側はその選手が高校1、2年生の頃から大学へのコミットをさせることができます。すると、ドラフトにエントリーする時点ではすでに進学先が決まってしまっているという事態が起こりますよね。大学リクルートとドラフトエントリーのそれぞれの開始時期の線引きをどうするか、監視役を誰が務めるのかといったところは、特に高校からのドラフトエントリー選手が登場したときの大学側とBリーグとの課題点ですね。

青木 某クラブのGMの話ですが、その方はとにかくいろいろな現場に顔を出しています。そして、高校や大学のコーチよりも先に選手の家族との接点を作るのがすごくうまい。そう考えると、リクルートに関してはGMの手腕やネットワークがものすごく重要で、現場に顔を出したり、鴨志田さんのような代理人とのつながりを作ったり、選手本人にしっかりと自己紹介して接点を作っていく。最終的には所属先のコーチの承認は必要ですが、その前段階が大きいのかなと感じます。

ただ、現時点ではGMでも営業職などの他の業務を兼務している方が多いと思います。本当の意味で選手を発掘るための動き、スカウティングができているクラブはほんの僅かだと思いますし、だから所属選手の出身校のコーチくらいしか頼りにできない状況が生まれているのかなと。そんなリクルート状況がある中でのドラフトなので、どれだけ多くの選手のスカウティングができているのかという面でのクラブ間格差も課題にはなりそうですね。

井口 Bクラブのスポンサーや業務提携、アンバサダー、アドバイザーなどといった、すでに関係の深い大学からBクラブに所属選手が行き、そこに何らかの交渉があった場合、タンパリング(不正)にならないのかといった審議も難しくなってきます。

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残り4005文字のインタビュー内容は…

【現B1レベルに求められる選手像】
【1巡目の指名パスが可能なルールについて】
【最後はNBAドラフトのような華やかな集合写真を】

続きは『月刊バスケットボール2025年5月号』をご覧ください。