最大15点ビハインドからカムバックを果たしたシーホース三河、起爆剤となった西田優大「取り返さないといけない思いで切り替えた」
外国籍のトラブルをモノともせず反撃
3月12日、シーホース三河はアウェーで横浜ビー・コルセアーズと対戦した。前半で15点のビハインドを背負う苦しい展開となったが、巻き返しを見せて最終盤には一時逆転。1ポゼッションを争う白熱のゲームとなったが、一歩およばずに86-85で敗戦を喫した。
三河のライアン・リッチマンヘッドコーチは悔しさをにじませながらも、カムバックを果たしたチームを評価した。「一体感を持って40分間できました。特に後半はよかったです。自分たちがやるべきことをやっていきましたが、結果に結びつけられませんでした」
第1クォーターで三河は、横浜BCの3ポイントシュート攻勢に手を焼き、30-21とリードを奪われる。ビハインドを背負うだけではなく、第1クォーター終了間際にはジェイク・レイマンが負傷退場。さらに第2クォーター開始2分44秒でダバンテ・ガードナーが3つ目のファールを吹かれるなど苦境に立たされた。
点差は2桁に広がり、横浜BCブースターの圧倒するような声が会場を支配する。大きく崩れてもおかしくない状況だった。しかし、三河は踏みとどまるどころか、反撃を始めた。起爆剤となったのは日本人エースの西田優大だ。
積極的なアタックを仕掛けてオフェンスの起点として展開を作った西田は、この時間帯、明らかにパフォーマンスが上がった。西田は「僕自身がフワッと試合に入ってしまったので、取り返さないといけない思いもありました。積極的にプレーしようと切り替えました」と振り返る。
外国籍選手2人が出られない状況で、西田が横浜BCの外国籍選手を守らなければならない場面も多かった。体格の差は歴然だったが、けっして簡単にはやられなかった。
西田は言う。「あれも僕の仕事の1つだと思っています。ライアンやダン(タシュニーアシスタントコーチ)も信じてくれて、僕が1人で守れるのでヘルプは要らないと言ってくれます。ちゃんと仕事をまっとうできました」
三河は最大15点ビハインドからカムバックし、第2クォーター残り1分58秒には5点差まで詰め寄った。後半も一進一退の攻防が続いたがジリジリと追い上げて、最終クォーター残り50秒で第1クォーター以来のリードを奪った。
「ワークアウトでやっていた動きがモロに出ました」
逆転のシュートは、西田の1オン1からの技アリのフェイドアウェイシュートだった。ボールがボードに当たりリングに吸い込まれると、西田は小さくガッツポーズを作った。
12月のレバンガ北海道戦で勝利が決まった瞬間に大きく吠えたのは記憶に新しいが、試合中に感情を表に出してプレーすることが多くない西田には珍しいことだ。「練習後にアシスタントコーチの塩野(竜太)さんとワークアウトでやっていた動きがモロに出ました。入った瞬間に塩野さんの顔が浮かびました」
しかし最終盤、横浜BCに得点を許し、勝負をかけて臨んだ残り2.2秒のラストポゼッションでは、シュートまで行けずに敗戦となった。西田は最終的に勝利を手にできなかった要因を振り返る。
「カムバックできたのはよかったなとは思いつつも、僕らのターンオーバーや1つのミスが響いたなと感じます。もうここからは1つも落とせない試合が続いていくので、そこは修正しなければいけません。直近の試合でも、僕たちのアイデンティティであるディフェンスが崩れることがあったので、しっかり見直して臨みたいです」
リッチマンヘッドコーチも西田と同様にディフェンスの重要性を感じている。
「もう一度、自分たちはディフェンスのチームだと立ち返らないといけません。千葉ジェッツとの第2戦は良いディフェンスができましたが、ここ最近はディフェンスの意識が欠けています。我々がやっていることをしっかりと試合で発揮する。そして向上することが必要になってきます」
現在、三河はワイルドカード上位に位置しているが、地区2位のアルバルク東京との差は1ゲームで、上位浮上も十分に目指せる。ただし、残りの19試合には、各地区首位の宇都宮ブレックスや三遠ネオフェニックス、琉球ゴールデンキングスとの対戦も2試合ずつ残されている。
タフなスケジュールは続くが、西田はチームのステップアップに手応えを得ている。
「クロスゲームでは5人が結束して守り切れるか、1つひとつの我慢が大事になってくると須田(侑太郎)さんと話していたところだったので、今日はまさにそういう試合でした。この後、チャンピオンシップがかかるとクロスゲームが多くなってくると思うので、そこをみんなで徹底していきたいです」
我慢の展開の試合は今後も多くあるだろう。この試合では試合の入りに課題を感じたが、これを経験したことが今後の糧となる。エースとして期待と責任を背負い試合に挑む西田に迷いはない。競った展開でも西田が躍動し、チームを勝利に導いてくれるはずだ。