群馬の“18歳”十返翔里が初得点挙げ活動終了「ステップアップにつながる1カ月」指揮官エール
3月3日、B1東地区の群馬クレインサンダーズが、特別指定選手として加入していた十返翔里(八王子学園八王子高校)の活動終了を発表した。
現在18歳の十返は、192センチ78キロのシューティングガード兼スモールフォワード。世代屈指のスコアラーとしてアンダーカテゴリーの日本代表でも活躍してきた有望株で、1月から群馬の練習生になると、2月26日付で特別指定選手としてロスター入り。地区優勝を争う強豪の一員として、バイウィーク明けからプロのコートに立つ権利を手にした。
デビューを果たしたのは、3月1日の第22節GAME1の仙台89ERS戦。わずか1分11秒のプレータイムではあったが、第2クォーター終了間際にコートに入り、地元ファンの大歓声で迎え入れられた。待望の初得点が生まれたのは、翌2日のGAME2終盤。22点リードの残り3分35秒に登場すると、左ウィングから仕掛けてフリースローを獲得。1本目を決めてプロ初得点をマークした。さらに、同1分16秒に星野曹樹とのマッチアップでかわされかけたものの、後方からレイアップシュートをブロック。23秒には左ウィングから3ポイントシュートも成功し、客席のみならずカイル・ミリングヘッドコーチをはじめ群馬ベンチにも笑顔がはじけた。

試合終了間際に3Pを成功した十返翔里[写真]=B.LEAGUE
十返はGAME2の試合後、「本当に1カ月間チームに迷惑ばかりかけていて、何か恩返しできることはないかと考えたときに、やっぱり目に見える得点という形で最終的にチームメートに恩返しできたところは本当に自分としてはほっとしています」と安堵のコメント。GAME1で初出場した際の心境を問われると、「本当に大歓声というかお風呂にいる感覚というか、なんかもう本当にすごくて…」と高揚感を表現しつつ、「何より大歓声の中に自分が立てたことが本当に一生の財産になると思っています」と話した。
在籍期間中には、小児がん支援につながる社会貢献活動『レモネードスタンドプロジェクト』にも参加。「ああいう活動は高校ではない活動なので、よりプロ選手っていう実感にもなりました」と、コート外でも貴重な経験を積んだ。優勝争いを繰り広げるトップチームに混じった期間について、十返は「一員になれたということが本当に自分の中でも誇りに思っていますし、プロの厳しさも間近で痛感したり、この経験をやっぱり無駄にしちゃいけないという思いもあるので、これからの自分のキャリアに向けて大事なステップアップにつながる1カ月だったと思っています」と振り返った。
18歳の挑戦を見守っていたミリングHCは「翔里は、初日からすごく一生懸命練習をしてくれていましたし、バスケットボールに対するIQだったり、バスケットボール能力を生まれ持って秘めている選手だと思っています」と、そのポテンシャルを評価。現状ではディフェンスに課題があることも指摘しつつ、「このプロの世界に入って、キャリアの長い選手やフィジカルが強い選手と一緒に練習する中から彼が学んでくれたことがたくさんあると思います。本当に一生懸命ひたむきに練習し続ければ、彼がもしプロに戻ってきたとしても、彼のプロでのキャリアは素晴らしいものになると思っていますので、これからも大学でがんばってくれたらいいなと思っています」とエールを送った。

試合後にはミリングHCと「群馬一丸」の掛け声も[写真]=B.LEAGUE
群馬は3日付で十返の活動終了を発表。クラブ公式サイトを通じ、あらためて十返のコメントを掲載した。その全文は以下の通り。
「群馬クレインサンダーズの選手、コーチ、スタッフの皆さん、そして熱い声援を送ってくださったファンの皆さん。1ヶ月半という短い間でしたが、本当にありがとうございました。オプアリの演出やファンの熱狂ぶりは事前に知っていましたが、実際にその場に立つと想像をはるかに超えるもので、心を震わせる経験でした。この環境でプレーできたことを心から誇りに思っています。Bリーグのトップを目指すチームの一員になれたことは、自分にとって大きな財産です。練習では先輩方にご迷惑をおかけすることも多々ありましたが、それ以上に多くのことを学ばせていただき、支えていただいたことに感謝の気持ちでいっぱいです。そしてBリーグ初出場、初得点が群馬クレインサンダーズで良かったと本当に思ってます!またこのチーム、このコートに帰ってきたいと強く思っています!これからさらに成長し、また皆さんの前でプレーし、恩返しできるよう全力で頑張ります!群馬クレインサンダーズの優勝を心から願っています!」