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2025.03.04

初スターター起用! 山内ジャヘル琉人(川崎ブレイブサンダース)への期待

  • 月刊バスケットボール
川崎ブレイブサンダースのルーキー、山内ジャヘル琉人が、バイウイーク明けの3月1日、2日に川崎市とどろきアリーナで行われた広島ドラゴンフライズ戦できらりと光る活躍を披露した。チームとして受け入れがたい66-92という大敗を喫したゲーム1では、自信を深めているというリムアタックを武器に、自身3度目の2桁得点となる11得点と3リバウンド、2アシスト、1ブロックを記録。翌日のゲーム2ではキャリア初のスターター起用から、チームの最初の得点となる3Pショットを含む5得点と2アシスト、2スティールで、前日の汚名を返上する96-78の勝利に貢献した。


©B.LEAGUE



悔しい敗戦となったゲーム1の後、インタビューのリクエストに嫌な顔一つせずに応じてくれた山内。「今日は前半ターンオーバーが多くて、ディフェンスでもうまく連係できず簡単にトランジションで決められたり、オフェンスでのターンオーバーや簡単なミスが続いて相手にスコアされる部分が多かったです。後半もトーンセットがうまくいかず強度を上げられないまま、前半と同じような形で相手に簡単にスコアされて大差で負けてしまいました」と反省しきりの総括だったが、その後のやり取りは、ルーキーらしい希望と意欲に満ちた内容だった。


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バイウイーク期間中に判断力に磨きをかけた

——試合前日に「ドライブに自信が出てきている」とのコメントがあり、今日の試合でも、ドウェイン・エバンス選手の上からダンクを狙ったり、最後の得点もうまくペイントにアタックして奪ったりと、その部分が出せていましたね。ご自分ではどんなところがよくなっている感覚ですか?

ディフェンスの状況を見ての判断のところかなと思います。ディフェンスが出てこなかったらシュートを打つし、出てきたらアタックを狙うしというところです。単純にまずそこを考えて。その判断が少しは良くなっているのかなと思います。

——11で抜いていくところの判断力ですか?

そうです。自分がアタックして抜いていくところの判断ですね。でも、ボールをもらう前のところから判断は始まっています。もらってからの判断もそうですけれど、もらう前の時点でディフェンスの動きを見ながら、自分がいけるのかいけないのかというタイミングを自分で予測しながら。そこはこのバイウイーク期間中の練習で、ひたすら取り組んできました。

――デベロップメントキャンプでもその点は評価された感じがありましたか?

キャンプでは、最後の方で少し自分のプレーができるようになりました。評価としては、もっと最初からやって欲しかったというようなことで、いかにしてそれを最初から継続的に最後まで、しっかりやり切れるかが課題です。ミスをしてもいいから、自分の持ち味を出し続けることが大事なんだなというふうに思いました。やっぱり、様子見になって自分のプレーを出し惜しみしてしまってはいけないなと。そこをもっと最初から出せるようにしたいなと思いましたね。

――ロネン・ギンズブルグHCは、「山内選手のプレーは、これから経験を積んでいくことで間違いなく伸びてくる、期待している」というようなことをおっしゃっていました。エバンス選手に向かっていったダンクにも触れて、「ああいうところで経験値を高めていける。いろいろな判断が積み重なっていくことが必要だ」みたいなことでした。山内選手ご自身も同じような感覚ですか?

そうですね。あの場面では思い切ってダンクを狙いましたけど、そうすることによって次は相手も「また同じようなプレーをしてくるのかどうか」と予測するでしょうから、そこで自分がシュートのやり方を変えるのか、パスするのか。空中での判断にもなってくるんじゃないかなと思いますけれど、そこはこれからどんどん磨いていけるのかなというふうにも思いました。

――山内選手の空中でのプレーは見応え満点の部分ですね。そこに伸びしろがあるのは本当に楽しみですね!

はい、そうですね。そこは自分の中でも武器にできるなというイメージを持っているので、しっかりこれからも磨いていきたいなと思います。


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――そうした駆け引きの機会を作るには、やっぱりコートに立ってないといけないですね。プレータイムを徐々にもらえてきている中でも、もっともっとそれを増やしていくにはどんなことが必要だと思いますか?

オフェンスだけではなくて、絶対に頑張らなければいけないのはディフェンスです。それができないと、そもそもプレータイムをもらえません。ディフェンスができて、初めて課題をオフェンスに持っていけると思うので、自分の持っているオフェンスのスキルを磨いていくためにはまずディフェンスからです。ベースになるのはディフェンス。そこをまずは絶対に徹底して取り組むことを意識していきたいなと。プレータイムをこれからももらっていけるかどうかの鍵は、そこになるだろうと思っています。


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有言実行! ディフェンス重視の姿勢

翌日のゲーム2に勝利した後の山内は、また別のメディアのインタビュー要請に応えていた。それが終わってロッカールームに戻ろうとする背中に「初スターターおめでとうございます」と声をかけると、とっさに振り返った山内は丁寧に一礼し、まっすぐこちらを見て「ありがとうございます」と返してくれた。

ギンズブルグHCはゲーム2でスターターをシャッフルした理由を「ディフェンス重視の観点から」と説明していたが、フィジカルなビッグマンから俊敏なウイングプレーヤーまでタイプの異なるプレーヤーをガードした山内は、数字以上に粘り強よさを感じさせた。

3Q序盤には、エバンスの高さに苦しむ山内を短時間でベンチに戻す判断もギンズブルグHCはしていた。しかし逆に、最終クォーターでは山内をフルにコートに立たせている。これも指揮官の考え方が表れた起用だったのかもしれない。

その間、山内は山崎稜、三谷桂司朗、ロバーツ ケインらを堅実にガード。一方オフェンスでは、神がかり的な当たりを見せたマシュー・ライト(第4Qだけで3Pショットを7本中6本沈めて20得点[試合を通じては24得点])を巧みなペイントアタックからアシストしたプレーもあり、川崎が31-22と広島を突き離す過程で大きな力となった。

「ディフェンスをベースにオフェンスへ」
「ディフェンスの動きを見ながら、自分がいけるのかいけないのかタイミングを予測しながら…」

前夜のそんな言葉がしっかり体現されたゲーム2でのプレーぶり。ギンズブルグHCの期待もさらに膨らんだに違いない。