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2025.03.04

川崎ブレイブサンダースに現れた“若い力”…山内ジャヘル琉人、初の先発起用に応えるパフォーマンス

  • バスケットボールキング

「今日のスタメンを選んだ基準はディフェンスができること。そして、それをどれだけのエナジーを持ってできるのか、でした。米須(玲音)選手と山内(ジャヘル琉人)選手は若い選手です。彼らに経験を積ませなければいけない部分があり、彼らのフレッシュなパワーも必要だと思いました」

 ロネン・ギンズブルグヘッドコーチが指揮を執る川崎ブレイブサンダースは、3月2日に川崎市とどろきアリーナにて行われた「りそなグループ B.LEAGUE 2024-25 SEASON」B1第22節第2戦で広島ドラゴンフライズと対戦。66-92の大敗を喫した第1戦から先発4人を入れ替え、特別指定選手として加入した2人をスターティングメンバーとしてコートに送り込んだ。山内にとっては出場13試合目にしてプロ初の先発。直前に知らされたというが、「心の準備はできていたので、そこは大丈夫でした」と、堂々と語りつつ、次のように明かした。

「特別な思いはありませんでしたが、今までとやることを変えず、スタートだろうと、スタートでなかろうと自分の仕事を全うしようという意識でした。トーンセットが大事なので、自分が出ることによって、チームにいい影響を与えられるように臨みました。ディフェンスでは相手に好きなことをさせないという意味で、ネノHC(ギンズブルグHCの愛称)は僕を起用してくれたと思っています」

 かつてチェコ代表を率いた61歳の指揮官は「ディフェンスができて、複数のポジションを守れる部分がすごく大きいです。加えて身体能力もある。素晴らしいものを持っていると思っています」と、190センチ96キロの体格を誇るシューティングガードを評価。一方で「判断力」を課題として挙げ、「経験の少なさは経験を積ませることでしか埋められないと思っています。彼が今後、どのように成長していくのかがすごく楽しみです」とも口にした。

4試合連続で20分以上の出場時間を獲得するなど主力としてプレー [写真提供]=川崎ブレイブサンダース

 山内は第1クォーター開始52秒に3ポイントシュートでチーム最初の得点を記録。「あまり一発目に決めることがないので、気持ち良く次のプレーを準備できたと思っています」。同2分47秒には体の強さを活かしたドライブで相手のファウルを誘発し、フリースロー2本を確実に沈めた。広島がビッグラインナップを敷いた第2クォーター途中にはドウェイン・エバンスとマッチアップ。しかし、「自分のディフェンスミス」から2つ目のファウルを犯し、わずか24秒の出場で“守備職人”長谷川技と交代した。

「自分がベンチの時間帯はハセさんのディフェンスの動き、予測の部分を見て学ぶようにしています。それが自分のディフェンス力を高めるために必要だと感じています。練習中も意識していて、どのようにディフェンスしているのかを見て学んでます」

 後半は17分12秒のプレータイム。マシュー・ライトの爆発によって結果的には18点差がついたものの、山内は勝負の第4クォーターもコートに立ち続け、試合を通じて24分14秒の出場で5得点2アシスト2スティールをマークした。「すごくパフォーマンスが良かったので、今後の試合で彼をスタメンとして起用していくこともあると思います」(ギンズブルグHC)」。指揮官の抜擢に応え、チームに4試合ぶりの白星をもたらした。

 経験豊富なベテラン選手を擁する川崎にとって、「若い力がチームにいいエナジーをもたらす」と22歳は自覚しており、「自分たちがアグレッシブにプレーすることで、チームの勢いが変わると思っています。それを一戦一戦で体現できたらなと。今は一つひとつしっかりと学んで、チームにいい影響を与えられるような選手になるために頑張っています」と続けた。

 13勝26敗で中地区8位。数々の優勝歴を誇る川崎が本来いる場所ではないかもしれない。それでも、明るい未来のために、再建に向けた歩みを着々と進めていく。

山内とともに特別指定選手として川崎に加入した米須玲音 [写真]=B.LEAGUE

取材・文=酒井伸

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