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2025.02.07

U12で運命が決まる!? 韓国ユースバスケの厳しい現実

  • 月刊バスケットボール

蔚山現代 U15ヘッドコーチに聞いた韓国ユースバスケ事情


2月1日、2日に開催された「インフロニア B.LEAGUE U16 CHALLENGE CUP 2025」。韓国からは蔚山現代モービスフィバス(Hyundai Mobis Phoebus)U15が出場し、2日間で3試合、BリーグU16チームと戦った。結果として3連敗し、6位に終わったものの、昨夏韓国で開催された「KCC 2024 KBL YOUTH CLUB大会」では優勝。横浜ビー・コルセアーズ U15に2勝しての頂点というから、本来の実力を発揮できなかったと言えるかもしれない。

「練習は週1回。その練習も1時間から1時間半に限られていたので、体力的な問題は難しい部分がありました。また、この年代では10分クォーターでの試合をほとんど経験していません。その難しさもありました」と語ったのは、ソン・テギュンHC。選手たちは勉強に忙しく、練習時間を確保できないのだという。大学入試が人生を左右すると言われる韓国では、U15世代でも学業が最優先なのかもしれない。

試合の中で光るプレーも見せ、試合後には笑顔を見せて日本の選手たちと交流していた蔚山現代 U15の選手たちだが、彼らが将来的にプロ選手になる可能性は基本的にはない。スポーツに長けた選手はU12の時点で、エリートコースがある中学校に振り分けられるからだ。


ソン・テギュンHC

ソンHCは、「優れた選手は、中学校に上がる段階で、エリートコースがある学校に行くことになります。今U15でプレーしている選手が、そこに行くことはなくU16、U17、U18のチームでプレーするか、勉強を重視して辞めるかという選択になります」と説明。そのうえで、「昔は部活やユースクラブ、街クラブが盛んでしたが、近年は減少傾向にあると感じていて、マイナスな部分が多い気がしますね。国内でのバスケ人気も、サッカーや野球に比べると見劣りしてしまいます。世界に挑戦する選手がいないというのは、大きいんだと思います」と言及した。

韓国では、エリートコースに入らなければトップを目指すこと自体が難しくなる。一方、日本では中学や高校からでも競技を始め、努力しだいで成長できる環境が整っている。この違いは、日本のバスケットボール界にとって幸運なことだと言えそうだ。


光るプレーも見せた蔚山現代モービスフィバス U16の選手たち