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2025.02.03

大学を中退してプロの世界…滋賀レイクスに加入した19歳の長谷川比源、“トップオブトップの選手”へ

  • バスケットボールキング

「地元に帰って来られてうれしいです。大学でもとどろきで試合をやっていました。ゲーム1は短いプレータイムで自分の強みを出せて、神奈川の皆さんの前でそういったプレーができたのは良かったです。ゲーム2はディフェンスでハードに頑張るとか、オフェンスのプットバックがあって、いつもより長いプレータイムをもらいました。ああいう3ポイントシュートを決めきる準備をしてきたし、ゲーム1でもしっかりと3ポイントを決めたので、自信を持って打っていました。最後の勝負どころで決めきる力がなかったことは自分の力のなさというか。ゲーム2は『すごく悔しい』という一言に尽きます」

 2月2日に川崎市とどろきアリーナで行われた川崎ブレイブサンダースとの「りそなグループ B.LEAGUE 2024-25 SEASON」B1第20節を終えて、滋賀レイクスの長谷川比源は2連戦をこのように振り返った。

 23点差で大敗した初戦から一転、第2戦では川崎を相手に接戦を演じ、試合終了残り1分25秒の時点で90-91。失点後のオフェンスで得点ランキング1位に立つブロック・モータムからパスを受けた長谷川は迷わず3ポイントシュートを放ったものの、そのボールはリングに嫌われた。最終スコア95-98で敗戦。今シーズン31敗目を喫した。

 長谷川は試投した4本すべての3ポイントを失敗し、2得点6リバウンド2アシスト1スティール。本人の言葉にあるとおり、外国籍選手へのマークに加えてガード選手とのマッチアップも繰り広げ、202センチの身長を活かしてオフェンスリバウンドから得点を奪った。日本人ビッグマンの市岡ショーンがファウルトラブルに見舞われたとはいえ、プレータイムは第1クォーターの出場も含めて20分13秒。アルバルク東京、メルボルン・ユナイテッド(オーストラリア)、秋田ノーザンハピネッツでアシスタントコーチなどを歴任し、2シーズンにわたって長崎ヴェルカを率いた前田健滋朗ヘッドコーチは、12月にプロ契約を結んだばかりの19歳について「勝つために必要な選手としてコートに送り込みました」と明かした。

「リバウンドの部分で貢献してくれました。ディフェンス面で高さがあるのは彼の強み。そして、ストレッチ(相手ディフェンスを広げる)できるというところで彼に託しました。いろいろな見方があって、彼を経験させるとか、成長させるという見方をされるかもしれませんけど、私はそんなつもり一切ないです。コートをストレッチできる部分が強みだと感じていますが、今日はそれを発揮できなかった。これを本人がどう受け止め、どう次に活かして、次に決めれるかというところは、彼自身の戦いかなと思っています」

 長谷川は滋賀への加入を機に、プロバスケットボール選手としてのキャリアを歩み始めた。34歳ながら経験豊富な指揮官は次のような評価を下した。

「まだまだこれからかなと思っています。私はありがたいことにたくさんの選手を見てきました。過去に在籍させてもらったチームにも素晴らしい選手がいて、オーストラリア(のチーム)にも行ったなか、彼がもっともっと飛躍するためにはもまだまだ足らないと思っています。もちろん、19歳という年齢を考えたらいい部分は持っていますけど、まだまだ。本当のトップオブトップの選手になるためには、まだまだ足らないと思っています」

 中学途中までサッカーをプレーしていた過去がある彼は、エリート街道を歩んできたわけではない。父親が元選手だったこと、“コロナ禍”の影響で「幼い頃からやっていた」バスケットボールに熱を入れ、Bリーガーを目指すようになったという。そして、1年限りで神奈川大学を中退し、プロという道を選んだ。

「いろいろと考えて、自分は高いレベルでプレーしたかったです。Bリーグでプレーするのは1つの夢でもありましたから。プロに挑戦する意思を固めてから、決めるまであっという間でした。(横浜清風)高校は全国に出られませんでしたけど、自分としては同じ代で活躍している人たちを意識していました。だからこそ大学の1シーズン目で結果を出せたと思うし、オファーもいただけました」

取材・文=酒井伸