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2025.01.31

渡邉伶音(アルティーリ千葉特別指定選手/福岡大附大濠高3年)との一問一答――18歳が首位チームにもたらす刺激

  • 月刊バスケットボール

昨年末のウインターカップで、福岡大附大濠高が3年ぶり4回目の優勝を成し遂げる原動力となった後、今年の元日に特別指定選手としてアルティーリ千葉に加わった渡邉伶音(福岡大附大濠高3年)。18歳で身長206cmの若き万能フォワードが、125日に千葉ポートアリーナで行われた山形ワイヴァンズ戦GAME1で、ブラックネイビーのユニフォームでのホームデビューを果たした。

4Q残り2分になろうというところで渡邉がベンチで立ち上がると、5151人の大観衆から歓声が沸き起こった。残り157秒にコートに入った渡邉は、そのわずか6秒後に齋藤瑠偉のドライビングレイアップを豪快に空中で叩き落し、いきなり爆発的な瞬間をアリーナに生み出した。この試合で3リバウンド、1ブロックを記録して91-70の勝利に貢献した渡邉は、翌日のGAME2でも終盤に出場機会を得、その後会見に登壇した。

ここではその会見時に交わした一問一答を紹介する。「今日はチーム全体として、激しいディフェンスからのトランジションがすごく多く出たので、それが大きな勝利につながったかなと思います」と92-83の勝利を総括した渡邉は、緊張した面持ちながらしっかり答えてくれた。


3番ポジションでの自分を完成させて、ビッグマンへの対応もできるようになりたい


1/25の山形線第4Q、ブラックネイビーのユニフォームでデビューを果たした渡邉(写真/©B.LEAGUE)



——アルティーリ千葉でやってみようかなと思った大きな理由はどんなことでしたか?

アルティーリ千葉はすごく前から激しいディフェンスを敷いて、速いバスケットを展開しているのを動画で見たりして知っていました。ライジングゼファー福岡の特別指定選手だった昨季のデビュー戦もアルティーリ千葉が相手だったのですが、そのときもすごくディフェンスの圧を感じて…。前からディフェンスで当たるアグレッシブなところをもっと学びたいと思ったので、アルティーリ千葉に入りました。自分は将来的に3番ポジションを完成できるようになりたいんですけど、今、3番をやらせてもらっています。

——練習だとブランドン・アシュリーやデレク・パードンとも対決する場面があるのかなと推察しますが、やってみてどうですか?

練習では、裕土さん(大塚裕土)とかクマさん(熊谷尚也)につくことがほとんどで、ブランドンたち外国籍選手にはあまりつかないんです。でも将来的に、3番でやりながら4番・5番をしっかりディフェンスできることが必要だと思います。今は、3番の選手を足で追いかけるところに課題が多いので、まずはそこでついていけるようにやっているんですけど、今後はそこ(ビッグマンへの対応)をしっかりできるようになりたいです。4番・5番をフィジカルで守り切る力も将来的に自分の理想として考えています。

——大塚選手の3Pショットに渡邉選手が練習でついていくという状態なんですね?

もう、練習ではバシャバシャ決められまくっています(笑)。でも常に裕土さんがいろいろと教えてくれて、なるべく前(相手の正面)で守れるように、ついてこられるようにというところを課題としてもらっています。逆にオフェンスでは自分がミスマッチになるので、カッティングしていったらそのままスルーしてインサイドにとどまるようにとか、チームの皆さんがすごく考えて声をかけてくれます。自分も強く行けるようになりたいと思います。

——高校での試合とは会場の環境が違うと思いますが、約5000人のA-xxがスタンドをブラックネイビーに染めて、渡邉選手の登場を今か今かと期待しながら見ている中でプレーするのはどんな気持ちでしたか?

まず、自分の地元である千葉で、このコートでプレーできるというのは本当に幸せでうれしい気持ちでいっぱいです。昨日アルティーリ千葉でデビューした時の歓声はすごく自分の中でも強く感じられて、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。まだ入ったばかりでそううまくはいかないと思いますけど、もっとプレーでA-xxの皆さんに恩返しができるように、日々の努力をもっともっと大事にしたいと思います。

——子どもの頃の仲間やご家族は見に来ているんですか?

そうです。自分は地元が柏市なんですけど、千葉市にも知り合いや友達がいっぱいいますし、アクセスもいいので幅広く見に来てくれています。


デビュー戦後のコートで、緊張しながらも大観衆に向かって笑顔で挨拶する渡邉(左はまつみたくやMC、写真/©B.LEAGUE)




——206cm、98kgというサイズで、例えば体重をもう少し増やしたいなど、これから改善していきたいところはありますか?

自分は高校2年生のときはもっとビッグマン寄りの体型で、100kgぐらいあったんです。3年生になってハンドラーとしての練習をするようになったら少し運動量が増えて、体型も3番寄り…というか95~96kgぐらいになりました。でも筋肉量は増えていたので、問題を感じていたわけではありませんでした。

今は、自分の体をもっとしっかり思ったとおりに動かせるようにしたいです。やっぱり3番でウイングをやっていれば、1番・2番ポジションにもつく可能性があるので、自分の足が思ったように出ないようだとディフェンスを任されないと思います。特に下半身の部分で課題がいろいろ多いので、体重というよりは体力的なトレーニングをしっかりしていきたいです。

——アジリティー、ラテラルムーブ、コーディネーションというようなことですか?

はい、そうです。やろうとしている動きはできるんですけど、その質が不十分だったり遅かったりがあるので、そこをトレーニングで(高校生レベルからプロレベルに)上げていきたいと思っています。

「3番として育てたい」とレマニスHC

今季B2で、序盤からリーグ全体の最高勝率で快調に走り続けているアルティーリ千葉に渡邉が加入するというニュースが、バスケットボール界の注目を集めたのは言うまでもない。しかし最大のインパクトを受けているのはもちろん、アルティーリ千葉自体だ。

アンドレ・レマニスHCは渡邉について、「素晴らしいタレントの持ち主。あのサイズで十分動けるし、驚くほどハンドリングがいい。ペリメーターで活躍できる3番として育てたいと思って楽しみにしていますよ」とコメントしている。「我々と一緒に過ごしてもらえるのがうれしいですね。ここで彼の成長を助けられるわけですから。彼が来てくれたということは、我々の側にも選んでもらえるだけの魅力があった証でもあるでしょうし。ウチにはいろいろと教えられるいい先輩もそろっているので、彼にとっても最高の環境だと思います」

渡邉のボールハンドリングの良さは、ガードフォワードの前田怜緒にも強い印象を残したようで、「あの身長で、シュートがうまいというのもあるんですけどドリブルができるというのが本当にびっくり」と話している。また、渡邉が午前中の練習に誰よりも早くやってきて、チームで2番目に若い司令塔の黒川虎徹(23歳)と二人でワークアウトをしたり、練習後にも居残りで汗を流す姿は、前田をはじめ先輩たちに良い意味での緊張感をもたらしているようだ。「本当に自分の目標のためなら努力を欠かさない選手なんですね。自分たちにもめちゃめちゃ刺激になっています」と前田は感心した様子で話してくれた。

ホームデビューとなった第18節を終えて322敗(その後29日にアウェイでの鹿児島レブナイズ戦も制し、31日時点では33勝2敗、勝率.943)という安定感を誇るアルティーリ千葉にあって、先輩たちに良い刺激をもたらすことができる18歳。まずは今季どのような足跡を残すか、目が離せない存在だ。



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