ファンも一緒に「垣根を超える」…ALL BASKETBALL ACTIONを体現したBリーグ選手と車いすバスケ選手が「またやりたい!」
◆■コート上での交流を楽しんだBリーグ選手と車いすバスケットボール選手
1月19日、Bリーグのスター選手が集結する「りそなグループ B.LEAGUE ALL-STAR GAME WEEKEND 2025 IN FUNABASHI」が開催されたLaLa arena TOKYO-BAY(ららアリーナ 東京ベイ)で「ALL BASKETBALL ACTION 2025 in 船橋 supported by 日本生命」が実施された。
ALL BASKETBALL ACTIONとは、日本生命と日本バスケットボール協会、日本車いすバスケットボール連盟の3者が“バスケットボール界全体で日本を元気にしていく”を理念に掲げて、イベントを実施する取り組み。昨年に引き続き今回もオールスターゲーム直前のコート上で行われ、Bリーグの川真田紘也(長崎ヴェルカ)と車いすの鳥海連志(車いすバスケットボール日本代表)、BリーグのD.J・ニュービル(宇都宮ブレックス)と車いすの古澤拓也(車いすバスケットボール日本代表)がそれぞれペアを組み、2人でコート上の障害物をクリアしてシュートを放つタイムトライアルで勝敗を競った。
「タイムトライアルなんて、無理無理」と言っていた先攻の川真田は、なんとか障害物をドリブルで抜けるとパートナーの鳥海にパス。そのリターンパスから3ポイントシュートを狙うが惜しくもリングを叩いた。しかし、そのボールをすぐに鳥海が障害物を交わすドリブルでつなぎ、川真田にパス。リターンパスを受けた鳥海がフリースローを一発で決め、24.0秒で終了。
一方、後攻のニュービルと古澤ペアは、ニュービルがスムーズに障害物をドリブルで抜けると古澤にパス。リターンパスを受けたニュービルが3ポイントシュートを狙うが、今回もボールがリングを通過しなかった。それでも古澤がここからドリブルで加速。タイムが注目されたがニュービルからリターンパスを受けた後のフリスローを一発で決められず、タイムは29.4秒。先攻の川真田・鳥海コンビが勝利を収めた。
コート上でALL BASKETBALL ACTIONを終えての感想を求められたニュービルは、「僕自身楽しめたし、一緒にコートで楽しめたことがうれしかった」と笑顔で回答。「次のLA(ロサンゼルスパラリンピック出場)に向けて応援しているのでぜひ頑張ってほしいですし、皆さんもサポートしていただければ」と、ファンにアピールした。車いすバスケットボールの選手との交流が初めてだった様子の川真田は、「とても楽しかったですし、僕自身もこういう経験ができてうれしい。次、チャンスがあれば呼んでください」とコメント。川真田にとっても意義深い交流になったようだ。
◆■「垣根を超える」「殻を破る」ことの重要性を実感
ともにららアリーナ 東京ベイでプレーできること、そしてBリーグ選手と交流できるこの日を楽しみにしていたという古澤、鳥海の両選手が出演後にインタビューに応じた。古澤は「会場に入って、さらにコートに入って、大きなアリーナだなと実感しました。独特の空気感、緊張感のあるアリーナだと思いました」と第一印象を語った。対する鳥海は、「僕はアリーナが大きくなればなるほど自分も楽しめ、より気合が入るタイプです。このアリーナで多くの観客の皆さんの前でプレーできることが何より“超ハッピー”という感じでした」と興奮を隠さなかった。
また鳥海は同じ年齢の川真田について、「マイキー(川真田)はキャラが立っているし、今、第一線で活躍している選手なので、パス交換ができたのがうれしかったです。何よりこのような交流を見てくださる方たちがこのプロジェクトを通して、垣根を超える、(バスケの)カテゴリーにとらわれず、一緒に楽しめることを感じてもらえればうれしく思います」と、ファンに語りかけた。
ALL BASKETBALL ACTIONの意義について、古澤は「こういう活動を通してすごく大事になってくるのは、バスケットボールがカテゴリーの垣根を越えて、すべての選手、ファン、関係者の皆さんが楽しめる競技であることが魅力だと思います。また、このように色々なカテゴリーの選手と関われることによって、選手間だけでなく、応援してくださる皆さんとのつながりができることがとても大きなものになるのではないかと思っています」と、この活動の可能性についても言及。
自身の幼少期の環境が原動力になっていると話す鳥海は、「みんなと一緒に遊んで、一緒に育ったから運動能力が向上したし、こうしてバスケットボールプレーヤーとして活躍できていると思います」と、垣根のない環境の大切さを語った。
「Bリーグの選手たちと一緒になってバスケットボールをすることで、見てくれる方たちが自分に当てはめたときに、もっと殻を破って自分をさらけ出すことで、もっともっとつながっていける。そういう循環のきっかけに僕たちがなれるのはすごく光栄です。こうして自分たちができることを一生懸命やっていくこと自体がすごく大事な時間だと思っているので、こういう機会を通して、自分たちがやれることを表現する。車いすバスケットボールを広めていくという意味でも、すごくいい時間になりました。このような活動を通じてアピールしたいし、これからもこのような機会があれば非常にうれしいです」
鳥海は、ALL BASKETBALL ACTIONの意義と大切さを強調。それだけにカテゴリーの違う選手、ファンとの垣根を超えた交流に手応えを感じているようだった。