三遠との強豪対決に敗れたアルバルク東京、12アシストのテーブス海が「やりたいバスケットではない」と語った理由
「リバウンド、トランジションのところで負けた」
12月18日、アルバルク東京は三遠ネオフェニックスに72-82で敗れた。
この試合、A東京はヘッドコーチのデイニアス・アドマイティスに加え、アシスタントコーチのエヴァルダス・ベルジニンカイティスも体調不良で欠場。その結果、岩部大輝アシスタントコーチが指揮を執った。このいつもと違う状況でもチーム一丸となって持ち前のハードワークで対抗したが、パスがよく回る本来のハーフコートオフェンスが展開できず、タフショットを打たされトランジションへと繋げられる悪循環に陥ったことが敗因となった。
岩部コーチは「自分たちのバスケットボールができなかったです」と試合を総括。特にオフェンス面では、三遠の激しいプレッシャーに屈してしまったと見ている。「三遠さんは、うちのセットプレーの頭のところを完全に壊してきて、そもそもウチがやりたい形でオフェンスができていなかった。効率の良いオフェンスではなかったです。もう少し再現性のあるオフェンスを展開していかないといけないです」
また、アドマイティスヘッドコーチとは連絡を取り合っていたが、指揮官の助言を活用する状況にすら持ち込めなかったと語る。
「試合中も『ここを狙いたい、このプレーは避けた方がいい、こういうディフェンスに変えた方がいい』と連絡は逐一来ていました。アイデアはありましたが、それを実行する状況にすら至れなかったです。具体例を挙げると、ニカ・ウィリアムズ選手のところを攻めたくても、エントリーのところでうまくいかずに実行できなかった。僕らの遂行力が低かったところに尽きます」
A東京の中心選手であるテーブス海は、このように試合を振り返る。「自分たちのペースでバスケットができずにバタバタした時間帯もありました。その中でもしっかり我慢できた時間帯があったにもかかわらず、前半から自分たちの理想としているボールムーブメントからのハーフコートオフェンスができませんでした。最終的にはリバウンド、トランジションのところで負けてしまったのかと思います」
「今日みたいな試合に勝つにはもっと我慢が必要」
188cmとリーグ屈指の大型ポイントガードであるテーブスだが、この試合では194cmの湧川颯斗、フィジカルの強さに定評のある191cmの津屋一球と、自分よりサイズのある相手に前から激しく当たられていた。
そんな中でも相手の密着マークを突破しての10得点に加え12アシストと奮闘したが、テーブスは司令塔としてやりたいゲームコントロールはできなかったと反省する。「今日は三遠さんのディナイなどによって気持ち良くセットプレーに入れないことが多かったです。その裏を取るプレーとして、自分がスクリーンをリジェクトしてアタックしたり、リバウンドを取ってそのままアタックすることが多かったです」
テーブス個人は12アシストを挙げたが、全員がボールに絡むチームオフェンスは展開できず、相手の術中にハマっていた思いが強い。「僕が仕方なく切れ込んだことで生まれたシュートがアシストに繋がったことが多かったです。これは自分たちがやりたいバスケットではないです。自分のアシストは増えましたが、チームの流れが悪くなってしまった認識です」
これでA東京は、先週末に行われた島根スサノオマジックとのゲーム2(63-74)に続く連敗となった。島根、三遠ともにリーグ上位の強豪で、連敗自体を深刻にとらえる必要はないのかもしれないが、2試合ともに相手の狙いどころを絞ったディフェンスにリズムを崩されており、見つめ直す部分はある。
テーブスは、今のチームの課題をこう語る。「今日も島根戦も自分たちのやりたいことが明確だからこそ、相手のチームも止めたいところが明確です。自分たちのやりたいバスケットを止められた時にどうアジャストできるか。そこにはいろいろな答えがあり、個の力で打開しないといけない、もっとコミュニケーションを取らないといけない時間帯などがあります。その中でも、我慢できるようになっているのは成長している部分ですが、島根のゲーム2や今日みたいな試合に勝つにはもっと我慢が必要なのかと思っています」
A東京は今シーズンがアドマイティス体制3シーズン目で、これまで同じスタイルを継続しているからこその連携の取れた手堅いハーフコートオフェンスを展開できている。だが、テーブスが指摘するように、組織力の高い相手にとっては対策がしやすい面もある。
ここで相手の裏をかく作戦を積極的に使うのも一つの策だが、さらに遂行力を高め、相手の対策を真っ向勝負で粉砕することがA東京のあるべき戦い方だ。テーブスが12アシストでも反省していたのは、小手先の変化に依存しない強さのみを追求する姿勢がチームに浸透していることを示している。