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2024.12.19

千葉ジェッツ 田村征也社長が語る“夢のアリーナと地域貢献の未来”

  • 月刊バスケットボール
「夢のアリーナを最大限に生かせる機会ですので、千葉ジェッツとしてもそうですし、B.LEAGUEと共に全国に船橋市をアピールしたいと考えています」。
そう語ったのは千葉ジェッツの田村征也社長です。
2025年1月18日、19日、千葉ジェッツのホームタウンである船橋市で「りそなグループ B.LEAGUE ALL-STAR GAME WEEKEND 2025 IN FUNABASHI」が開催されます。B.LEAGUEと千葉ジェッツは、B.Hope ACTIONで地域の未来を担う子どもたちに対し、将来の可能性を広げるきっかけとなることを目指した取り組みを実施します。
千葉ジェッツは、他クラブに先駆けて2019年に社会貢献プロジェクト「JETS ASSIST(ジェッツアシスト)」を立ち上げるなど地域貢献への思いが強いクラブです。そのプロジェクトは今、クラブ主体のものに加えて選手個人の活動、そして行政や地元企業と連携して行うものと広がりを見せています。
いかにして善意の活動は広がりを見せていったのか。振り返りつつ、描く未来の形について語っていただきました。

――2019年にスタートさせた社会貢献プロジェクト「JETS ASSIST」の方針を教えてください。

田村)「JETS ASSIST」は“ささえる”からはじまる“社会貢献”をスローガンにしています。最も大切にしているのは、地域を大事にすること。ブースターや地域社会の皆さんとともに、オフコートでも地域愛着を追求し、地域や企業のハブとなり、社会課題を解決する活動を行っています。

――近年では、多くのクラブが社会貢献活動をプロジェクトにして活発に行っています。どんな部分に特色があるでしょうか?

田村)重なってしまいますが、地域に根差した活動という部分です。我々はホームタウンの船橋市に加えて、フレンドリータウン、ブーストタウンと合わせて千葉県内の6市と連携協定を結んでおり、その活動の幅はすごく広がっていると感じています。幼稚園や保育園、小学校の訪問といったところは多くのクラブが行っていると思いますが、活動を続けてきた結果、選手自身が“自分たちも実施したい”と意欲的に参加するようになりました。
原修太選手の「ハラの輪」、荒尾岳選手の「G.CREW」、小川麻斗選手の「with A」など派生しているところは、ジェッツらしいところだと思います。幅広い地域で活動を積極的に続けてきた結果、選手も含めて賛同者が数多く出てきたという形です。もちろん、選手たちが能動的に行っているものであり、富樫勇樹選手による招待席「TOGAシート」など、選手たちがやりたいことを考えて実施してくれるようになったのは、すごく大きな変化だなと感じています。




――継続してくる中で、選手やスタッフの皆さんの熱量が変化したのでしょうか?

田村)地域担当ができたのが4年くらい前でした。次にチームを作って力を入れてコツコツと続けてきた地域貢献活動を見て、選手たちを中心とした活動がさらに生まれて…という形です。リソースを投入したことで、ボトムアップで活動が拡大していると感じます。 元々ジェッツは市民球団的な立ち上がり方をしていて、コミュニティを大切にしています。地域の皆様に応援いただくことが、我々にとって最もバリューがあることなので継続して活動してきた結果今があると思います。
ボランティアという形ではなく、我々がハブになって地域企業や行政を巻き込むことで、継続的な支援ができているということが重要です。ボランティアが悪いということではありません。しかし、それでは誰かに負担がかかる部分も出てきてしまいます。地域の課題に対して継続的に活動するために、パートナーとタッグを組んで資金やリソースを集めて共に活動してきたからこそ、地域貢献活動がさらに広がっているのだと思います。



――パートナーになった企業にとって、ウィンウィンになる形を見出しているということですね。

田村)行政の課題を解決できる形と企業と共に作る。そして課題解決を達成することで行政も企業も、我々も喜ぶことができます。正に三方よしの施策です。

――活動を続ける中で、地域の方の反応はどう感じていますか?

田村)直接地域の方から感謝の声をいただく機会も多くありますが、昨年「第8回食育表彰」の農林水産大臣賞をいただきました。これはプロスポーツクラブで初のことです。異なる分野の方にも、我々が行っている活動の価値を感じていただけている証拠だと思います。またBリーグのクラブとして初となる「HEROs AWARD」も受賞させていただきました。

――先日、待望のアリーナ「LaLa arena TOKYO-BAY」がオープンとなりました。クラブとしてアリーナと共に描く未来像はどんなものですか?

田村)率直に言いますと、人がふらっと立ち寄る、行き来しやすいアリーナになってほしいと思っています。もしチケットを持っていなくても、巨大ビジョンで試合映像を流したり、アリーナの外でスタージェッツがパフォーマンスを披露していたり、キッチンカーがあったりと楽しめる場所になっています。アメリカのベースボールパークのようなイメージです。バスケも地域の方々にとってもっと身近な存在にあるように、開けたアリーナにしていきたいですね。
また、これまでバスケのアリーナというと観戦のためだけに行く場所であることが多かったと思います。しかし、「LaLa arena TOKYO-BAY」にはすぐ近くに大きな商業施設があります。買い物や食事のついでにアリーナに寄ってみるというように、人々の生活の一部にアリーナが溶け込み、バスケ観戦がもっと気軽にできるものになるといいなと思います。商業施設でも、赤いTシャツを飾ってくれていたりするので、地域が一体となってさらに盛り上がっていくのが理想の未来像です。



――2025年1月には「りそなグループ B.LEAGUE ALL-STAR GAME WEEKEND 2025 IN FUNABASHI」が開催されます。行政も、大きな期待を抱いているのではないでしょうか?

田村)オールスターは日本全国から1万人規模のお客様がいらっしゃる機会であり、船橋市が注目される絶好の機会です。市全体が盛り上がり、地域活性化になると、すごく期待していただいていると感じます。人の流れが生まれることは経済的なメリットもあり、地域社会にとって非常に重要なことです。船橋市を全国にうまくアピールしたいと考えています。

――当然、開催地のクラブとして、強い思い入れもありますよね。

田村)関東圏で初めて完成した夢のアリーナが「LaLa arena TOKYO-BAY」です。Bリーグとして描く夢の実現であり、その夢のアリーナを最大限に生かせる機会ですので、千葉ジェッツとしても、Bリーグと共に全国に船橋市をアピールしたいと考えています。個人的には、前回、沖縄で開催された「B.LEAGUE ALL-STAR GAME WEEKEND 2024 IN OKINAWA」がすごく印象的でした。それを超えるものにしたいですね。

――ありがとうございます。千葉ジェッツは、クラブとして成熟した体制にあると思います。この先について、どんな未来を描いているのかを教えてください。

田村)あらゆる面でNo.1を目指しています。競技面での目標は、地区優勝に加えてBリーグチャンピオンシップ、3連覇がかかった天皇杯の制覇です。さらに「バスケットボール チャンピオンズリーグ アジア(BCL Asia)」で王者を取ることも目標に掲げています。事業面においてはまず入場者数。以前はNo.1をキープしていましたが、他県でのアリーナの完成もあって順位が落ちてきています。「LaLa arena TOKYO-BAY」もオープンしてキャパシティーも広がりましたので今年は1位を奪還したいと考えています。また、ソーシャルメディア最優秀クラブも2年連続でいただいているので、3連覇を目指します。いずれにせよ事業面、競技面でBリーグNo.1になること。もちろん社会貢献活動においてもNo.1を目指します。
今年はEASL(東アジアスーパーリーグ)でファイナル4に進み、優勝することができました。その際、富樫選手の活躍を見た現地ファンがMVPコールをするという場面を目撃し、バスケは国境を超えると感じました。クラブとしてはアジア市場も目指し、アジアを代表するクラブに成長することが中期的な目標です。日本一からアジア一へ、どのように成長していくべきかを見据えて邁進していきたいと思います。



取材協力:Bリーグ

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