中地区3位、上々のスタートを切ったサンロッカーズ渋谷のルカHC「フェーズ1は我々が目指すモノのベースを作り上げることができた」
田中大貴はオフェンスでの存在感アップを目指す
昨シーズンのサンロッカーズ渋谷は日本代表のジョシュ・ホーキンソンを筆頭に大型補強に成功したことで、優勝候補に挙がった。しかし、開幕直前の故障者もあって2勝9敗と大きく出遅れると、その遅れを取り戻すことができずにチャンピオンシップ出場を逃した。
その失敗から1年、SR渋谷は9勝5敗(中地区3位)でバイウィークを迎えた。この中断期間までをフェーズ1と捉える指揮官のルカ・パヴィチェヴィッチは「プレシーズンまでは様々な困難がチームにありましたが、良い部分を多く作り上げることができ、それを乗り越えてここまで来れたことは評価できる」と総括した。
しかし、茨城ロボッツとの中断前最後の試合を1勝1敗で終えたことを含め「正直、あと1、2勝はできたはず」とも言う。1敗の重さをよく知るルカヘッドコーチは、この敗戦から学ばないといけないと力説しつつ、現在地をこのように話した。「昨日の試合で正しく、スマートにバスケットを遂行していくことの重要さをあらためて感じました。昨日の負けを犠牲にしなければいけませんが、選手たちはしっかりその負けから学び結果を出した。フェーズ1は我々が目指すモノ、やっていかないといけないことのベースを作り上げることができました。 成長の余地はまだまだあるので、ここで止まらずにバイウィークで成長することを期待しています」
ルカヘッドコーチのスタイルを最も知り、スマートなプレーヤーとして定評のある田中大貴も、ここまでの歩みをポジティブに捉えている。「2日続けてやり切る力が、勝ち進んでいくには必要だと思っていて、そこを培っている段階だと思います。ただ、失点はリーグでもトップなので、バイウィーク明けもプライドを持ってやっていきたいです。良くない時はどうしても自分たちでレベルを下げてしまっている部分があるので、自分たちでコントロールできる部分はどんな試合でも一定のレベルを保たないと先に進んでいくチームにはなれない。そこを突き詰めていければと思えるフェーズ1でした」
チームの現状を及第点以上と評価する田中だが、個人に目を向けると平均得点はキャリアワーストの5.6得点に留まっている。もちろん、得点以外での貢献度が高いからこそ、すべての試合に先発出場し26分強のプレータイムを得ているが、オフェンスでさらに存在感を増していきたいと考えている。
「シュートの回数は限られていて、オフェンスは正直良いようにいっていないかなと。今は基本的に(アンソニー)クレモンズがボールを持ってきて、自分と(ベンドラメ)礼生をファーストヒットで使うプレーが多いです。それを自分や礼生が運んできてクレモンズを1発目に使うというか、ボールを動かした時に自分たちに帰ってくるようなシチュエーションをもう少し増やしたいと思っています」
田中が言うように、SR渋谷のオフェンスはクレモンズから始まることが多い。ただ、そのクレモンズは昨年と同じ平均15.8得点を挙げつつ、アシストは2.2本増の6.7アシストと、昨シーズンを上回るパフォーマンスを見せている。もちろん田中は好調な選手のアタック数を減らしてまで自身のシュート数を増やそうと思っているわけではない。むしろ、IQの高い選手が多くいるからこそ、クレモンズの負担を減らすことがチームの伸びしろにも繋がると確信している。
「ウチにはスマートな選手が揃っていて、3人はすべてのポジションができます。ボールを動かした後の最後のピックを自分が使う。そこを少しアジャストするだけで、 もっとシュート本数は増えていくと思います。クレモンズが良い時はアタックし続けていますが、それだけじゃなくて自分や礼生の攻撃回数を増やしていければ、チームとしてもっと良くなるんじゃないかなと」
いよいよ今週末からB1リーグが再開し、SR渋谷は東地区2位の宇都宮ブレックスとアウェーで対戦する。SR渋谷がフェーズ2で最高のスタートを切るためには、攻撃への意識を高めた田中の貢献が必要だ。