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2024.11.27

広島ドラゴンフライズ巻き返しへ…光るケリー・ブラックシアー・ジュニアのリーダーシップ

  • バスケットボールキング

 苦しいときに光るものがある。広島ドラゴンフライズのケリー・ブラックシアー・ジュニアは今季これまでB1リーグ12試合に出場し、1試合平均で17.8得点、7.8リバウンド、3.3アシストと、いずれもチームトップの数字を記録。チームが苦境の中、コート上で頼もしいリーダーシップを発揮した。

 昨シーズン年間王者の広島は今シーズン開幕5連敗を喫し、14試合を終えて3勝11敗で西地区7位。ケガ人が続出し、長期離脱しているエースガードの寺嶋良に加えて、攻守の要であるドウェイン・エバンスと河田チリジが開幕前の負傷により出遅れた。エバンスは一度復帰して5試合に出たが、左ハムストリングの肉離れで再離脱。なかなか戦力がそろわず、EASL参加による過密日程もあり、厳しいチーム状況が続いていた。

 そんな苦境の中でブラックシアー・ジュニアの奮闘が目立った。開幕から14試合中12試合に出場し、1試合平均プレー時間はチーム最長の31分1秒。コート上で戦い続けて攻守に存在感を発揮した。出た試合すべてで2ケタ得点を叩き出し、フリースローも成功率93.3パーセントをマークするなど、安定した高パフォーマンスでチームをけん引。本人は、「チームメートに信頼してもらえているからこそできたことだと思う」と振り返る。

「ゲームに集中できているし、お互いに信頼し合っている。僕がホットハンドだったり、いいマッチアップだったりしていると、チームメートは常にそれを見てくれている。だからこそ、楽しくプレーできているし、それが(いいパフォーマンスの)要因だと思う」

 苦しいシーズン序盤戦の中で、ブラックシアー・ジュニアがチームに求めたのは選手たちそれぞれの「リーダーシップ」。10月のホーム開幕戦後、勝ち切れない展開が続く中で「それぞれがリーダーシップを発揮してチームを引っ張っていかないといけない」と話していた。

今季、群馬との開幕戦でも体を張ったプレーを披露 [写真]=B.LEAGUE

 ブラックシアー・ジュニアの言うリーダーシップとは何か。「お手本としてチームを導くこと、精神的にみんなをリードすること、常に周りやチームメートを支えること。リーダーたちがチームを支える。だから、価値あるポジションだし、必要なときには誰もがリーダーになれるはずだ」と説明する。

 それは、まさに背番号8がコート上で体現してきたことだろう。そう伝えると、はにかんだ笑顔を少し見せつつ、「常に自分のエナジーやスピリットをチームに示そうと頑張っているし、それはみんなも練習でやっていること。だから、バイウィーク明けも楽しみにしてほしい」と表情を引き締めた。

 中断前のアルバルク東京戦2試合はコンディション不良で欠場し、コートの外からチームの戦いを見守った。「いつも一緒に戦いたいと思っているから、チームメートが戦っている姿を見ているだけなのは難しかった」ともどかしさを感じつつ、「でも、みんなよく戦っていたし、いいメンタリティーでできていたので、これからの勝利につながると感じた試合だった」と前向きに話した。

 強豪A東京との2試合はどちらも敗れたが、メンバーがそろわない中でも中村拓人や三谷桂司朗などが奮起。垣間見えた若手のリーダーシップは今後の戦いに不可欠だ。ブラックシアー・ジュニアは、「若い選手は懸命に取り組んでいるし、このままプレーを続けたら、どんどんいい選手になると思う。彼らの成長を見られるのはうれしい」と期待を込めて話した。

 広島は11月30日と12月1日にB1第9節でレバンガ北海道と対戦する。リーグ戦再開を前にチーム状況は上向いている。24日の練習では、河田とエバンスが全体練習で気迫あるプレーを披露。再開後の挽回に向けて、チームを引っ張るリーダーたちが帰ってくる。

 中断前に欠場したブラックシアー・ジュニアもコンディションは「まったく問題ない」と準備万端だ。「チームスピリットと『HIROSHIMA PRIDE』を示し続けたいし、僕らはいい組織、いいチームだというところを試合で見せていきたい」。それぞれがリーダーシップを発揮して、チーム一丸で巻き返しを図る。

取材・文=湊昂大