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2024.10.27

千葉ジェッツに為す術もなく完敗した長崎ヴェルカ、馬場雄大の猛省「今日みたいな試合はあってはいけない」

  • バスケット・カウント
馬場雄大

「恥ずかしい試合をしてしまいました。明日カムバックします」

B1で2年目のシーズンを迎える長崎ヴェルカは、今オフに積極的な補強を実行。新ヘッドコーチにNBL(オーストラリアリーグ)で高い評価を受けていたモーディ・マオールを招聘し、さらにスコアリングガードのマイク・スミス、帰化枠でエージェー・エドゥ、日本人で注目の若手である山口颯斗、川真田紘也を獲得した。こうしてタレント力が増したチームは、5勝2敗と見事なスタートを切った。

そして10月26日、ホームでBリーグ随一のタレント集団である千葉ジェッツを迎え撃つ注目カードには超満員の5545人が詰めかけた。この大一番で、長崎は攻守ともに全く良いところがなく50-82の完敗を喫した。試合の立ち上がり、千葉Jに0-12のランを許すと、そのまま最後まで千葉Jのペースのままだった。ボールムーブに欠けたオフェンスでタフショットを繰り返すことでシュートミスが続く。守っては持ち味である平面での激しいプレッシャーに欠けたことで、サイズで上回る相手にゴール下で楽々とシュートを決められてしまった。

前半を14点ビハインドで終えた長崎は、後半になっても相手の勢いを止めることができない。第3クォーター残り3分半の時点で、30-60のダブルスコアの点差をつけられて勝負アリ。第4クォーターは千葉Jの先発5人が一度もコーチに立つことはなく、それでも上回れずに敗れた。

この敗戦は、長崎の誰にとっても受け入れ難いものだが、特に悔しさを露わにしていたのが馬場雄大だった。すでに勝敗の決した第4クォーター、ずっと険しい表情のままベンチに座って試合を見つめていたが、こらえ切れない思いがあったのか、最後は座っていた席から離れてベンチ後方で立ちながら試合終了のブザーを聞いた。

レギュラーシーズン60試合の長丁場において、すべてがうまく噛み合わない時もある。しかし、試合後の会見で馬場は、「恥ずかしい試合をしてしまいました。明日カムバックします」と、言い訳をせずにこの敗戦を受け止めた。

「出だしから千葉さんにリズムをつかまれて、自分たちがやってきたことというより試合を通して彼らにどう合わせるかというバスケットボールをしてしまいました。今シーズン、こういう形で戦ったことはないです。今年、チームも変わって新しいアリーナで優勝を目指してやっている以上、今日みたいな試合はあってはいけないです」

馬場雄大

「全力を出し切って負けたのではない、あってはならないゲーム内容でした」

馬場個人としては3ポイントシュート5本中3本成功の13得点に3リバウンド3アシスト1スティール1ブロックと攻守で仕事を遂行した。特に守備面では千葉Jのエースである富樫勇樹のマークにつき6得点に抑えた。それでも、今回は千葉Jの大量リードによって富樫が自ら積極的に仕掛ける必要がなかったことも影響したと冷静に捉えている。

「もうちょっと攻めてくるかなと思いましたが、彼が攻めなくても戦えるチームだということを証明された気がします。もちろん、誰のマッチアップでも徹底的にやりますけど、千葉さんの起点は彼なのでそこは僕がつくからには責任を持って今日以上にプレッシャーをかけていきたいと思います」

30点差をつけられても会場の長崎ファンは最後まで熱い声援を送り続けた。Bリーグでは珍しいことではないかもしれないが、海外でのプレー経験も豊富な馬場は、これが当たり前ではないことを熟知している。だからこそ、自分たちのやるべきことをやれず、目の前で千葉Jに好き放題やられる光景にこらえきれないモノがあった。

それが最後、ベンチに座っていられなかった行動に繋がり、恥ずかしいという言葉には、「全力を出し切って負けたのではない、あってはならないゲーム内容でした」という悔いが根底にある。「海外でこういう試合をしたら、ほとんどお客さんが残っていない状況です。でもファンの方たちは最後の1秒まで応援してくださいました。今日のファンの皆さんの姿勢を通じて、こういう試合をしてはいけない、とあらためて感じました。最後の方は、どうしようもない状況を噛み締めるしかなかったです。個人としてすごく我慢できないところもありました。それで感情的になったところはあったのかと思います」

本日の第2戦もホームアリーナは超満員となる。そこで同じ過ちを犯すことは決してできない。馬場は「全力で40分間、戦い抜きます。その先に結果は待っていると思います」と言う。彼と同じ思いを長崎の全員が共有し、コートでしっかりと体現できるのか。長崎にとって、ターニングポイントとなる試合になりそうだ。