川崎のゴール下を支配する新戦力、サッシャ・キリヤ・ジョーンズ「Bリーグは世界で最もフィジカルなリーグ」
連敗ストップに「勝ち切ったことでチームとして前に進むことができます」
10月19日、川崎ブレイブサンダースは横浜ビー・コルセアーズとのオーバータイムにもつれた熱戦を88-81で勝利。前日に敗れたリベンジを果たし、連敗を4で止めた。
川崎は開始4分で3-14と出だしでつまずいてしまうが、そこからこの試合で34得点と大暴れだったロスコ・アレンを軸としたトランジションオフェンスで逆襲。第2クォーターを25-11と圧倒して11点リードでハーフタイムを迎える。しかし、後半に入ると横浜BCの反撃をくらい第3クォーター途中に追いつかれた。嫌な流れとなったが、この日の川崎は最後までゴール下にアタックする強気のオフェンスを継続。連敗中はここ一番でオフェンスが停滞していたが、その悪癖を改善したことで勝ち切った。
アレンと共に勝利の立役者となったのはサッシャ・キリヤ・ジョーンズだ。211cmのビッグマンは、ともにシーズンハイとなる20得点16リバウンドに加え3スティール、3ブロックと攻守で奮闘した。
ジョーンズは「チームを助けるためにもなんでもやるつもりですし、勝ててハッピーです」と喜びつつ、この勝利の意味について語った。「今日、連敗を止められたことはとても重要です。勝つべき試合をいくつか落としてしまっていた中、勝ち切ったことでチームとして前に進むことができます」
そして自身のパフォーマンスを振り返ると、チーム全員でつかんだ勝利と強調する。「インサイドで戦い、昨日の試合でやられたところを修正できました。ロスコが多くの得点を取り、ジーノ(篠山竜青)は出だしが悪かったけど、最後にビッグショットを決めてくれました。そして、みんながステップアップできたことが良かったです」
Bリーグ1年目のジョーンズだが、「Bリーグが良いリーグであることは知っていました。ゼイビア・クックスやマイルズ・ヘソンといった友人たちがいろいろと教えてくれました」と、事前に様々な情報を得ていたという。そして、予想通りの高い競争力を持ったリーグと続ける。
「Bリーグのレベルは高いです。ビッグマンで言えば、今日対戦した2人(横浜BCのマイク・コッツァーとダミアン・イングルス)は昨年にACB(スペイン1部リーグ)で対戦していて、ともにユーロリーグのレベルの選手です。また、日本人選手たちはスキルが高いです。質の高さはとても印象深く、まだ慣れている最中です」
永遠のライバル、仲の良い選手は鎌田裕也!?
211cmのサイズと機動力を備えるジョーンズは、現在4試合連続で2ブロック以上と、ショットブロッカーとして大きなインパクトを残している。だが、「思った以上にフィジカルです。NBA、Gリーグ、ユーローリーグとあって、いろいろと意見があると思いますが、僕にとってBリーグは世界で最もフィジカルなリーグです」と、想像以上にゴール下の肉弾戦はタフだと語った。
Bリーグに初めて来た選手は、世界的に見ても稀な連戦が日常的なスケジュールに適応しなければならない。特に川崎はアップテンポなスタイルを指向しているだけに、ビッグマンのジョーンズにとっては大きな負荷がかかる。「とても疲れました」と試合後に率直な気持ちを明かしたが、同時に適応に自信を見せる。「すでに僕の身体はアジャストしてきています。プレシーズンの時に比べたら、連戦に身体は慣れていると思います。もちろん完璧にアジャストするのには時間はかかりますが、徐々に良くなっています」
余談ではあるが、川崎の公式HPに掲載されている自身の紹介ページにおいて、永遠のライバル、仲の良い選手の回答としてそれぞれ鎌田裕也を挙げている。まだ鎌田と出会ってから数カ月しか経っていないが、ジョーンズは鎌田の人柄や彼の寡黙なところに惹かれ、一緒に過ごして居心地の良さを感じていると明かす。
「鎌田はイカしたヤツです(He is Cool Dude)。他人についてあれこれ干渉してこなくて、常に落ち着いた雰囲気でいるのが好きです。朝、僕が『おはよう』と言ったら鎌田も『おはよう』と返す。練習で僕がファウルをして『ごめん』って言ったら、彼は『OK』というだけ。この寡黙なところがクールです。そして練習ではいつも対戦しているけど、彼はチームにエナジーをもたらしてくれています」
そして、チームメートだけでなく川崎ファンの熱いサポートにも感銘を受けている。「勝ち負けに関係なく熱心に応援してくれていて、試合が終わってコートを去る時まで残ってくれます。アウェーの名古屋でも川崎のファンがいてくれたのは素晴らしいです。とどろきアリーナは、これまでで最もプレーするのが好きな会場になっています」
まだ6試合を終えただけだが、ジョーンズのパフォーマンスはこれまでで最も良かった。「今、自分の役割や、どのようにこのリーグに適応していくのかを模索しているところです。その中で僕にとっても大きなステップアップの試合となりました」と語るように、さらなる躍進のきっかけをつかむ一戦となった。