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2024.10.20

Bリーグ最優秀審判賞の加藤誉樹がファンに伝えたい思い「正しいルール、判定の仕方への理解が少しでも浸透していけるように」

  • バスケット・カウント

加藤誉樹

「常により良いレフリングをしようと高い向上心を持って取り組んでくれています」

――SNSであったり、会場でも審判に対するネガティブな反応が増えてきていると思います。この現状について、誹謗中傷は受け入れられるモノではないという大前提の上で、率直にどういう思いを抱いていますか。

人気が出ると、表裏一体で批判的な意見も増えてくるものだと思います。これはレフリーだけでなく、プレーヤー、コーチの皆さんも同じことだと思っています。誰しも批判を受けることは気持ちの良いものではないでしょうけど、人の前に出て何かを表現する者として、評価が常について回ってくることへの覚悟や強さは必要とも思います。ただ、それが2016年のBリーグ開幕後からどんどんバスケットボールファンの皆さんの期待値が上がって、熱狂が増すことに比例して、批判的な声も増えている部分はあると感じます。

そこに対して、しんどいなと思うことも実際にあります。レフリーは中々、褒められる機会が少なく、何かあった時に批判を受けることが多いです。そういう中でもレフリーをやっている皆さんは、みんなバスケットボールが大好きな人たちです。そして常により良いレフリングをしようと高い向上心を持って取り組んでくれています。

例えば、レフリーは試合後の控え室で、どんより沈んだ雰囲気になることが多いです。あれがダメだった、もっとこうすれば良かったと反省することばかりです。もちろん、完璧があり得ない以上、常にもっと良いレフリングという意識を持たないといけない立場です。でも、誹謗や中傷を受け、レフリーが悲壮感を漂わせて下を向いて歩いているみたいなグループになってはいけません。批判的な声が常につきまとう立場にいますが、ポジティブだったり、後押しをしてもらえる声が増えてくるといいなと感じています。

加藤誉樹

「完璧はあり得ないし、自分が完璧だと思ったら審判をやめた方がいい」

――選手、コーチとしっかりコミュニケーションを取っていくことは、円滑なレフリングに必要な要素の一つだと思います。その中で、外国籍の選手、コーチも増えている今、トップリーグでは英語も求められていると感じることはありますか。

それはあります。ただ、バスケットボールの用語は日本語、英語の違いはないので、流暢に英語を話せる必要はないです。そして国内のレフリーで必須ではないですが、前もってこういう質問が来るということを想定して日本語、英語の準備をしておく『コミュニケーションノート』を推奨しています。これは実際の試合で使ってみてうまくいった、うまくいかなかったという経験を蓄積していく取り組みです。外国籍も含めてもう何年もBリーグでプレーしている選手たちは、「こんにちは、元気ですか」と挨拶から始まるプレーヤーが多いですが、困った時はどんな表現で言ってほしいのかを聞くなど、コミュニケーションを取っていくことでより良いレフリングにも繋がっていくと思います。

――最後にファンの皆さんへのメッセージをお願いします。

まずは、皆さんに試合を楽しんでもらえるように引き続き、精一杯僕らの仕事を頑張ります。それはレフリー全員が思っていることです。ただ、その中でも完璧はあり得ないし、自分が完璧だと思ったら、その人はおそらく審判をやめた方がいいと思います。

大好きなチームの選手が文句を言っていたら、ファウルをされたように見えてしまいます。それは世界のどのリーグでも同じです。ただ、審判に対するネガティブな先入観があると、試合を楽しめなくなってしまいます。それを減らしていく意味でも正しいルール、判定の仕方への理解が少しでも浸透していけるようにしていきたい。そうなることで、ファンの皆さんのバスケットボールを見る楽しみも広がっていくと思います。

皆さんにも想像していただけるような難しさもあり、精神的にタフな中でも踏ん張ってコートに立っているのが審判です。選手やチームを応援するのと同じように、審判にも激励的な温かい目で応援してもらえるとうれしいです。

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