EASLケリンズCEOインタビュー…「広島、琉球がEASLのトップクラスであることは間違いない」
東アジアスーパーリーグ(以下EASL)2024-25は、昨シーズンのチャイニーズ・タイペイ(P.LEAGUE+)、日本(Bリーグ)、韓国(KBL)、フィリピン(PBA)というトップリーグ上位2チームに加え、香港とマカオの優勝1チームずつが新たに参戦し、全10チームで争われることになった。
10月2日には、日本以外の海外勢による開幕戦が、FIBAワールドカップ2023の会場となったモール オブ アジア アリーナ(フィリピン・マニラ)にて、すでに行われている。今回、日本から出場するのは昨シーズンのBリーグチャンピオンの広島ドラゴンフライズと2位の琉球ゴールデンキングス、初戦は10月16日だ。2025年2月まで続くグループステージでは、出場チームが2つのグループに分かれ、同グループのチームと1回もしくは2回ずつ対戦。また、各グループの上位2チーム、計4チームにより行われるファイナル4は、2025年3月7日~9日に開催予定だ。
今回、昨シーズンにEASLを制した千葉ジェッツへの優勝トロフィー贈呈式に来日したヘンリー・ケリンズCEO(最高経営責任者)にバスケットボールコメンテーターの井口基史氏がインタビュー。ケリンズCEOに今シーズンの展望、日本の代表である広島ドラゴンフライズ、琉球ゴールデンキングスについて話を聞いた。
インタビュー・文=井口基史
◆バスケだけでなく楽しみの多い香港、マカオから2チームが加入
――EASL2024-25シーズンが始まりました。今の気持ちを教えてください。
ケリンズCEO 本当にエキサイティングな気分です。開幕戦はフィリピン・マニラにある日本でもおなじみのモール オブ アジア アリーナにて、フィリピン最強2チームの試合を同日開催で行いました。中継を通じてこの興奮が伝わっていてほしいです。
――今シーズンから香港とマカオのチームが加入します。
ケリンズCEO これまでは台湾のP.LEAGUE+から2チーム、日本のBリーグから2チーム、韓国のKBLから2チーム、フィリピンのPBAから2チームの合計8チームで争われてきました。ただ、EASLは発足当初からFIBAに対して8~16チームへの拡大計画を伝えており、今シーズンはその拡大計画の一つとして、香港とマカオから1チームずつを迎えて計10チームとなりました。
――香港とマカオは世界的にも有名な観光地ですね。
ケリンズCEO 2つのホームタウンの魅力は言わずもがなですが、その背景には中国本土のファン層拡大にねらいがあります。もし広島、琉球が香港かマカオのチームと対戦すると、1試合あたり平均5~8万人の中国からの中継視聴者が増える見込みです。この機会を通じて、在中国バスケファンへの認知度を高めるだけでなく、世界中にいる華僑のバスケファン層にもEASLを楽しんでもらい、結果的に広島、琉球をはじめとした日本の各チームのファン拡大に貢献できるようなプラットフォームにEASLはなりたいと考えています。
◆初参戦の広島の活躍に期待
――パリ五輪では男子日本代表が世界を驚かせました。日本バスケの勢いやインパクトについてどう見ていますか。
ケリンズCEO 正直、私にとっては大きな驚きではなく、期待の方が大きかったです。これまで日本代表だけでなくチーム単位のバスケも見てきました。Bリーグが始まり、リーグと選手能力の成長速度は驚異的です。その結果、FIBAランキング(日本21位)を大きく上げ、ヨーロッパの国を初めて破るなどの成果を出しています。フランス戦の最後の同点となり、延長持ち越しのシーンは、タフなコールで悔しかったですが、この結果はもうサプライズと呼んではいけないくらい、日本代表の未来は力強いと思います。
――今シーズン参加する広島と琉球の印象を教えてください。
ケリンズCEO まず琉球はEASLの黎明期から参戦の歴史があり、球団との関係も構築されています。すでにEASLを楽しんでくださっているキングスファン・ブースターの存在もあり、キングスのカルチャーや情熱にはスペシャルなものがあると認識しています。EASLではアウェーの試合にも来場いただいている方々もいますし、我々にとって大切な存在です。キングスの応援スタイルはアジアの他球団が学ぶべきものですし、沖縄アリーナというバスケ観戦に特化したアリーナで味わうキングスホームの雰囲気を対戦相手も楽しみにしています。
――Bリーグチャンピオンの広島についてはいかがですか。
ケリンズCEO 広島はEASL初参戦になりますので、マニラで行われたワークショップにお招きし、EASLの取り組みや広島の状況について共有しました。私はBリーグファイナルを直接視察しましたので、チームの力はすでに目撃していますよ。
――おー! 横浜アリーナでご覧になったのですね。
ケリンズCEO オーイェス! 広島のもたらす一体感と迫力は他チームにとって脅威であり、EASLとしてはかなり楽しみにしてチームです。
――広島と琉球がEASLで勝ち抜くためのポイントがあれば教えてください。
ケリンズCEO 日本でやっているバスケのスタイルを貫くことではないでしょうか。EASL参戦各国のスタイルはそれぞれ違います。相手に合わせて戦ってしまうと、勝てるリーグではないと思います。
――広島、琉球が勝つチャンスは十分にありますね。
ケリンズCEO 当り前じゃないですか! 広島、琉球が今シーズンのEASLのトップクラスであることは間違いないと思います。
◆今シーズンも優勝賞金は約1億5000万円
――ファン・ブースターは賞金額も気にしています。今シーズンも優勝賞金は100万ドルですよね。
ケリンズCEO オフコース! もうすでに発表済みですよ。
EASL2024-25シーズンの賞金配分
1位 100万ドル(約1億4800万円)
2位 50万ドル(約7400万円)
3位 25万ドル(約3700万円)
この賞金がチーム強化に役立っているのではないでしょうか。昨シーズンのEASLチャンピオンである千葉ジェッツは、おそらく今シーズンが過去最強ロスターを組めたと言えるかもしれません。そのような将来を見据えたチームへの投資に賞金が有効活用されているように感じます。
――ファン・ブースターにとっては大事な情報です! チームが目指すファイナル4の開催地が決まっていれば教えてください。
ケリンズCEO 井口さんは昨シーズンのファイナル4に来られているのでご存じだと思いますが、EASLにとって「ファイナル4をどこでやるかべきか」はとても大事なことです。それは優勝チームのセレブレーションの場所としてだけでなく、観戦いただくファンにとっても特別な体験ができる場所であってほしいからです。昨シーズンのフィリピン・セブ島でのファイナル4では、リゾートやトロピカル体験もしていただきましたし、中立地でもありました。まだ開催地については発表していませんが、昨シーズンの良かった点は継承しつつ、今、井口さんに約束できるのは、昨年より規模が大きく、より良くなることはお約束します。期待していてください!
――EASLの視聴方法について教えてください。
ケリンズCEO B1の全試合を配信することがすでに発表されているU-NEXTで今シーズンもEASLを配信します。昨シーズンは見ることができなかった日本勢以外の試合も今シーズンから全試合ライブ配信することになりました。ですから、ぜひ日本のファンにも広島、琉球以外のアジア勢の試合も観戦いただき、自チームの応援と共に楽しんでいただきたいです。
――EASLは海外でのアウェー観戦も楽しみの一つです。
ケリンズCEO 例えば広島ブースターには香港アウェーを楽しんでもらいたいです。香港は世界的な観光地ですからバスケはもちろん、買い物やグルメ、街の雰囲気を味わってほしいです。香港、マカオ、台湾、フィリピン、韓国など海外アウェーで戦う日本チームの姿を、琉球や広島を愛するファン・ブースターだけでなく、多くのバスケファンにも会場で体感してほしいです。
昨シーズンのEASLでは千葉ジェッツが「Undefeated(無敗)」で優勝し、EASL参加国に衝撃を与えた。ファイナル4の会場だったセブ島ではMVPに選ばれた富樫勇樹選手に対して試合中から「MVP!MVP!」のチャントが贈られるなど、これまでもFIBAの国際大会などで知られる存在であった日本の“富樫”から、アジアの“TOGASHI”に、千葉ジェッツの名とともに、知名度を一気にあげた大会だった。
今シーズンはタイトルホルダー国として日本はスカウティングされることが予測され、簡単な戦いにはならないはず。しかし10月2日の海外勢の開幕戦をスカウティングしたところ、どのチームも準備万端とは言い難い状況で、日本勢には大きなチャンスだ。むしろ開幕間もない10月は、両チームとも2試合が予定されており、ここで2勝するとファイナル4に大きく近づくはず。FIBAワールドカップ2023、パリ五輪で示した日本バスケの存在感を、再び広島と琉球がアジアに知らしめるチャンスだ! 日本を代表して戦う両チームへエールを送ろう!(井口基史)
広島・琉球のEASL開幕戦
【グループA】
10月16日(水)19時10分ティップオフ/広島ドラゴンフライズ vs 香港イースタン(@エフピコアリーナふくやま)
【グループB】
10月16日(水)19時40分ティップオフ/琉球ゴールデンキングス vs メラルコ・ボルツ(@沖縄アリーナ)
※いずれも日本時間
※U-NEXTにて全試合を見放題で独占ライブ配信
★EASLゲームスケジュールはコチラ➔https://www.easl.basketball/schedule