サンロッカーズ渋谷のジョシュ・ホーキンソンが語る雪辱への思い「優勝を争う場で戦うことこそ、僕がSR渋谷に加入した理由」
「チームの可能性には大きな自信を持っています」
昨シーズンのサンロッカーズ渋谷はジョシュ・ホーキンソン、田中大貴というスター選手を獲得し、さらにアルバルク東京で連覇を達成しているルカ・パヴィチェヴィッチを指揮官に招聘した。リーグ随一の大型補強に成功したことで、優勝争いに加わると多くの期待を寄せられていたが、35勝25敗でチャンピオンシップ進出を逃してしまった。
巻き返しを図る今シーズンはコアメンバーが揃って残留した上で、阿部諒やケビン・ジョーンズなど、Bリーグで確かな実績を残している即戦力の獲得に成功した。より厚みを増し、リーグ有数のタレント集団となったSR渋谷だが、その中でも替えの効かない選手がジョシュ・ホーキンソンだ。今夏のパリオリンピックでの活躍も記憶に新しいビッグマンはリーグ最高の帰化選手と言える。また、攻撃の起点である外国籍ガードのアンソニー・クレモンズの出場機会を増やすためにも、彼の存在は欠かせない。
様々な面でSR渋谷を支えているホーキンソンは、「チームの可能性には大きな自信を持っています」とシーズン開幕を前に手応えを語る。「能力の高い選手が揃っていますし、あとはみんなが一つになることです。昨シーズンはチームがまとまるのに時間がかかってしまいました。故障などいろいろとあってシーズン序盤は思うようなプレーができなかったです。でも、最後には良いプレーができていました。この最後の勢いを今シーズンの序盤に繋げて、出遅れてしまった昨シーズンの反省を生かしたいです」
ホーキンソンが言及したように、昨シーズンのSR渋谷は開幕直前にジェームズ・マイケル・マカドゥ(現・島根スサノオマジック)がシーズン全休の重傷で離脱。パヴィチェヴィッチヘッドコーチの緻密なバスケットボールを浸透させるのはただでさえ時間がかかる中、メンバー構成にも四苦八苦する状況で2勝9敗とスタートダッシュに失敗したことが最後まで響いた。
「昨シーズンはスケジュールもタフでした。僕はワールドカップが終わった後で合流が遅れ、十分に練習する時間もなかったです。また、マカドゥが故障でシーズンアウトするなど、様々な問題が起こって自分たちの求める形でスタートが切れなかったです」
「より上のステージでプレーする機会が増えることで多くの人々が僕のことを知ってくれた」
こう振り返るホーキンソンだが、今シーズンは同じ轍を踏まないと力強く語る。「今シーズンはルカHCのバスケットボールをより理解し、堅実なチームになっています。昨シーズンに学んだことを生かして、新しい選手たちがルカHCのスタイルに馴染むように助けていきたいです。また、KJ(新加入のケビン・ジョーンズ)はアルバルク東京でルカHCと一緒だったので彼のスタイルをよく知っています。昨シーズンよりも良いスタートを切れると思っています」
昨夏のワールドカップ、今夏のパリオリンピックと、ホーキンソンは2大会続けて世界の大舞台でハイパフォーマンスを披露した。五輪後、複数のアメリカメディアがNBAでプレーするべき活躍を見せた選手としてホーキンソンの名前を挙げるなど、海外でも賞賛されている
「とても光栄なことです。ワールドカップ、オリンピックで世界の強豪相手に良いパフォーマンスを見せることができました。それによって世界のバスケットボール好きな人々に、僕のことを少しは知ってもらえました。みんながそのように思ってくれて、良い気分になります」
このように笑顔を見せるホーキンソンだが、こういった世界からの賞賛によって何かが変化することはない。「僕は常に自信を持っている人間です。だから、さらに自信が増すということはないです。ここ5年くらい、僕は同じ質のプレーをしていると思いますが、より上のステージでプレーする機会が増えることで多くの人々が僕のことを知ってくれました。それが今までとの大きな違いだと思います」
名実ともにBリーグを代表する看板選手となったホーキンソンだが、常にフォーカスしているのはチームが勝つことだ。ワシントン州立大を卒業後、2017年からBリーグでのプレーを続けているが、一度も経験していないB1でのポストシーズンについて強い思いを持っている
「これまで一度もチャンピオンシップに出場したことがないので本当に出たいです。ワールドカップ、オリンピックは本当にレベルの高い大会です。ただ、Bリーグのポストシーズンも同じようにレベルが高いですし、優勝を争う場で戦うことこそ僕がSR渋谷に加入した理由です。昨シーズンは出場できなかったですし、まずはなによりもCS出場にフォーカスしています」
優勝への第一関門であるCS出場には出遅れないことが大事で、開幕節の長崎ヴェルカ戦は大きな意味を持ってくる。9月23日に行われた天皇杯2次ラウンドで長崎に敗れたこともあり、ホーキンソンは雪辱を誓う。「長崎と3回続けて戦うのはとても珍しい経験です。いつもは2回連続でしか試合を行わないですからね。僕たちはこの試合から多くを学びました。開幕節で連勝することはとても重要です」
SR渋谷が優勝戦線に絡んでいくためには、チームケミストリーを早々に構築しつつ、ホーキンソンが、オリンピックで見せたのと同等の貢献が必要だ。彼自身もそのことを認識し、多くの責任を担う覚悟を持っている。ホーキンソンは言う。「僕たちには証明すべきことがたくさんあります。優れた選手が多くいますが、強いチームには一体感があります。これこそ、今シーズンを通して僕がやっていきたいことです」