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2024.09.28

大塚裕土(アルティーリ千葉)インタビュー——“再々起”シーズンに向かう思い

  • 月刊バスケットボール

2024-25シーズンで3度目の正直となるB1昇格への挑戦に臨むアルティーリ千葉のキャプテン大塚裕土に、9月14日にトッケイセキュリティ平塚総合体育館で行われた横浜ビー・コルセアーズとのプレシーズンゲーム後に話を聞く時間をもらった。B2開幕前のチームの姿勢や自らの役割をどのように捉えているのか。大塚が語ってくれた内容には、プレシーズンゲームと天皇杯2次ラウンドでの戦いぶりの背景や、開幕後の姿を思い描く上でのヒントがちりばめられている。

B1チームに対する勝利が自分たちに証明につながる

——今日の試合は残念だったと思いますけど、コーチのお話だとバスですごく長くかかって試合の入り方が皆さん難しいところあったそうですね。そのあたりも差し引いた上で、今日の結果を受けて来週の大阪エヴェッサ戦に向けどんな感覚ですか?

そうですね、序盤に離されはしましたけどこちらのアドバンテージを見つけることで点差を詰められる時間帯があったので、そこはよかったと思います。カッティングでイージーな点を取られたり、第1Qの3P5本決められたりがなかったらもう少しいい展開になったのかなと。

ウチの外国籍選手がインサイドで頑張ってくれていたので、もうちょっとそこに入れられたかなという感覚もありました。チーム全体としてアドバンテージがあるところの見つけ方とか、周りの選手の追い方とかが伴えば、オフェンス面でも停滞する時間がなくせたなと思います。あと、オフェンスリバウンドを獲られてしまったので、自分も含めてガード陣がもう少し突っ込んでいきたいなと。そこはなおさなければいけないなというところです。

——リーグ公式戦開幕まであと2週間ちょっと。大塚キャプテンから見たチームの仕上がりや、新チームでのウブントゥ精神の浸透度はどんなものでしょうか?
※ウブントゥ(Ubuntu)はアフリカの哲学に由来し、『あなたがいるから私が成功できる』という意味合いを持つ言葉で、A千葉のチームコンセプトとなっている

今年はあまりメンバーが変わっていないので、新しいことといっても動きがちょっと変わった程度で、基本となる軸は変わっていません。でも、チームを円滑に回すのと自分個人としてこういったところで頑張りたいというものがうまくかみ合わないと良くならないと思うんですよね。そこの兼ね合いが我慢できるかどうか。

自分でもっとアタックしたいけど、チームとしてはもうちょっとこういったところも使った方がいいよねというようなことの見つけ方は、その場その場で変える必要があります。だから、僕もシュートを打ちたいところであえてチームのためにビッグマンにボールを当てたりとか、フォワードのためにスペースをしっかり取っていたりといったところを意識しています。今日も正直、自分のシュートタイミングで打てた場面もありました。去年もいい数字を残していますし、打ちたい気持ちはあるんですよ。

でも、そうした取り組みを組織として評価する体制があると信じています。そういったところでどれだけ我慢できるか。それが犠牲心を払ってチームを良くするウブントゥであると思ってプレーしています。

——個としての活躍はシーズンに入ってからを見てほしいというところですね。

そうですね。今は自分として、そこでフラストレーションを溜めないでディフェンスやリバウンドとか、普段から数字が変わらないところの努力をしようと。コーチもそう言っていますので、そこをどれだけ我慢できるか。それがB1のチームとやるときに非常に必要になってくるんじゃないかなと思います。

でも、いろいろ考えることはありますよね。自分がB1で彼らと対戦したときにはもっとやれていたイメージもある中で、(同じようにしたい)歯がゆさもあります。それでもチームのことも考えなければいけないですしね。

——プレシーズンだからという捉え方はありますよね?

そうですね。ただ、僕らはB1に上がれなかったじゃないですか。だから、このプレシーズンでB1チームと試合ができることを非常に大切に思っているんです。前回のレバンガ北海道さんとの試合もそうですし、やっぱりそこで勝ってちゃんと自分たちの評価をしてもらうということにも、選手たちとして重きを置いています。

もちろんシーズンが大事なのは言うまでもありません。でもB1チームとの試合は、自分たちのやってきたことが間違っていなかったことを証明する一つのポイントであって、そういう姿を見せたいなとみんなで話しています。だからこそ、天皇杯の大阪エヴェッサ戦は非常に大事です。

——A-xx(A千葉のファンの呼称)の皆さんも、もう勝つつもりというか、勝つところを見られるという期待があるでしょうね。

そうですね。もちろんターゲットはそこじゃないんですけど、やってきたことを評価してもらう取り組みはそこでしか得られません。そこはやはり頑張りたいなと思っています。

——最後に、大塚選手としての今シーズンの目標を教えてください。チームとしては優勝なのでしょうけど。

自分としてはまだ体も動きますし、もっともっとプレーに絡んでいきたいなと思っています。高い確率でシュートを決められるし、決める自覚もありますしね。

コーチ的にはベテラン以上に若手の伸びしろに期待しているところもあるので、昨シーズンは、実は結構自分のメンタル的には無理した状態で開幕を迎えていました。最終的には数字として3P成功率1位になったし、いいところで決めることもできましたが、今年も似たような感じでスタートしています。この戦いはかなりエネルギーが要るんですよね。

でも、自分もあと何年できるかわからないですし、いろんなことを考えています。年齢が上がっていくにつれてチームに還元するためにやらなきゃいけないことも増えてきています。自分が経験したことを今後の子たちに伝えることも、今シーズンも引き続きやっていきたいと思いますし、チームのプレーをスマートにしていきたいなとも思っています。ファウルや時間の使い方とか、さっきのアドバンテージの使い方とか。そういったところで成長してもらえれば、良い精神でウブントゥに繋がっていくと思います。いろいろとやることがたくさんあるなと…!

いざ開幕、重責をいかに果たすか!?

この日A千葉は序盤から横浜BCに2桁リードを奪われ、その後挽回しきれず68-79で敗れたが、B2の2024-25シーズン開幕前の一連の試合では過去3シーズンと異なる成果を手にしている。横浜BC戦のちょうど1週間前にはレバンガ北海道を83-71で下し、21日の天皇杯2次ラウンド1回戦でも大阪エヴェッサに86-75で勝利。翌日B3のアースフレンズ東京Zを85-60と点差を付けて破ると、その翌日3次ラウンド進出をかけて戦った名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦も、84-92で敗れたものの粘り強い健闘を見せた。

新戦力の長谷川智也との1枚。インタビューでは触れていないが、兄貴肌で実績もある長谷川の加入は大塚にとって小さからぬ助けとなるに違いない(写真/©ALTIRI CHIBA)

新戦力の長谷川智也との1枚。インタビューでは触れていないが、兄貴肌で実績もある長谷川の加入は大塚にとって小さからぬ助けとなるに違いない(写真/©ALTIRI CHIBA)

A千葉がB1クラブから勝利をつかんだのは、少なくとも公の場で行われた試合では今年が初めて。開幕までのB1チームとの対戦4試合を2勝2敗の五分とし、天皇杯でも初めて2次ラウンド最終日まで勝ち残ったことは自信につながったに違いない。その中で大塚自身、名古屋D戦の第4Qに追撃の3Pショットを沈めるなどリーダーらしい頼もしさを感じさせながらチームをけん引していた。

今シーズンのA千葉は、昨シーズンまでにどのような結果を残していたかとは無関係にチャレンジャーだ。しかし昨シーズンまでの実績から、多くの人が今シーズンのチームも強いと予想・期待をするだろう。チームとしても個々人としても、内面的なかじ取りが非常に難しくなる状況で、大塚にはリーダーの資質も、プレーヤーとしての資質も最高レベルで求められる。はたしてどのような結果で応えてくれるか? 勝負のシーズンが間もなく幕を開ける。

©B.LEAGUE

昨シーズンB2のベスト3P成功率賞に輝く44.0%という高確率をマークした大塚。シューターとして、リーダーとして昨シーズンを超える活躍に期待しよう(写真は昨シーズンのホームゲームより/©B.LEAGUE)