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2024.09.23

【B1クラブ展望/千葉J】渡邊をはじめとする積極補強で3冠奪取のシーズンに

  • バスケットボールキング

 今シーズンから本拠地となる収容人員1万人の新アリーナを舞台にさらなる高みを目指すべく、千葉ジェッツが過去に例のないオフシーズンの補強を断行した。昨シーズン、東アジアスーパーリーグ(EASL)と天皇杯の2冠を達成するも、唯一逃したリーグ王座獲得に向け、新たなスタートを切る。今シーズンはBリーグ、東地区、天皇杯の3冠を目指す。

 大黒柱の富樫勇樹、原修太、センターのジョン・ムーニーに昨シーズンのCSで活躍したクリストファー・スミスなど、ここ数年の中心的戦力は変わらず健在。さらに昨シーズン、リーグ新人王に輝いたシューターの金近廉、公式戦全60試合に出場した控えPGの小川麻斗ら、若手のさらなる成長も見込まれる。

 その戦力に一枚も二枚も厚みを増したのがオフの大型補強。なんといっても新加入3選手の存在感が圧倒的だ。

 NBAで6シーズンプレーした身長206センチの渡邊雄太、207センチのDJ・ホグ、208センチのマイケル・オウは高さのみならず機動力も兼備。ここにムーニーが加われば、昨シーズン「高さ」が課題だったことが嘘のように、リーグ史上でも屈指のフロントラインが実現する。

 渡邊とホグはボールキャリーから3ポイントまで幅広い攻撃パターンを誇り、ディフェンスもタフなオールラウンダータイプ。オウはひたむきな姿勢で速いトランジション対応も厭わないのが特徴で、チーム史上初のアジア特別枠選手(中国籍)のため外国籍2選手と同時にコートに立つことができるのは、大きなアドバンテージとなる。

 指揮を執るのは、オーストラリアNBLでヘッドコーチ(HC)、NBAではアシスタントコーチと豊富な指導経験を誇るトレヴァー・グリーソン新HC。富樫、スミス、ムーニー、ホグ、渡邊ら一人でもゲームを支配できる得点力を備えた選手が多く揃っているが、「いい選手が多くても、チームとしていきなり噛み合うわけではない。5月(CS)に最高の状態になっていれば」とさまざまなローテーションを試しながら、シーズンを戦っていくつもりだ。

 グリーソンHCが目指すのはコート上の5人が状況に応じて得点源になり得るスタイルで、オールコートでは速いトランジション、ハーフコートではオフボールでのスクリーンを活用してシュート機会を生み出すフレックスを軸にしたチームオフェンスを探求する。ディフェンスでは206センチ超の4選手、ビッグマンに怯まない原やスミスがおり、スムースなスイッチが可能となる。対戦相手にとっては、攻守両面で脅威の布陣だ。

 Bリーグのバスケットボールを別次元に引き上げる潜在能力を秘めた今シーズンの千葉ジェッツ。果たしてどんなケミストリー(化学反応)を起こしていくのか、注目である。

◆■KEY PLAYER/SF・PF #1 渡邊雄太

渡邊雄太のBリーグ公式戦デビュー間近 [写真]=兼子愼一郎

 NBAで6年間生き残ってきた渡邊が新たな競技人生をスタートさせる。NBAでは限られたチャンスで自身の居場所を確保するため、3&D(3ポイントとディフェンスを武器にすること)を追求したが、Bリーグでは、渡邊本来の持ち味であるコートを縦横無尽に駆け巡るオールラウンドなプレーが見られるだろう。

 NBAの厳しい競争によりメンタル面の問題に直面したが、12年前に日本を離れるときにはなかったBリーグが誕生し発展し続けているからこそ、競技人生の新たなスタートを前向きに決意できたという。戦力充実の千葉ジェッツでは、1人でチームを背負う必要はない。日本バスケットボール界を世界レベルに押し上げた功労者の「新章」を、温かく、熱く、見守っていこう。

文=牧野豊

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