CS絶好調の山崎稜「僕は楽しみ」“琉球優勢”の声も刺激に…広島は下剋上ラストスパートに思い込める
◆■ 怒涛の快進撃ラストスパート
広島から下剋上を起こす。広島ドラゴンフライズは5月23日、『日本生命 B.LEAGUE FINALS 2023-24』に向けて地元で最後の練習を行い、決戦の地・横浜へと旅立った。
Bリーグ年間王者を決めるファイナルは、25日から横浜アリーナで開催される。決戦が始まる2日前、広島は練習拠点のドラフラベースで最後のチーム練習を実施。3×3日本代表の活動から帰ってきたばかりの三谷桂司朗が久々に合流し、「ファイナルまで勝ち進んできただけあって緊張感もありながら、みんながモチベーション高く練習に励んでいる。全員が優勝したい気持ちを持ちながら取り組んでいるのを肌で感じるし、その中でもリラックスしてコミュニケーションを取りながらやっている」と、チームの雰囲気に刺激を受けている。
2年連続のチャンピオンシップ(CS)進出を果たした広島は、準々決勝で中地区王者の三遠ネオフェニックスに連勝、準決勝で西地区王者の名古屋ダイヤモンドドルフィンズとの激闘を2勝1敗で制し、クラブ初の決勝に勝ち進んだ。ワイルドカードから快進撃で悲願の初優勝を目指す。
◆■ 選手が語った試合展望「楽しみ」「僕らのペースで」
決勝の相手は連覇を目指す強豪の琉球ゴールデンキングス。今月のレギュラーシーズン最終節で対戦したばかりで、1勝1敗の五分だった。山崎稜は、「何が通用して何を改善しなければいけないかが非常にクリアなので、自分たちならやれると信じている」と話し、「大方の予想は琉球が勝つと思われていると思うけど、そこをなんとか覆してやりたいので、僕は楽しみです」と下剋上に挑む。
ニック・メイヨは琉球戦に向けて、「フィジカルなチームなので、そこは意識しないといけない。試合を通じてかなりフィジカルバトルになると思う」と展望し、「その中で自分たちのディフェンスとオフェンスがしっかり遂行できるかが鍵になるし、僕らのペースで試合をコントロールしていきたい」と試合を見据えた。
三谷は「3x3で得たものを体現したい」と日本代表での経験を活かして戦う。「3x3はコンタクトが常に起きるので、5人制とはまた違った体の張り方やタフさがある。いろんな国の選手と体をぶつけながら戦ったので、今まで以上にフィジカルなプレーをハードに続けるところは前面に出しながら、自分らしさを出して頑張りたい」と意気込んだ。
広島は3月にエースガードの寺嶋良が負傷離脱するアクシデントに見舞われたが、チーム一丸でファイナルまで駒を進めた。CSではメイヨが調子を落としていたが、準決勝の第3戦では「チームメートが励ましてくれながら、僕が空いていたらしっかりパスを供給してくれた。チームメートのおかげで自信を持ってシュートを打てた」と仲間のサポートもあり、19得点4リバウンド4アシストの活躍で勝利に貢献。決勝でも「チームに求められていることを全力でやり切るだけ。僕らのバスケットボールを40分間やれば、絶対にいい戦いができる」と仲間を信じてプレーする。
◆■ “覚醒中”のCS男「自分なら決められる」
今シーズン広島に加入した山崎は、ファイナルで1年目の集大成を見せる。「最初はなかなか期待に応える活躍ができず、ファンの方も『山崎ダメじゃん』と思っていたと思うけど、それを払拭できるように頑張ってきた」と振り返りつつ、「チームにもたらす影響力を考えるようになって、もっとチームが勢いに乗れるように最初からやり続けなければいけないという責任感が大きくなった」と自身の変化を明かし、「最後は今までの自分がやってきたことが間違っていなかったと証明したい」と力を込めた。
今では“広島の顔”になる活躍を見せる山崎は、CSでも「一段と気が引き締まって自分の気持ちも高まった。自分がもっとプレーで引っ張ろうという思いがある」と好調ぶりを発揮。チームが苦しい時に光る武器の3ポイントシュートはCSの5試合で成功率55.9パーセントをマーク。「今までやってきたことを信じているし、自分なら決められるという思いはずっと持っている」と自信を口にした。
広島は今シーズン限りで現役を引退する朝山正悟の“花道”もかかっている。チームは「少しでも長く朝さん(朝山)と一緒にバスケットをしたい」という思いで戦ってきた。メイヨは、「選手生活の最後に優勝できたら朝さんにとって特別な日になるし、チームとしてもいい流れで来ているので、しっかり勝ち切って朝さんにチャンピオンリングを持って帰ってもらいたい」と思いを明かす。
負傷離脱した寺嶋や引退する朝山、支えてくれたブースターたち、いろんな人への思いも背負って初優勝を目指す今季最後の大舞台。まずは気持ちで負けられない。三谷は、「小手先のレベルではなくて、気持ちのこもったプレーを続けることで勝利につながると思う。どんなプレーも全力で勝ちたい気持ちを前面に出していくことが一番大事」と下剋上に向けて闘志を燃やしている。
取材・文=湊昂大