滋賀レイクスの優勝でプロキャリアの幕を下ろした眞庭城聖「バスケの神様に感謝ですね」
◆チーム一丸で“マニー”の花道を飾った滋賀
5月19日、滋賀ダイハツアリーナで「日本生命 B.LEAGUE B2 PLAYOFFS 2023-24」ファイナルが行われ、滋賀レイクスが越谷アルファーズと対戦。2連勝を飾った滋賀が、B1復帰に加え、B2優勝を果たした。
今シーズン限りでの現役引退を表明した滋賀の眞庭城聖は、自身のラストゲームを最高の形で終えた。「越谷さんはタフなチームだったと思います。ずっと接戦が続く緊張感のあったゲームで、最後は本当にブースターの力で、あのLJ・ピークが(逆転を狙った)3ポイントシュートを外したと思います」
5月27日には38歳の誕生日を迎えるベテランは、日本体育大学を卒業後にストリートでバスケットボールを継続。その後、20代も後半に差し掛かった2013年に熊本ヴォルターズに入団すると、ライジングゼファー福岡、茨城ロボッツ、山形ワイヴァンズを渡り歩き、今シーズンから滋賀に加入した。
「僕の中で意識していたのは上下関係を作らないということ。『マニーと呼んでいいよ』と言っていますし、あとは自分が一番バカみたいなことをすることですね。そうすれば『こいつバカだな~』という感じからどんどん仲良くなっていけるので」
優勝後の会見で笑顔を見せながら、そう語った眞庭。副キャプテンとしてチームメートから厚い信頼を得ていたようで、キャプテンの柏倉哲平は「ミーティングでも自ら発信してくれていましたし、チームに喝を入れる言葉だったり、自分も今までキャプテンをやってきましたけど、これだけ支えてくれた人はいなかったので、マニーがいたからやってこれたなというのをつくづく感じます」と感謝の思いを語った。
また、同じくチームのムードメーカーでもある川真田紘也は、「もちろん寂しい気持ちもありますけど、これがバスケ選手の一番最高な終わり方だと思っているので、『楽しく引退できて良かったね!』っていう感じでしたね(笑)」と明るく語りつつも、「37歳で現役をまだやっている人なので、『こういうこともあった、ああいうこともあった』という真剣な話をご飯を食べながらしていたので、たくさんのことを教わったなと思います」と大先輩との思い出を明かした。
◆“これ以上ない”プロキャリアのエンディング
正式に現役引退を決めたのは5月1日だという眞庭。B1昇格セレモニーのときに“引退宣言”を行ったが、突然の発表によりチームはファイナルへ向けて一致団結したという。「本当にマニーのためにというのがあったから、この1週間みんながリラックスしないでもう一回しっかりチャレンジしようとなれたと思います」(柏倉)
試合後には、直近2シーズンに山形でもチームメートだった田原隆徳と会話を交わし、眞庭も感情を抑えることができなかったと語る。
「TEE(田原)と初めて山形で会ったとき『絶対昇格しましょうね』みたいなことを言ってきたんです。今日はTEEが先に泣いて抱きついてきたんですけど『やり遂げましたね』って。そんな熱い言葉を言われてもらい泣きした感じですね。山形時代も苦しいことがたくさんあったんですけど、僕とTEEは間違ってなかったなって、堪えきれなくなってしまいましたね。全然泣くつもりもなくて、そこの瞬間だけ急に崩れました。試合展開がヒリヒリ過ぎて、泣くとか感情が全然追いつききれてなかったですね」
現役最後の試合で優勝を果たし、ホームの大声援のなか、プロバスケットボール選手としてのキャリアに終止符を打った眞庭。記者から「バスケ人生を一言で言うと?』と質問を受けると、「“楽しかった”しかないですね。上手いこと言えなくて申し訳ないですけど、本当に楽しかったです」と晴れやかな表情で言い切った。
「なかなかないですよね。恵まれたなと思いますし、バスケの神様に感謝ですね。これ以上のストーリーはもうないと思います」