悩みながらも越谷アルファーズをB1昇格へと導いた安齋竜三HC「いいチームになった」
5月12日、「日本生命 B.LEAGUE B2 PLAYOFFS 2023-24」セミファイナル第2戦が行われ、越谷アルファーズ(東地区2位)が、敵地の千葉ポートアリーナでアルティーリ千葉(東地区1位)と対戦。越谷が75-72で2連勝を飾り、B2ファイナル進出を決めた。
2019-20シーズンにB2へ昇格してから5シーズン目で、ついに悲願のB1昇格を果たした越谷。昨シーズンはアドバイザーを務め、今シーズンからヘッドコーチ兼アシスタントゼネラルマネージャーに就任した安齋竜三HCは、「アルティーリさんの壁は高かったんですけど、選手たちの頑張りとアルファメイトの皆さんの後押しのおかげで、そこを超えることができました」と試合後の会見で語った。
「正直、僕が去年入ったときのアルファーズは勝っていけるカルチャーじゃないなと思っていました。楽しくはやってるけど、全員が何かをやり切ろうとする組織ではないなと思っていて、そこを僕も試行錯誤しましたけど、最後のプレーオフに入る前に上位チームのアルティーリさんや滋賀(レイクス)さんとやったときぐらいからチームとしてまとまってきて、いいカルチャーも少しずつできてきたと感じていたんで、それが出せたゲームだったんじゃないかなと」
素直な心境を明かした指揮官は、シーズン序盤の昨年11月に「僕が求めるレベルがきついかな、と本当に悩んで。でも、それを下げたら、それなりのチームにしかならないし、それなりの選手にしかならない」と苦悩を語る場面も。それでも、「選手たちを押し上げたいという思いもあるので、ベースを落とさずにやっていこうと決めました」と当時話したとおり、選手を見事にステップアップさせると、56勝4敗と圧倒的な勝率を誇ったA千葉をアウェーで撃破し、チームをB1昇格へと導いた。
35勝25敗でB2リーグ全体でも4位の成績と、決して順風満帆なシーズンを送ったわけではない越谷。それでも、安齋HCは会見で「試合中も試合後もすごく感動しましたし、いいチームになったなと感じました」とチームの確かな成長を噛み締めた。
「全員が自分のやるべきことをやろうとして、自分の方向ではなくチームに対してベクトルが向いてて、チームがどうなりたいか、同じ方向を向いてやりだしたのがこの結果に結びついたと思います。やっぱりチームスポーツはそれしかないと思っているんで、前のチーム(宇都宮ブレックス)のときも言いましたけど、『自己犠牲をしっかり払いながら、それを周りが評価できる』チームにだんだんとなってきたところがこの結果につながったのかなと感じています」
2004年に越谷の前身である大塚商会へ入団し、日本リーグの新人王を獲得した安齋HCは、「ずっとお世話になっていた会長の夢を、今日ひとつ達成できて少し恩返しができた」と感慨深い様子。一方で、今日の勝利に喜びつつも「まだまだB1のレベルに達してない部分はいっぱいある」と厳しいコメントを残し、さらなる先を見据えた。
18日からはついにB2ファイナルがスタート。越谷はB1復帰を決めた滋賀と、今シーズン最後の戦いに挑む。