B1川崎が佐藤賢次HCの退任発表「全てが私の人生の宝物」共闘したファミリーに感謝
川崎ブレイブサンダースは5月13日、佐藤賢次ヘッドコーチが退任することを発表した。
奈良県出身の佐藤HCは現在44歳。洛南高校から青山学院大学へと進学し、2002年に東芝ブレイブサンダース(現:川崎ブレイブサンダース)に入団すると、2011年の現役引退後もサンダース一筋で指導者へ転身。2019-2020シーズンから川崎のヘッドコーチを務めていた。
指揮官就任5年目だった今シーズンは、最終節までチャンピオンシップ(CS)出場権を争う奮闘を見せたものの、指揮をとってきた5シーズンで最低の勝率.550(33勝27敗)にとどまり、中地区4位でシーズン終了。在任5シーズンの通算成績は、天皇杯優勝2度、Bリーグ地区優勝2度、CS進出3度、B1レギュラーシーズン189勝85敗だった。
今回の退任発表に際して、佐藤HCと北卓也ゼネラルマネージャーは、次のようにコメントした。
▼佐藤賢次HC
この5年間、多方面で支えていただいた全てのサンダースファミリーの皆さまに対し、心より厚く御礼申し上げます。この期間に在籍してくれたチームスタッフと選手、ホームゲームを作るために全身全霊を注いでくれたフロントスタッフや運営スタッフの皆さん、そして、一番近くで苦楽を共にしてくれた家族のみんな、本当にありがとうございました。
バスケットボールの試合は人生そのものです。良い時間帯があれば必ず悪い時間帯もあります。ちょっとしたきっかけで良い流れが生まれたりします。そのちょっとしたきっかけの裏に、選手の弛まぬ努力があったり、コーチ陣が寝ないで準備した映像や対策があったりします。逆に、ちょっとした躓きで悪い流れが生まれます。その裏には、日頃の何気ない悪い習慣があったりします。そのようなことを、1シーズン通してチームで共有し、理解し、支え合い、改善を繰り返してチームは成熟していきます。人が成長し大人になっていくような感覚です。毎シーズン、開幕の挨拶で「このチームの成長を一緒に楽しんでください」と皆さまにお伝えしていたのはこのような考えがあったからです。
そんな貴重な経験を5シーズン分もさせてもらいました。全てが私の人生の宝物になっていることは言うまでもありません。順風満帆ではありませんでした。1年目はシーズンが途中で終わり最後まで戦うことができませんでした。2年目3年目は試合だけでなくコロナとも戦うシーズンでした。4年目5年目は私の力不足で結果を残すことができませんでした。特に今シーズンは「NICK THE LAST」の特別なシーズンにも関わらず、うまくチームを導くことができませんでした。ファミリーの皆さまをチャンピオンシップに連れて行くことができず、本当に申し訳なく思っています。ただ、この5年どのシーズンも、スタッフ・選手と共に、改善点に真摯に向き合い、全力で最後までチームづくりに邁進できたことは私の誇りです。
私はバスケットボールの試合を通して、結果だけではない何か心に残るものをお届けすることを信念としてこれまで戦ってきました。この5年間に皆さまの心に残るものをお届けすることはできたでしょうか。何か一つでも残っているものがあったとしたら、本当にうれしく思います。
川崎ブレイブサンダースは今後も大きく発展し続けると信じていますし、もっともっと強いチームになっていくと信じています。いつかBリーグ優勝を勝ち取り、その先のアジアで一番になってくれるはずです。これからも川崎ブレイブサンダースの応援をどうぞよろしくお願いいたします。5年間本当にありがとうございました。
▼ 北卓也GM
佐藤ヘッドコーチとは、彼が2002年に選手として東芝ブレイブサンダースに加入してから、同じコートに立つ選手として、アシスタントコーチと選手として、ヘッドコーチとアシスタントコーチとして、ゼネラルマネージャーとヘッドコーチとして、あらゆる立場で20年以上の時を共に過ごしてきました。そこには楽しかったこと、苦しかったこと、タイトルを取り共に喜びあったことなど、とてもここに書ききれないほど数々の思い出があります。
そして私の後を継いでヘッドコーチになってから5シーズン、クラブにとても大きなものをもたらしてくれました。クラブ創設から70年を超える長い歴史の中で、初めて天皇杯を連覇できたというのは彼の手腕ですし、クラブの歴史においてこの先も語り継がれる大きな功績です。
ここ数シーズンは本当に苦しかったと思います。シーズン中やチャンピオンシップで主力メンバーを欠いて戦わなければならなかった場面も何度もありました。それでも選手・スタッフを鼓舞して、最後まで諦めずにプレーするチームをつくってくれたことに感謝しています。
本人のコメントにもありますが、試合を観てくれた方々に何かを残すバスケットボールを自ら体現してくれたと思います。本当にお疲れさまでした。ありがとうございました。