B1チャンピオンシップ 三遠ネオフェニックス対広島ドラゴンフライズの見どころ――「攻めの三遠、守りの広島」の構図を崩すのはどっち?
5月11日(土)から始まる「日本生命 B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2023-24」のクォーターファイナル、三遠ネオフェニックス対広島ドラゴンフライズの見どころをまとめる。舞台は豊橋市総合体育館。ティップオフはGAME1、翌12日(日)のGAME2とも13:05で、1勝1敗のタイの場合のみ行われる13日(月)のGAME3は19:05からのナイターで行われる。
三遠と広島は、どちらもポストシーズンの経験が浅いチームと言える。三遠はCS進出がリーグ創設シーズンの2017年以来7年ぶり2回目であり、対する広島も、昨年のCS初進出に続く2年連続2回目となる。B1チャンピオンシップ(以下CS)では今回が初めての対戦機会だ。
今シーズン初めて中地区制覇を成し遂げた三遠は、優勝候補として捉えられるべき位置づけのチームだが、現時点ではまだポストシーズンでの勝利がない。セミファイナル進出、ファイナル進出、リーグ制覇という階段を上ろうという前に、まずは1勝して新たな歴史を刻むところからというのも現実的な見方かもしれない。広島は昨年のクォーターファイナルで、千葉ジェッツ相手にポストシーズン初勝利を手にしている。今回はワイルドカード上位という立場から、下剋上で初の4強入りを狙う。
中地区王者三遠、ワイルドカード上位の広島、気になる終盤戦の流れ
シーズン中の対戦は昨年12月9日、10日に広島サンプラザホールで行われた2試合。結果はどちらも三遠の勝利で、GAME1が84-77、GAME2が103-83だった。リーグ1位の平均89.5得点を記録した三遠が、その特徴を表現できた試合と言えそうだ。逆に、平均失点がリーグで3番目に少ない73.4の広島にとって、この週は80失点越えが2試合続いた初めての節となった。今シーズン唯一100失点以上を喫した試合も、この節のGAME2だ。
三遠が特に強みを出し、広島がそうできなかったGAME2では、三遠は速攻からの得点で14-8、3Pショットでの得点で33-24と広島を上回った。また、フリースローで20-7のエッジを取れたことも大きかった。個別にはコティ・クラークが2日間で3Pショットを9本中3本、フリースローを6本すべて成功させる21得点を稼ぐなど躍動。金丸晃輔も3Pショット6本中3本とフリースロー7本すべて成功を含む18得点を記録し、ほかにもデイビッド・ダジンスキーが16得点、ヤンテ・メイテンが14得点と4人が得点を2桁に乗せた。
広島ではケリー・ブラックシアー・ジュニアが27得点と爆発したが、ほかに2桁得点に届いたのはドウェイン・エバンス(12得点)のみで、相手にやりたいことをかなりやられた上に、オフェンスでも「打ち合い」と言えるほどの抵抗を見せることはできなかった。
レギュラーシーズン中2度あった直接対決では、コティ・クラークの爆発的なオフェンスが決め手となり三遠ネオフェニックスが2連勝している(写真/©B.LEAGUE)
クォーターファイナルでの対戦では、三遠はこのGAME2でできたことを再現できれば良い結果が得られるだろうし、広島はそれをさせないことで勝機を見つけることができるのではないだろうか。両チームとも本来の力をどれだけ発揮できるかという点では、レギュラーシーズン終盤戦の流れも振り返っておきたい。
三遠は最後の6試合を2勝4敗と負け越している。負けた相手は、その時点で広島、千葉Jなどとワイルドカード枠を争っていたサンロッカーズ渋谷とシーホース三河だ。CS進出に向け1敗もできないという意気込みの2チームに4敗したというのは、見る側として「やや気ならないでもない」程度には気になるのではないだろうか。最終戦(三河とのGAME2)はクラークをコンディション調整で欠く中での黒星で、大野篤史HCも「メンバーがロスしている中でも、自分たちの色を出してくれたと思っています。昨日のGAME1と比べれば、自分たちのチームがどういうチームなのかということをしっかり表現できたゲームだったと思います」と落ち着いたコメントを発信しているので、目くじらを立てることでもないかもしれないが、広島が勢いを強めている状況なのも事実なので、両チームの流れがどのようにシリーズに影響するかは一つのチェックポイントのように思える。
広島の方は、最終節GAME1で西地区優勝をかけて敵地に乗り込んできた琉球ゴールデンキングスを相手に69-59で勝利を挙げ、それによって自らのCS進出を決めた。その1勝は結果的に、琉球の西地区7連覇を阻む意義深い勝利でもあった。広島はこの勝利を含め最後の6試合を5勝1敗としてクォーターファイナルに突入してくる。これに勢いづかないチームはないだろう。
平均10.6得点、3.6アシストを記録してシーズン半ばまで広島ドラゴンフライズをけん引していた寺嶋良。レギュラーシーズン最終節までに復帰することはできていない(写真/©B.LEAGUE)
広島にとって痛いのは、司令塔の寺嶋良が3月3日の千葉ジェッツ戦で負傷し、現時点でも復帰できていないことだ。診断は右大腿骨内顆骨挫傷、右脛骨近位骨挫傷、右膝内側側副靱帯損傷とのことで、全治8~10週間の見込みだったので、もしかしたら…という期待もしたくなるところだが、GAME1前日時点ではその吉報は聞かれていない。