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2024.05.11

B1チャンピオンシップ 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ対シーホース三河の見どころ――エキサイティングな愛知決戦に求められる堅実な戦い

  • 月刊バスケットボール

511日(土)に開幕する「日本生命 B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2023-24」のクォーターファイナル、名古屋ダイヤモンドドルフィンズ対シーホース三河の見どころをまとめる。この日行われるGAME1と翌12日(日)のGAME2は、ドルフィンズアリーナで15:05にティップオフ。タイになった場合のGAME3は、同じ会場で13日(月)の19:05に始まる。

同じ愛知県にあり、Bリーグ創設以前からの歴史と伝統を持つチーム同士が激突するウォーターファイナル。かつ、両チームともレギュラーシーズン終盤戦を非常にいい形で乗り切ってクォーターファイナルを迎えている。両チームのブースターにとっては、これほど気持ちを入れられる舞台もなかなかないのではないだろうか。

名古屋Dにとって終盤の5試合は、西地区の優勝争いをかけた正念場だったが、その間の427日、28日に、当時地区首位だった琉球ゴールデンキングスを相手にホームで2連勝。最終節の佐賀バルーナーズとの対戦も勝ち切って、シーズンフィナーレのGAME2でみごと西地区王座に就いた。戦いぶりも、その5試合すべてが80得点以上、ディフェンスではすべて失点が70台以下と非常に安定していた。

名古屋Dはその1試合前の島根スサノオマジック戦からの6連勝でシーズンを終え、最終成績を4119敗、勝率.683として琉球とのゲーム差なしの地区制覇だった。つまり1試合でも落としていたら運命が変わっていたことになる。琉球が6連覇していた西地区を初めて制した56日は、東京都内でBリーグがチャンピオンシップ開幕会見を行っていたが、唯一名古屋Dだけは、須田侑太郎がオンラインで参加するという特別なはからいが必要だった。それだけぎりぎりのシーズンだったということだろう。

しかし、一方の三河も名古屋Dに劣らないほどの勢いを終盤戦で見せていた。最後の5試合は41敗。最終節では中地区王者の三遠ネオフェニックスを2度倒し、自力で中地区2位の座をつかみ取った。三河のシーズン成績は3624敗、勝率.600で、ワイルドカード上位でCS進出を決めた広島ドラゴンフライズと同率。同じ中地区の3位でCS進出を逃したサンロッカーズ渋谷、ワイルドカード下位でどうにかCS進出を決めた千葉ジェッツとのゲーム差はわずか1しかなかった。もう1つ負けていたら今はない。そんな状況を乗り越えてこの舞台に立っている。

両チームのシーズン中の直接対決は11敗のタイ。以下のとおり、どちらも勝った方が90得点台、負けた方も80得点を超えるという、幅広いファンが楽しめるような展開だった。

120日 三河91-85名古屋D
121日 名古屋D94-82三河

双方とも平均得点が80以上のチーム(名古屋Dがリーグ3位の84.0、三河が同10位の80.4)なので、これと同じ傾向がクォーターファイナルでも予想できるのではないだろうか。一方が地区王者でもう一方が別地区の2位という「称号」の違いこそあれ、本質的に両者の間には5勝の差しかなく、直接対決でも五分の星。かつ、どちらも愛知県内を拠点とする距離的、文化的な近しさの中でライバルを燃やして戦う。この勝負はどちらに転ぶかまったくわからない。

ミスがかさんだ方が負ける我慢比べ


西地区優勝を決めて抱き合うジョシュア・スミスと斎藤拓実。勢いづく名古屋Dにあって、ガードもビッグマンも堅実さを表現することが必要だ(写真/©B.LEAGUE)

上記の文脈に沿いハイスコアリングな接戦を予想するとして、カギとなる要素はどこかというと、どちらがミスを多くするか、それをどのように点数につなげるかに注目したい。両チームのペースを比べてみると、名古屋Dはリーグ7位の73.8。対して三河は17位の72.1となっている。ここでの差は1.7で、相対的に見てどちらも極端にハイペースでもスローペースでもない。一方、ターンオーバー数を見てみると、名古屋Dがリーグ最多の15.1だったのに対し、三河の11.4はリーグで少ない方から9番目と比較的大きな差がある。

1月の直接対決を再度振り返ると、美川が勝利したGAME1では、勝った三河のターンオーバーは10で名古屋D12とどちらもシーズンアベレージ以下で大きな差はない。ターンオーバーからの得点も三河の16に対し名古屋D18で、大差はなかった。しかし、名古屋D2桁得点差をつけて勝ったGAME2では、ターンオーバー数自体の差は1しかない(名古屋D17に対し三河16)が、ターンオーバーからの得点で名古屋が24-15と差をつけていた。上記のシーズンアベレージの差を克服できていた名古屋Dが勝利したという見方ができる。

これらを併せて考えると、特に短期決戦のプレーオフで、ハイスコアリングな展開をするだけでなく堅実な戦いが必要となり、相手が犯したミスを確実に得点につなげることが特に重要だ。その過程で、斎藤拓実やダバンテ・ガードナー(三河)らのショットメイクの精度も問題になるだろう。雑にならずにハイペースな展開を作れた方が、このシリーズを制するのではないだろうか。


過去に3度B1の得点王に輝いたダバンテ・ガードナー。今シーズンも平均18.5得点がリーグ5位、3P成功率39.5%が同9位と活躍したが、クォーターファイナルで三河がさらに前進するには彼の本領発揮が欠かせない要素だ(写真/©B.LEAGUE)