【試合後コラム】アルバルク東京が東地区上位対決に快勝、千葉ジェッツを『走らせない』ために徹底した策とは!?
テーブス海「千葉Jは走りたいチームだからこそ、自分たちのターンオーバーを減らす」
試合後の両ポイントガードが語った言葉が印象的だった。
勝利したアルバルク東京のテーブス海は、狙い通りの試合運びができたと胸を張る。「千葉(ジェッツ)さんとは(今季対戦が)4回目なので、勝った試合もあれば負けた試合もありましたし(2勝2敗)、負けた試合の課題は明確でした。勝った試合も映像や数字を見て、そこを明確にして今日は試合に入りました。今回はコーチ陣が組み立ててくれたゲームプランを40分間選手たちが遂行できたから勝つことができたと思います」
一方で、敗戦した千葉Jの富樫勇樹は素直に完敗と口にした。「1個目の3ポイントからやられてしまいました。自分たちがディフェンスで用意してきたものではなかったので、そこから崩れてしまったという印象があります。今日の試合に関しては完敗だと思います」
4月17日、国立代々木競技場第1体育館で開催された第33節のA東京vs千葉Jは東地区の2位と3位の直接対決ということで注目度の高い一戦となり、この日の入場者数は10,413人。Bリーグのクラブ主管試合最多入場者数を更新する記録が生まれた日となった。
ゲームは開始直後に主導権を握ったA東京が常にリードする展開で推移していく。第1クォーターから2桁のリードを奪うと、第2クォーターには1桁差まで詰め寄られたものの、前半は42-26で終了。最終スコアは78-67だったが、最大で20点差が開く時間帯もあるなど、A東京の強さが光った試合と言えるだろう。
この試合に向けてA東京が明確にしたポイントは、ペースコントロールに表れていた。ターンオーバーを極力減らしながら、チームがスムーズにセットプレーに入って得点を重ねていく。司令塔であるテーブスは、そこを念頭に置いてゲームを進めていたと明かす。
「目標のターンオーバーの数は6だったんですけど、最終的には8で終わりました。前半は2で相手は0だった。千葉Jは走りたいチームだからこそ、自分たちのターンオーバーを減らす。もし走られたらファウルで止める、あるいはボールに寄ってイージーなシュートを減らす。それは意識していました」
オフェンスでは簡単にボールを失わない。積極的に自分がシュートを狙う優先順位も下げ、ミスをしないためにはどう攻めるのがいいのか。自身は6得点2アシストだったが、33分32秒の出場でターンオーバーはなし。手堅く、丁寧に組み立てた。そしてその作業は、速い展開で攻撃を仕掛けたい千葉Jにリズムを作らせないことにも繋がったと言える。
一方で千葉Jの冨樫は、序盤から追いかける展開になった流れを引き寄せようと孤軍奮闘していた。しかし、目を光らせているA東京から素早く寄せられ、リズムになりそうな芽をファウルで摘まれた。その徹底ぶりに屈した格好だ。冨樫は淡々と口にする。
「アルバルクは試合中にファウルの数を常に全員で確認し合っているチームでした。僕がトランジションから少しでもボールを持った時には(相手は)ファウルする準備ができていて、本当に常に目の前に選手がいました」
試合後のテーブスには、2日前の優勝に関する話題も向けられた。自身の優勝ではない。父親であるBTテーブスがヘッドコーチを務める富士通レッドウェーブが、16年ぶりのWリーグ優勝を飾ったことについてだ。会場では父の偉業に喜ぶ自身の姿もあった。
「めちゃくちゃ感動しました。父がどれくらい悔しい思いをしてきたのかはよくわかっていたので。現場でやっと優勝する姿を見られたのはうれしかったです」
そして、父である指揮官と、熱い抱擁をしたポイントガードの町田瑠唯との間に感じた強い絆に、自らの想いを重ねるように言葉を続けた。「父と町田選手の信頼性は、ポイントガードとしては夢のような信頼関係だと思います。僕とアド(デイニアス・アドマイティスヘッドコーチの関係)はまだ1年も経ってないですけど、そういうのを作れたらいいなと思って見ていました」
取材中、通りがかって笑顔を見せるアドマイティスヘッドコーチに向かって、テーブスが「It’s OK!」 と声をかける。ほんの些細なやり取りだが、現在のチーム状態や指揮官との関係が良好であることが垣間見えた。
これでリーグ戦は5連勝。次節はBリーグ首位にいる宇都宮ブレックスとの直接対決となる。ともにチャンピオンシップ出場は決まっているとはいえ、連勝すれば首位に浮上するラストチャンスでもある。目指すは東地区優勝、そしてBリーグ制覇だ。
「親子で優勝できたら面白いストーリーになりますが、父が優勝する前から、自分たちは優勝しか見ていなかったので、自分たちがやることは変わらないです。これからチャンピオンシップに進んでいく中で、すごく刺激というかモチベーションになりました」
A東京加入1シーズン目を過ごす司令塔の優勝に向けた思いは強い。その悲願を成し遂げた際には、BTテーブスHCと町田瑠唯にも負けない熱い抱擁をアドマイティスヘッドコーチと交わすテーブス海の姿があるに違いない。
#3 テーブス海のアシストから
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— アルバルク東京【ALVARKTOKYO】 (@ALVARK_TOKYO) April 17, 2024