バスケの楽しさを伝える「Jr.NBAクリニック in 東京 powered by B.LEAGUE」開催
2月29日、トヨタ府中スポーツセンターにて「Jr.NBAクリニック in 東京 powered by B.LEAGUE」が開催された。このクリニックはBリーグとNBAとの共同での取り組みとして、昨年のBリーグの開幕とともに9月に本格的にスタート。これまで全16回のうちに12回が終了している。
今回はNBAアジアオペレーションのナタリア・アンドレコーチがレッスンを担当。U12~15年代を対象としたキッズクリニックにはアルバルク東京、アースフレンズ東京Z、東京八王子ビートレインズから約60名が参加し、指導者向けクリニックにはその3クラブの育成年代を受け持つコーチが受講した。アンドレコーチの明るくかつ熱心なレッスンがスタートした。
最初に行われた指導者向けクリニックでは、A東京のユース選手をモデルにトランジションゲームの指導をレクチャーした。内容的にはファンダメンタルを中心としたベーシックなものだったが、指導のポイントとして、「選手たちのモチベーションアップ」、「自分たちで考える習慣づけ」を強調。レッスンを受けるコーチからも質問や意見交換が積極的に行われた。
キッズクリニックはウォーミングアップのメニューでスタート。当初は尻込みしていたキッズたちも、その後の声出し練習やアンドレコーチの元気のいい掛け声に呼応するかのように次第に笑顔が見られるようになった。また、ここからバスケ女子インフルエンサー「すみぽん」も参加。キッズと一緒にレッスンを受けたり、見本のプレーを見せたりするなどして、レッスンに花を添えた。
1面のコートにハンドリングやディフェンスのフットワークなどのファンダメンタルとシュートドリルを8カ所に分かれ、それをキッズたちが次々にレッスンを受けていく。アンドレコーチが各所を巡回し、フットワークやシュートの方法などで細かくアドバイスを送る場面も見られた。
「普段とは違う人たちとレッスンを受けることが刺激になりました」と語ったのは、A東京U13所属の角出知大選手。「NBAの方に教われるだけでなく、自分より上手い人がたくさんいたので、そこから学ぶものもたくさんありました」と、充実の内容だった様子だ。Bリーガーになることを視野に入れる角出選手にとって、この経験が夢の実現の一歩になるかもしれない。
コーチクリニックを受け、その後のキッズクリニックでレッスンを受け持ったA東京U15担当の中村領介コーチは「海外のコーチの方からレッスンについて教わる機会がなかなかないので貴重な経験になりました」とコメント。「選手たちへのアプローチの仕方も参考になりますし、モチベーションアップだったり、選手たち自身が考えるように向かわせる方法は参考になりました」と、満足げな表情を見せた。
「Jr.NBA クリニック in 東京 powered by B.LEAGUE」を担当するBリーグ競技運営グループの塩谷崇彰氏にも話を聞くことができた。世界第2位のバスケリーグを目指すBリーグにとって、この施策をもとにNBAとの関係を深めることも意味があるだろう。「今回で全体の4分の3を終えたところですが、今季開催しなかった地域からも問い合わせをいただいていますので、手応えを感じています。現在も女子の選手に参加していただいていますが、今後は開催地も含めてさらに対象を広げられればと思います」と、来季へさらに規模を大きくする構想を話してくれた。
充実のレッスンを終えたアンドレコーチは日本での日々を楽しんでいるとのこと。日本食も問題なく、日本酒もお気に入りだという。
「とにかく子どもたちにはバスケを楽しんでもらいたいと思います。今はその時期なのです。指導者の方にもバスケを楽しめることに加え、そして、自分で考えることも意識してほしいと思います。また、このクリニックのユニークなところは保護者の皆さんへのクリニックの時間があること。子どもたちの応援をしてほしいことをお願いしました」
レッスンは充実のうちにすべてのプログラムを消化。最後は全員でハドルを組み、「1、2、3、Jr.NBA」と大きくコールしてレッスンは終了。短時間のレッスンだったが、参加したキッズも指導者も収穫十分の内容だったと言えよう。それはコートを後にした参加者の満足げな表情が物語っている。
文=入江美紀雄