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2024.03.05

星川堅信(越谷アルファーズ)にインタビュー――「プロのあるべき姿が身につきつつある」

  • 月刊バスケットボール


星川堅信は身長190cm、体重92kgのスモールフォワード。早稲田大学4年生で、今シーズンは越谷アルファーズの特別指定選手として3月3日までに20試合に出場し、平均3.5得点、0.8リバウンド、0.7アシストのアベレージだ(写真/©B.LEAGUE)

越谷アルファーズで特別指定選手として活躍している早稲田大学4年生の星川堅信に話を聞く時間をもらった。取材したのは、スターターを務めて13得点、4アシストを記録した3月3日の山形ワイヴァンズ戦当日。健闘実らず69-76で敗れた直後だったが、星川は丁寧に質問に答えてくれた。

会話は試合の振り返りから始まった。「試合に入る前にこうしようと言っていたディフェンスがうまくできなかった」という反省の弁だったが、次戦(3月9日[土]、10日[日]にアウェイで福島ファイヤーボンズと対戦)に向け「ちゃんと遂行するための準備を平日5日間かけてやっていきたいと思います」と前を向くコメントを聞かせてくれた。

今節初戦は87-66の快勝で、星川自身15得点、2アシスト、2スティールと攻守で勝利に貢献していた。敗れたGAME2も、48-6618点差のビハインドを背負った第4Q開始50秒にコートに入るや、即座に連続得点を奪うなど積極性が光るプレーぶり。2日間を通じてフィールドゴール24本中11本成功(うち3Pショットは11本中4本成功)と好調で、終盤戦に向けさらなる飛躍を予感させている。


星川はじっくり考えながら深みのある答えを聞かせてくれた。若々しさはもちろんあるが、大人びた内面性も感じられるインタビューだった(写真/©B.LEAGUE)

特別指定扱いではなく、一人の選手として見てもらえていることがうれしい

——高校時代から得点力や柔軟性がある選手と思っていましたが、Bリーグでやってみてどんなところに手応えを感じていますか?

カテゴリーとは関係なしに、チームが変わればバスケットのリズムも変わります。チームに加入して3ヵ月弱経ちましたけど、大学ではアルファーズほどセットを組まずにフリーランスでやる感じだったので、最初はセットのタイミングや狙い目があやふやなままやっていました。それが最近は、こういう感じだったら自分たちの良いリズムだよねというような、言語化しづらい部分もつかめてきて、自分の良さもちょっとずつ出せてきたかなと思っています。

——今日と昨日は安定して2桁得点を挙げましたし、今日は316秒の出場時間とフィールドゴールアテンプト数がチームハイ。どんな部分を評価されていると感じていますか?

これからプロの世界でやる上で、ディフェンスを基盤にしていきたいなというのがあって、最初はポジショニングなどを気にせずシューターだけは潰すようにというシンプルな指示に対してクリアにディフェンスをできていたんです。でも、時間が経つにつれてポジショニングだとか、スカウティングを生かして「このセットが来たらこう守ろう」みたいな決まり事など考えることが増えて、ちょっと混乱した時期がありました。自分の武器は高い強度のディフェンスで当たりにいくことなのに、約束事とかチームのルールを考えすぎて、ちょっとソフトな感じになっていたというか、試行錯誤が必要でした。

最近はそれもだいぶクリアになってきて、最初の頃に「これはこうだからこうする」というふうに頭で考えてから身体を動かす感じだったのが、身体が勝手に動くというか、自動化された感じがプレーをしていてあります。そのディフェンスが加入当時よりは上がってきているかなと思います。まぁ、全然やられてはいるんですけどね…()

——安齋竜三HCはディフェンスの要求が強いと思いますが、どんなことを学んでいますか?

どれかひとつに絞るのは難しいですけど、例えば最初に言われたのは、オフボールのディフェンスでヘルプポジションをとっているときに、僕には準備動作みたいなのがないということでした。何かをしようとするための予備動作みたいな、そうした細かな部分です。チームディフェンスだったら、相手チームの特徴の中で「この部分を消そう」というと、逆に「これは多少やられてもいいよ」というのも提示してくださるので、それはやられてはダメな方を消しながらやられてもかまわない方にどんどん誘導させていくイメージを持てています。

——大学とプロでは手の使い方が違うという話を聞いたことがあるのですが、そんなことも感じますか?

手の使い方については、大学時代に3x3をやらせてもらったときにも感じました。大学とはいろいろと、全然違います。大学では勢いで学生らしくフレッシュなバスケという感じなんですけど、プロはひとつひとつの動作にちゃんと意図があって。それは手の動きに限らないことです。


星川は2月23日の滋賀レイクス戦以降の4試合で平均得点が9.5までジャンプアップしており、シーズン終盤に向け存在感を高めていく気配を感じさせている(写真/©B.LEAGUE)

——残り試合が少なくなってきた中で、プレーオフに向け悪くない位置にいますよね。特別指定の立場からは、どんな捉え方をしていますか?

コートに出て一人の選手としてプレーする上では、特別指定だということや、どういう契約だとかはあまり関係ないなと思っています。周りからみたら特別指定枠かもしれないですけど、僕はそこをあまり意識していなくて、コーチ陣や周りの選手も、「あいつは特別指定だからこれはできなくていいかな」とならずにちゃんと悪いところを指摘してくださるし、一人の選手として見てもらっているという感覚がすごくうれしいです。今節もスタートで使ってもらって、やっぱりその最初の5人に選んでもらっているっていうことなので、試合だけ頑張ればいいわけじゃありません。誰よりも身体作りとか自主練とか、睡眠や食事も頑張らないといけないなという思いはあります。

プレーオフに向けては、勝率や順位はもちろん大事ですけど、全試合を一気にやるわけではなく1試合ずつ消化していくわけなので、次の1試合にかけていくというか、1試合1試合に集中して獲っていきたいです。勝率がどうとかは、どちらかというと僕らが気にするというよりはコーチ陣が先を見据えていくものだと感じているので、選手は今日の課題としてやるべきことを追求してやっていくだけかなというのはあります。

——すでに学生の感覚ではないということですね。

プロの世界は、学生のままプレーできる場ではないというか…。ファンの方々がお金を払ってプレーを見にきてくれるので。竜三さんはことあるごとにプロとは何か、プロとしてあるべき姿とはみたいな話を僕たちにミーティングでしてくれるので、それが徐々に身についてきたというか、身に染みてきたところです。まだ全然足りてはいないですけど、一人の選手として対価をコート上に置いてこないといけないなというのがあるので、頑張ります!


ファンの手を握ってコートに進む場面。こうした機会にも星川はプロ意識を膨らませているのかもしれない(写真/©B.LEAGUE)