「琉球優勝の立役者」や「18歳の新鋭」…W杯不出場の日本代表候補12名を徹底紹介!
2月22日と25日に行われるFIBAアジアカップ2025予選 Window1にて“再始動”する男子日本代表。その直前合宿には昨夏のワールドカップに出場していない12名の選手が選ばれている。新戦力として期待される彼らはそれぞれどのような選手なのか。その経歴からプレースタイルまで、各選手の特徴を徹底紹介する。
文=永塚和志
※プロフィール情報は2月14日時点
◆▼ジョシュ・ハレルソン
生年月日:1989年2月12日(35歳)
ポジション/身長・体重:C/208センチ・125キロ
所属:佐賀バルーナーズ
NBAのニューヨーク・ニックスやデトロイト・ピストンズ等でのプレー経験があり、中国リーグ所属等を経て、Bリーグ初年度の2016-17から日本で活躍する。これまで大阪エヴェッサ、サンロッカーズ渋谷、福島ファイヤーボンズでプレーし、今シーズン、佐賀と契約。昨夏には日本への帰化を果たし、今回初めて同国代表候補に選出された。
大柄な体躯を生かしたプレーぶりでリバウンド数も多い一方で、シュート力やアシストにも長け、3ポイントの成功率は4割前後をマークしている。名門ケンタッキー大へ彼をリクルートしたビリー・ギリスピーHC(当時)は、後に富永啓生(ネブラスカ大)のレンジャー短大時代の指揮官でもあった。同校ではNCAAファイナルフォー進出を経験している。
◆▼須田侑太郎
生年月日:1992年1月3日(32歳)
ポジション/身長・体重:SG/190センチ・87キロ
所属:名古屋ダイヤモンドドルフィンズ
ホ―バスHC体制となり代表招集も、当初は自身の役割を把握できておらずプレーに迷いがあった。が、同指揮官から「あなたは3ポイントシューターだ」とすべき仕事を明確にしてもらってからは居場所を確実にするように。密着マークのディフェンスも高評価で、昨夏のワールドカップのメンバー入りの可能性は高いかと思われたが、同大会直前の強化試合で得意の長距離シュートが入らず、落選した。しかし代表での経験を生かし、チームのプレースタイルの近い名古屋でもより多くの3ポイントを放ちながら高確率でシュートを決めている。
今シーズンは12月下旬の試合で7本の3ポイントをヒットして24得点(ともにキャリアハイ)の数字を残している。パリ五輪メンバー入りへ向けて捲土重来を期す。
◆▼安藤誓哉
生年月日:1992年7月15日(31歳)
ポジション/身長・体重:PG/181センチ・84キロ
所属:島根スサノオマジック
ホーバスHC体制下では代表候補選出時には故障に見舞われるなどで、1試合の出場にとどまるなどやや不運が重なってきた。しかし、売りである力強いドライブと3ポイントは同HCの志向するバスケットに合致していると見る向きも多い。今シーズンは約10本とリーグのトップクラスの3ポイント試投数を記録しながら平均得点でも上位につけ、ワールドカップメンバーの河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)、富樫勇樹(千葉ジェッツ)らと同様、得点力の高さで「第3のPG」としてパリ五輪へ向けてホ―バスHCにもアピールしている。
2019年のFIBAワールドカップ日本代表メンバーに選出されるも、3試合の出場で4本放った3ポイントのうち1本を決めただけで、翌年の東京五輪メンバーには入らなかった。
◆▼阿部諒
生年月日:1995年5月4日(28歳)
ポジション/身長・体重:SG/184センチ・84キロ
所属:仙台89ERS
今シーズン、島根から仙台へ移籍し開幕から先発出場を続け、出場時間を大きく伸ばしながら得点力と守備力でチームの躍進に貢献。それが認められてホ―バスHC体制下では初の代表候補招集となった。オフェンスでは3ポイントが一番の特徴で、キャッチ・アンド・シュート、またオフドリブルからリリースの速いシュートを打つことができ、今シーズンは平均試投数5本以上と前年までよりも大きく数字を伸ばしている。
3ポイントだけでなく中に切れ込んでのフローターといった武器もある。また冷静にスキップパスをさばくなど、コート上での落ち着きと視野の広さも際立ち、高いアシスト能力も見どころの一つだ。フィジカルさのあるディフェンスも、スティールでB1のトップ10に入る数字を残している。
◆▼今村佳太
生年月日:1996年1月25日(28歳)
ポジション/身長・体重:SG/191センチ・92キロ
所属:琉球ゴールデンキングス
攻守で年々レベルアップを遂げ、今や琉球のエース格となって昨シーズンは琉球のBリーグ初優勝の原動力となった。巧みなドリブルからのドライブインや3ポイントなどからの得点ができるだけでなく、ボールハンドラーとして味方を生かすパスにも長ける。ディフェンスも粘り強く、ペリメーターの選手としてはリーグ屈指のオールラウンダーだ。
昨秋のアジア大会の日本代表に選出され、こちらでも中心選手としてチームをけん引。自ら得点機をクリエイトできる能力に自負を持っておりパリ五輪出場を強く望んでいる。ワールドカップ前の合宿時にはホ―バスHCから課題として伝えられた3ポイントの安定性が出てくれば、競争の激しいSGポジションながら選考争いに入ってきそうだ。
◆▼赤穂雷太
生年月日:1998年8月28日(25歳)
ポジション/身長・体重:SF/196センチ・94キロ
所属:秋田ノーザンハピネッツ
元日本代表の赤穂真氏を父に、双子の妹・ひまわり、姉にさくらを持つなど優れたバスケットボールDNAを持つ。強靭な肉体でBリーグでは外国籍選手にマッチアップすることも多い一方で、大学時代にガードに挑戦していたこともあってドリブルや3ポイントなど多彩な技量を持つ。新天地・秋田で迎えた今シーズンはキャリアハイの16得点をマークしている。
これまでの日本代表経験としては、U18の代表候補になったことがある他、昨秋のアジア大会のメンバーに選出され、中核として出場した。ただし、フィジカルに戦えるディフェンス力は良いものの、3ポイントに安定感を出し得点力を上げられねばパリ五輪の選考は遠いと言わざるを得ない。1月下旬には試合中に右足太ももの肉離れを負っているのも気がかりだ。
◆▼テーブス海
生年月日:1998年9月17日(25歳)
ポジション/身長・体重:PG/188センチ・85キロ
所属:アルバルク東京
「第3のPG」の座は当確と見られていた昨夏のワールドカップは、強化試合での出来が芳しくなかったこともあってメンバー入りを逃したが、パリ五輪ではロスター入りの有力候補であることに変わりはない。今シーズン移籍加入したアルバルクでは開幕から先発出場を続け、タレントの多い強豪で自身の平均得点は前年から下がってはいるものの、シュート成功率など「質」を見た時にはレベルアップしたプレーぶりをしていると言える。
またディフェンスチームである同チームで守備も成長。「+/-」はリーグトップクラスの数字を記録しており、攻守で安定感のあるところを示している。当人もパリ五輪行きは切望しており、3ポイントの確率を上げることでそこに近づくのではないかと語っている。
◆▼渡邉飛勇
生年月日:1998年12月23日(25歳)
ポジション/身長・体重:C/207センチ・108キロ
所属:琉球ゴールデンキングス
2021年東京五輪では出場こそなかったもののメンバー入り。バレーボールをプレーすることでも養った跳躍力を生かしたリバウンド力で選出の可能性大だと思われていたワールドカップは、事前の強化試合中に右肩の脱臼を負ったことで出場はならなかった。今シーズンはその肩の故障で開幕から欠場していたが昨年12月より復帰。23年2月のワールドカップ・アジア地区予選Window6のイラン戦では4本のオフェンスリバウンドを取り、カッティングからホーキンソンのパスを受けて豪快なダンクを決めるなどの活躍を見せた。
ビッグマンの少ない日本だが、パリ五輪へ向けてはワールドカップ出場の川真田紘也(滋賀レイクス)らとの椅子の取り合いになる可能性がある。
◆▼三谷桂司朗
生年月日:2001年6月15日(22歳)
ポジション/身長・体重:SG/190センチ・90キロ
所属:広島ドラゴンフライズ
高校時代から全国的に有名で、U16、U18、また3人制の日本代表として世界の舞台を踏んできた。筑波大では下級生の時から中心選手として活躍し、昨年末のインカレでは主将としてチームを3位に導いている。同インカレ後は高校時代と大学3年生時には特別指定選手として加入した広島と契約し、1月からプレー。同下旬の茨城戦では11得点を挙げている。
攻守に優れるオールラウンダーだが、攻撃に転じてからのボールプッシュとユーロステップからのレイアップやフローターなどフィニッシュの力量にはとりわけ目を見張るものがある。高校在学時の19年には、NBAステフィン・カリー(ゴールデンステート・ウォリアーズ)の来日イベントで富永啓生(ネブラスカ大)とともに選抜され、参加した。
◆▼市川真人
生年月日:2001年9月20日(22歳)
ポジション/身長・体重:C/206センチ・110キロ
所属:ベルテックス静岡
昨年2月のディベロップメントキャンプを経て、直後に行われたワールドカップ・アジア地区予選Window6へ向けての日本代表候補者合宿に参加。同年秋には中国杭州開催のアジア競技大会メンバーに選出された。得意とするのは長身ながら柔らかなシュートタッチからの3ポイントで、同アジア大会では予選リーグのインドネシア戦で4本放った3ポイントのうち3本を決めている。
主にディフェンス面で相手のフィジカルさに対して課題はあるが、ジョシュ・ホーキンソンのような選手になることを目標としている。U18でアルバート・シュバイツァートーナメントに、U19では3人制でアジア大会に出場するなどの国際大会経験がある。23年春に強豪・白鷗大を中退し、今シーズンから特別指定で現所属と契約した。
◆▼金近廉
生年月日:2003年3月11日(20歳)
ポジション/身長・体重:SF/196センチ・84キロ
所属:千葉ジェッツ
高校時代から逸材として全国的になど轟かせてきたが、そのポテンシャルをさらに最大限すべく、23年春に大学を中退しBリーグでプロになることを決断。今シーズンから晴れてデビューを果たし、抱負な出場時間を得つつ成長を見せてきた。得意は精度と打点の高い3ポイントで成功率も4割前後をキープ。12月の名古屋D戦で7本の3ポイントをヒットし、22得点を記録した。
直前のディベロップメントキャンプを経て23年2月にはFIBAワールドカップ・アジア地区予選Window6のロスター入りをし、初戦のイラン戦では6本の3ポイントを沈めるなどで20得点を挙げ、戦列なA代表デビューを飾った。ワールドカップの候補にも残っていたが、本戦のメンバー入りはならなかった。
◆▼川島悠翔
生年月日:2005年5月27日(18歳)
ポジション/身長・体重:PF/200センチ・93キロ
所属:NBAグローバルアカデミー
地元群馬の名門クラブから高校は名門・福岡大学附属大濠高校へ進学。1年生にして主力として活躍し、ウィンターカップ王座に輝いた。だが将来の海外挑戦、NBA入りを念頭に同校を2年で中退してオーストラリアにあるNBAアカデミーへ入団し、世界の才能と切磋琢磨してきた。
ビッグマンながらドライブインや3ポイントなどアウトサイドのスキルにも富む。アンダーカテゴリーですでに抱負な日本代表経験を有し、昨年のU19バスケットボールワールドカップにも主力として出場し平均13.4得点を記録した。2023年2月のワールドカップ・アジア地区予選Window6の直前合宿にも選抜され、同年秋のアジア競技大会にも出場し中心選手の1人として攻守で奮闘を見せた。