チームのアイデンティティを再認識した、秋田ノーザンハピネッツ長谷川暢「ディフェンスのチームだということを証明したい」
劣勢を覆すパフォーマンス「自分を褒めてあげたい」
秋田ノーザンハピネッツは長崎ヴェルカとの第1戦に78-71で勝利し、連敗を3で止めるとともに勝率5割復帰を果たした。それも、最大16点ビハインドからの逆転勝利に加え、赤穂雷太の欠場と大黒柱のスティーブ・ザックが試合開始直後に負傷離脱するアクシデントを乗り越えたモノで、今後の期待が高まる内容だった。
第2クォーター中盤には、オフィシャルタイムアウトを迎える寸前だったにも関わらず、連続失点で悪い流れとなった状況を変えるべくタイムアウトを取った。しかし、そのタイムアウト直後のオフェンスを成功できず、逆に速攻からバスケット・カウントを許してしまった。ベンチで戦況を見守っていた長谷川暢も「あそこはもうヤバいなって感じはありました」と振り返る。それでも、「第2クォーターも5分ぐらいあって、40分のゲームだと思っているので、僕が出た時にちょっとでも点差を縮めて1桁に持っていければいいなと思っていました」と言い、ゲームチェンジャーとなることを考えていた。
そして、15点ビハインドのタイミングでコートに送り出された長谷川は、強気なドライブでレイアップをねじ込み、シュートファウルを得てフリースローを獲得するなどすぐさま流れを変えた。長谷川のプレーにチームも呼応し、ここから13-0のランを生み出して、前半を4点差で終えた。有言実行の長谷川も「自分を褒めてあげたい」と言うパフォーマンスだった。
後半も一進一退の攻防が続いたが、チェンジングディフェンスが機能した秋田が一歩上回った。特に控えセンターの王偉嘉を起用した際のゾーンディフェンスが有効的だった。ザックが出場できず、他の外国籍選手に負担が大きくなる中、王の『繋ぎ』は非常に大きな意味を持つ。
前田顕蔵ヘッドコーチも「王選手がポイント、ポイントで入って繋いでくれたのがチームとして非常に大きかったです。本当によくやってくれましたし、チームで繋げることができた」と語っている。
「チームでは1番ディフェンスができると思っている」
他クラブの屈強な外国籍選手に個で対応するのは難しいため、王を起用する際はゾーンディフェンスを用いることが多い。言わば、苦肉の策と言えるかもしれないが、このゾーンディフェンスが逆転勝利を呼び込む一つの要因となった。長谷川も「あそこまでうまくいくとは思わなかったです」と、予想以上の効果があったと話す。
「ゲームの流れを変えるタイミングでゾーンプレスもやりましたし、ハーフでのゾーンもやったんですが、チェンジングで変化をつけることができればくらいに思っていました。外国人選手のポジショニングを下にして休ませつつリバウンドを頑張ってもらう。僕や上のガード陣がすごく足を使ってディフェンスができたのが、効果的だったかなと」
長谷川は「オフェンスが得意な選手ではないので、ディフェンスでチームに貢献したいと思っていますし、チームでは1番ディフェンスができると思っている」と自己分析する。そして、この試合は秋田がディフェンスのチームであること、文字通りの全員バスケをしなければ上にはいけないことを再認識できた。長谷川は言う。
「僕らは7人、8人で戦っているわけではなく、12人がしっかり準備して全員バスケで戦っています。赤穂選手、スティーブ選手が抜けたとしても、誰かが穴を埋められるようなチームになっていると思います。顕蔵さんが求めていることを一人ひとりが理解して表現し、秋田はディフェンスのチームだということを証明したいです」
序盤は勝ち星が伸びず、外国籍選手を入れ替えるテコ入れも行った。その結果、オフェンスの改善に成功し、調子を上げてきた。それでも、秋田の根本はディフェンスと全員バスケであると思わせる、長崎との第1戦になった。