新戦力との“共存問題”も焦らず…宇都宮・比江島慎「これから調子も上がっていくと思う」
今夏行われた「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」は、日本とフィリピン、インドネシアの3カ国共同開催となり、グループフェーズが行われた沖縄では、男子日本代表が躍動。逆転劇を演じるなど3勝2敗という成績を残した。これにより、日本は大会内での成績(19位)がアジア最上位に。見事、目標としていたパリ・オリンピックの出場権を獲得した。
その歓喜から約1カ月後、開幕したBリーグでは、ワールドカップで日の丸を背負った戦士たちがそれぞれの所属チームで奮闘している。
宇都宮ブレックスの比江島慎もその一人。開幕からここまでの全4試合でスターターに名を連ね、2シーズンぶりの優勝に向けて戦っている。
宇都宮が開幕の2連戦で対戦したのは群馬クレインサンダーズ。2試合ともに勝ちを収め、比江島も第1戦で9得点4リバウンド4アシスト、第2戦では7得点2リバウンド4アシストをマークした。
続く第2節、アルバルク東京との試合では第1戦で12得点、第2戦では14得点5リバウンドという数字を記録。第1戦こそ敗れたが、第2戦では接戦の様相の中、大事な場面での得点などでチームをけん引した。
10月14日のA東京との第1戦後、記者会見に臨んだ比江島は、「3ポイントシュートは意識を持ってやっていきたいし、(D.J)ニュービルが入ったので、そこでの共存もしっかりやっていかないといけないと思います」と、今シーズンの戦いについて語った。
2020-21シーズンから大阪エヴェッサで3シーズンをプレーしたD.J・ニュービルは、昨シーズン60試合に出場し、1試合平均で19.4得点を記録したリーグ屈指のスコアラー。比江島もまたチームの得点源を担っているため、彼の言うニュービルとの『共存』については、今は「探り探りでやっている」という。
比江島は日本代表活動などでチームを離れていた時期も長く、ニュービルと一緒にプレーして日も浅いのだから無理もない。実際、「そのときに調子のいい選手が攻めればいいと思っているし、ニュービルもそれは分かっていると思います。そこは本当に試合をしながらやっていければと思います」と話す様子からは焦りは感じられない。長いシーズンを見据え、コミュニケーションを取りながら最善の攻撃バランスを生み出していきたいと考えているのだろう。
それはコンディションも同様で、先にも挙げたように、ワールドカップからプレシーズンマッチなどを経て開幕と、スケジュール的にはハードだ。しかし、その状況を踏まえた上で「代表活動に参加したあとの(シーズンの)開幕はそんなに調子が上がっていないのは例年のこと」と、淡々と語る。そしてこう続けた。「これからどんどんブレックスのプレースタイルに慣れていくし、調子も上がっていくと思います」
コンディションは決して良好とまではいかないながらも、試合を見ればA東京戦では2試合ともに2ケタ得点。特に勝負所でシュートを沈めるあたりは流石といえる。現状を冷静に見つめ、そして一度コートに立てば勝利のために熱く、懸命にプレーする。ベテランと言われる域に入ってきた比江島のプレーには、これからも目が離せない。
取材・文=田島早苗