『集中力』が勝敗を分けた東地区注目の一戦…第4Qに引き離したA東京が宇都宮に先勝
多くのアルバルカーズが待ちに待ったホーム開幕戦が、10月14日、国立代々木競技場第一体育館で開催された。対戦相手はアルバルク東京と幾度となく死闘を繰り広げてきた宇都宮ブレックス。宇都宮にとって、代々木第一でのリーグ公式戦が初年度のファイナル以来ということも手伝って、イエローのウェアをまとった宇都宮ファンも詰めかけた。
昨シーズンの1試合平均失点がB1で1位のA東京(71.0点)と2位の宇都宮(72.1点)の対戦ということもあり、出だしから守り合いの展開となる。第1クォーターは宇都宮が12-10とリードの中、第2クォーターにはD.J・ニュービルが3ポイントを沈めてリードを広げる。しかし、A東京はテーブス海とアルトゥーラス・グダイティスのシュートで対抗。宇都宮が34-30とリードを保ったまま、試合は後半に入っていった。
後半に入り、互いに前半とは違う戦術を繰り出していく宇都宮はアイザック・フォトゥをゴール下に置いて、そこを起点に展開。対するA東京がグダイティスがリングに向かってドライブを見せるなど、ベンチの思惑が工作する。
ジリジリと点差を詰めてきたA東京は、第3クォーター残り3分38秒、セバスチャン・サイズのシュートで38-36と逆転に成功。その後、一進一退の展開となるが、A東京は吉井裕鷹の3ポイントシュートやグダイティスのバスカンで引き離しにかかる。
試合後、宇都宮の佐々宜央ヘッドコーチが記者会見で語ったのは、「第3クォーターに入って、(ディフェンスの)プレッシャーからミスが出た。一瞬、集中力が切れる場面もあった。10点リードを奪っても、すぐに挽回されてしまう」と悔やんだ。「それはベンチの責任でもあるが、多くのファンに来ていただいている中、好試合をしてしまっては申し訳ない」とコメント。
それが顕著になったのは第4クォーター。A東京はテーブスのドライブからゴール下に入っていくセンター陣へのアシストが面白いように決まり、得点を伸ばしていく。さらに小酒部泰輝の3ポイントシュート、ゴール下での合わせのプレーなどで内外バランスよく攻めるようになると、得点のペースが上がっていった。
攻め手を欠く宇都宮に対して、A東京は最後の10分間を21-10として勝利。開幕3連勝を果たした。
メディア対応したA東京のデイニアス・アドマイティスHCは「ホーム初戦ということもあり、出だし緊張気味で、攻防ともに固くなっていた。しかし、そこから修正ができ、後半はいいディフェエンスから得点もできるようになった」と、逆転勝ちに手応えを得たようだ。
「いい緊張感の中で勝ちきったことは大きいと思う。集中力が最後まで切れなかった。ただ、前半、ターンオーバーが多かったなど、反省点はあったので、修正して第2戦に臨みたい」と、表情を引き締めた。
『集中力』が勝敗を分けたA東京と宇都宮との対戦。A東京とすれば連勝を伸ばしたいが、宇都宮とすれば、連敗は許されないはず。第2戦は両チームがどのようなプレーを見せてくれるのか、注目の一点であることに変わりはない。
文=入江美紀雄