【B1クラブ展望/長崎】B1最速昇格の長崎が馬場雄大加入でさらにパワーアップ…
クラブ創設時から事業・強化の両面で話題を呼んできた長崎ヴェルカが、B2優勝こそ果たせなかったとはいえ、クラブ創設以来、史上最速の3年でB1の舞台に立つ。まだB1に定着したことのない九州勢として、同時に昇格した佐賀バルーナーズとともに旋風を巻き起こすことも期待されている。
チームづくりはこの2シーズンで、土台は揺るぎないものに仕上がっている。「HAS IT!」のスローガンの下、B3とB2でいずれもシーズンMVPに輝いたマット・ボンズを軸に、狩俣昌也や松本健児リオンらが独自のスタイルを追求。トランジションと3ポイントを武器に、過去2シーズンは他を大きく引き離す得点力を誇った。前田健滋朗ヘッドコーチの既成概念にとらわれない采配も興味深く、B1でも長崎独特のカラーは異彩を放つだろう。
伊藤拓摩GMによる意欲的なチーム編成はこのオフも変わらず、開幕直前の補強は特にBリーグファン・ブースターの注目を集めた。その中でも周囲を驚かせたのが、アルバルク東京のリーグ連覇に貢献し、先頃のFIBAワールドカップ2023でも活躍した馬場雄大の獲得だ。観客を魅了するスタイルを志向する長崎には、馬場のプレーはうってつけ。他にも3ポイントシューターの森川正明や荒谷裕秀、NBA経験者のジャレル・ブラントリーなど、クラブの方向性に合致する選手がそろった。
掲げた目標は30勝。B1昇格初年度に勝率5割をクリアしたクラブはまだなく、ここでも長崎は“初”を狙う。対戦相手のレベルは格段に上がるが、それにいち早く慣れることができれば、その先にある目標も見えてくるに違いない。
◆■KEY PLAYER/SG #14 髙比良寛治
創設時から在籍し、キャプテンの重責を背負い続ける髙比良寛治もまた、長崎のスタイルを愚直に体現する1人。念願だったB1の舞台で、故郷・長崎への想いも一層強まっているはずだ。過去2シーズンは1試合も欠場しておらず、その頑健な体を活かしたディフェンスとドライブが持ち味。昨シーズンは3ポイントシュート成功率も40パーセントを超えるなど、日々成長を続ける髙比良はその背中で今シーズンも長崎を引っ張る。
文=吉川哲彦