【B1クラブ展望/広島】クラブの“レジェンド”朝山正悟のラストシーズンを勝利で飾りたい
広島ドラゴンフライズは、シーズン序盤から西地区首位争いに加わり、最終的に地区4位だったとはいえ初のチャンピオンシップ進出を果たし、リーグの勝率記録を更新した千葉ジェッツに土をつけてみせた。これまで東高西低と言われていたB1の勢力図を変えたクラブの1つと言えるだけに、今シーズンは強豪の一角に定着できるか、B1昇格4シーズン目はより重要なシーズンになる。
土台を作った昨シーズンの戦力の流出は期限付移籍の選手を除いてわずか2人と、今シーズンは継続路線の編成となった。辻直人と佐土原遼が去ったのは痛いところもあるものの、代わって加わったのは経験豊富な3&Dの山崎稜と、身体能力抜群で伸び盛りのロバーツケイン。特に山崎の存在は、いずれもリーグでトップだった3ポイントシュートとフリースロー成功率を維持できるうえ、ウィングのディフェンス強化にはうってつけだ。練習生から昇格した久岡幸太郎もローテーションに加わると、40分間プレーの質が落ちない布陣となる。
気がかりなのは、今夏の「FIBAワールドカップ2023」にも出場したカイ・ソットが開幕前にインジュアリーリストに登録された点。昨シーズン終盤に加入した選手とあって、当面はそれ以前の戦い方に戻ることになるが、ソットが復帰した際に戦術面の混乱が起きないように策を講じておきたいところだ。寺嶋良やドウェイン・エバンスといった主軸のパフォーマンスに不安要素は一切なく、今シーズンも着実に成長してさらなる高みを目指したい。
◆■KEY PLAYER/SG/SF #2 朝山正悟
クラブを象徴する選手の今シーズン限りでの引退表明が他クラブでも起きている。在籍9シーズン目を迎え、B2時代にはヘッドコーチ代行も務めた朝山正悟の引退の決断は、広島にとってとりわけ大きな出来事だ。
昨シーズンは移籍後初めてスターター出場が1試合もなく、3ポイントシュート成功率もキャリアで2番目に低かったが、大舞台を何度も踏んできた42歳の経験値は他の追随を許さない。広島が新たな山を越えるために、朝山は最後の力を振り絞る。
文=吉川哲彦