【B1クラブ展望/島根】現有戦力に期待の新戦力が融合…ファイナルの扉を開けるシーズンに
西地区首位を走る期間が長かったにもかかわらず、シーズン最終盤で琉球ゴールデンキングスにかわされて地区優勝を逃した島根スサノオマジック。一昨シーズンのチャンピオンシップクォーターファイナルで撃破したアルバルク東京に同じ舞台で借りを返され、2シーズン連続のベスト4も逃す結果となった。挽回を期す今シーズンは、その先にある目標を改めて目指す。
主力に関しては大きな変動はなく、ペリン・ビュフォードや安藤誓哉、ニック・ケイがチームを引っ張り、ウィリアムスニカや白濱僚祐、谷口大智らが脇を固める盤石の布陣。戦術理解度が高く、個々の役割分担も明確になっている彼らは、より高い精度を追求してチームの土台を強固なものにしていくだろう。
そこに加わる新戦力は4人。リード・トラビスに代わる外国籍選手として、かつて琉球に在籍したハッサン・マーティンが6シーズンぶりにBリーグでプレーする。突出した身体能力にヨーロッパでの経験が上乗せされた今は、琉球時代以上の活躍を見込んで良さそうだ。日本人選手では晴山ケビンに、主軸の負担を減らすだけにとどまらない働きを期待できる。
シーズン終盤の息切れを回避するということを考えると、これまで主力に偏りがちだった選手起用に幅を持たせるには、大橋大空とワイリー光希スカイの成長も必須。それこそが、島根がさらにステップアップするために最も必要な要素だ。ビュフォードや安藤の出場時間が減った時、それは島根が初めてファイナルの扉を開ける時ということになるかもしれない。
◆■KEY PLAYER/C/PF #4 ニック・ケイ
今夏の「FIBAワールドカップ2023」において、ケイは日本の前に立ちはだかったオーストラリアの主力の1人だった。言い換えれば、ケイはこれから島根が対戦するどのクラブにとっても脅威となり、島根にとっては今シーズンも心強い存在。モンスタースタッツを叩き出すビュフォードの影で、堅実に自身の役割を遂行するケイもますます欠かすことのできない選手になっていくだろう。
文=吉川哲彦