【B1クラブ展望/FE名古屋】B1昇格初年度は及第点も積極補強でチーム力アップ
圧倒的な戦力で悲願のB2優勝B1昇格を果たした一昨シーズン。その勢いのまま挑んだ昇格初年度は、激戦の西地区で6位と健闘した。ただこの結果に満足していないことは、今オフの積極補強が物語っている。
B2時代からベースにしている日本代表帰化選手のエヴァンスルークと外国籍選手2人を同時起用する“オンザコート3”、チームコンセプトであるハードなディフェンスという武器を生かしながら、昨シーズンリーグワーストだった3ポイントシュート成功率とリバウンドをカバーする的確な補強を行った。
昨シーズン、リーグ2位の7.7スティールを誇ったアグレッシブなディフェンスをさらに進化させるべく、2020-21シーズンスティール王の川嶋勇人を獲得。昨シーズンのスティール王であるジェレミー・ジョーンズとの〝共演〟は対戦相手の脅威になるだろう。
いかにディフェンスを信条とするチームといえど、上位進出のためには昨シーズン平均78.1得点(23位)に終わった得点力の向上が必須だ。3x3日本代表の佐土原遼、生粋のシューター・杉本天昇、スラムダンク奨学生の鍵冨太雅、24歳の元NBA選手のアーロン・ヘンリーらオフェンス力の高い若手を揃えてテコ入れを図った。
“THEセンター”タイプのショーン・オマラの加入により、インサイドの強度が格段に増した。天皇杯を含むプレシーズンでは、スクリーンやリバウンドなどオマラの献身的でどっしりとしたプレーはチームの潤滑油となり、周りの強みを引き出していた。
さらに17シーズン在籍し、精神的支柱だった宮崎恭行が抜けた穴は、大阪や三河でキャプテンを経験した根來新之助でしっかりと補うなど抜け目がない。新キャプテンの笹山貴哉にとって心強い存在となることだろう。
ベテランのサポートにより、若鷲がどれほど大空高く羽ばたけるか。その先にCSが見えてくる。
◆■KEY PLAYER/SF/PF #8 佐土原遼
大学3年生から約3シーズン所属した広島ドラゴンフライズより、プレータイムを含めた成長の機会を求めて移籍。インカレで得点王に輝いた、3番も4番もこなせるオールラウンダーの加入は、得点力の向上だけでなく、昨シーズン30分以上出場したジェレミー・ジョーンズ、エヴァンス ルークの負担を軽減する意味でも大きい。
文=山田智子