REPORTレポート

2連勝も得失点差敗れた琉球ゴールデンキングスは3位決定戦へ。ファイナルは韓国KBL同士の対戦

2023年3月5日

53点差のプレッシャーに対し、異変を感じながらの戦い

舞台を沖縄アリーナへ移し、グループA最終戦が行われた「東アジアスーパーリーグ(East Asia Super League)」(※以下EASL)は4日目。安養KGCがサンミゲルビアメンを142-87の大差で下し、先に2勝を挙げた。「琉球よりも得失点差を上回らなければいけないことは分かっており、そのためにも得点を多く取ろうと思ってプレーしました」と安養KGCの#5ピョン ジュンヒョンが言うように、得失点差を+80まで伸ばす。琉球ゴールデンキングスがファイナルへ進むためには、台北富邦ブレーブスに53点差をつけて勝たねばならない。逆に負ければ1勝1敗で並び、直接対決の結果により琉球ゴールデンキングスはグループステージ敗退となってしまう。

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ハドルを組む琉球の選手達

試合前、桶谷大ヘッドコーチは53点差での勝利条件については一切触れなかった。当然、選手たちにもその情報は入っていたが、「水曜日にはB.LEGUEが再開するからこそ、自分たちのやるべきバスケットを見失わずに戦うことが一番大切だ」とだけ伝え、選手たちを送り出す。しかし、試合がはじまると「日頃には感じられないプレッシャーなのか、必要のないものが脳にインプットされて、前半は意志決定のところで問題が出てしまいました」という展開になる。#88牧隼利も、「オフェンスではいつもよりもワンテンポ速くなり、ディフェンスではオーバープレッシャーになっていました。それは仕方のないことです。でも、勝ち急いだ感じは否めませんでした」と異変を感じながらの戦いだった。

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コンビネーションプレーを狙う琉球#88牧

攻守に渡って前掛かりになりすぎ、いつものタイミングではないシュートが入らず、コンビネーションプレーもなぜか合わない。ディフェンスではプレッシャーをかけたが裏を突かれて失点が続き、45-45と得失点差を上乗せできないまま前半を終えた。ハーフタイム中、もう一度自分たちのバスケにフォーカスし、ブースターのためにもホームで勝利を届ける原点に立ち返る。「最終目的はB.LEAGUEで優勝すること。そこにつなげるためにも、いつものバスケをしよう」と牧は気持ちを切り替え、本来の姿を取り戻した後半はようやくリードを奪いはじめる。勝てばグループステージ突破のチャンスが残る台北富邦ブレーブスの猛攻を振り切り、83-78で琉球ゴールデンキングスが勝利。しかし得失点差は+33に留まり、安養KGCに47点及ばなかった。グループA 2位の琉球ゴールデンキングスは3位決定戦へまわり、最終戦はベイエリアドラゴンズと対戦する。

笑顔で重たい空気を払拭したカール・タマヨのモチベーション

ホームで勝利を届けた琉球ゴールデンキングスだが、試合後はファイナルへ進出できなかった悔しい気持ちの方が強い。「選手たちを同じ方向に向かせられなかったことが、結果として出たと思います」という桶谷ヘッドコーチのコメントは敗者のようだった。#14岸本隆一は「試合をしながらもそうでしたが、対戦相手と戦いながらも何か違う戦いがあったと思います。どこか収まりがつかないのが今の正直な気持ちです」とスッキリしない。しかし、前向きに捉えれば、「日本でのレギュラーシーズンでは感じられないメンタル状態で試合に臨み、結果として勝つことができたのは良かったです」と岸本は述べ、3位決定戦そしてB.LEAGUEや天皇杯で優勝するための力に変えれば良い。

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琉球#14岸本のドライブ

沖縄アリーナでのホームデビュー戦を勝利で飾った#33カール・タマヨは上機嫌だった。チームで2番目に多い13点を挙げ、「今後はビッグマンのローテーションに入ってくるぐらいの活躍を見せてくれました。スペースを広げられることで、チームにとってもプラスになる要素が出ていました」と桶谷ヘッドコーチも及第点を与える。試合後、メディアに囲まれたタマヨは「得点を重ねることができ、試合にも勝って明日の3位決定戦に進むことができました」とチームの重たい空気を笑顔で払拭する。「多くのフィリピンの方が応援に来てくれたことで元気が出ました」とモチベーションも高い。

昨夏のFIBAアジアカップでフィリピン代表として出場したタマヨは、4試合で7本の3ポイントシュートを決めた。レイ・パークス・ジュニア(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)の9本に次ぐ成功数である。台北富邦ブレーブス戦ではピック&ポップからの連係プレーで2本を沈め、チームケミストリーも高まっている。#9渡邉飛勇とともに、走れる若きビッグマンの台頭に、「新たなオプションとしておもしろいです。2人の力を活かすためにも、ハンドラーとしての力量が試されます」と牧は話し、再開するB.LEAGUEと来週3月12日(日)に迫った天皇杯決勝へ弾みをつけるラストゲームへ挑む。

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3ポイントシュートを放つ琉球#33タマヨ

韓国勢同士の対戦となったEASLファイナル。昨シーズンのKBLチャンピオンはソウルSKナイツだが、現時点で今シーズンの首位に立っているのは安養KGCの方である。4位で追いかけるソウルSKナイツの#34 ジャミール・ウォーニーは、「良い結果を残してKBLへ向けて勢いに乗るためにも、さらなる活躍ができるようにしたいです」と話し、シーズン中に行われる今大会へ懸ける思いは、どのチームも変わらない。

最終日となる3月5日(日)は16時より琉球ゴールデンキングスvsベイエリアドラゴンズの3位決定戦、19時よりソウルSKナイツ vs 安養KGCのファイナルと続き、EASL初代チャンピオンが決まる。

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