グループステージ敗退の宇都宮ブレックスにとって、成長を実感できた国際大会
2023年3月4日
勢いに乗ったラッキーボーイを止められず、6点差の惜敗
栃木県・日環アリーナで熱戦を繰り広げてきた「東アジアスーパーリーグ(East Asia Super League)」(※以下EASL)は先にグループBの全試合が終了し、最終日に進む2チームが決まった。B.LEAGUEチャンピオンの宇都宮ブレックスは、EASLのために結成された中華圏代表のベイエリアドラゴンズと対戦。身長とともに、身体能力の高さを誇る相手に90-96で惜敗した宇都宮ブレックスは、グループステージで姿を消した。この結果により2連勝したソウルSKナイツが1位通過でファイナルへ、2位のベイエリアドラゴンズは3位決定戦へ進むため、沖縄アリーナへ向かう。
ゴールに近いペイントエリアでの得点は、46-28でベイエリアドラゴンズが圧倒。それでも前半終了間際に#6比江島慎の得点で逆転し、#9遠藤祐亮が3ポイントシュートを沈め、49-47で前半をリードする。その後、後半の立ち上がりで続いたミスが悔やまれる。「全体を通しても8本とターンオーバーを少なく抑えていたのに、後半の出だしのミスは得点に直結してしまい、トランジションでも失点があり、少しもったいない時間帯でした」と佐々宜生ヘッドコーチは敗因を挙げた。
ベイエリアドラゴンズは初戦で#44アンドリュー・ニコルソンが35得点、#13マイルズ・パウエルが25点で続き、彼らへの対策は準備してきた。#10竹内公輔は「ガード陣を潰すこと」を意識し、ディフェンスからゲームに入る。初戦は2点だった#2セドリック・バーフィールドに、「ラッキーボーイ的な活躍をされてしまった印象はあります」と竹内は言い、想定外の選手に20点を許してしまう。個人技に長けたフィリピンのチームであり、勢いに乗せてしまえば止めることは難しくなる。佐々ヘッドコーチにとっても、「もう少し修正を加えなければいけなかったです」という反省点が残った。
攻守にわたって活躍した特別指定の高島紳司
特別指定の#12高島紳司は3ポイントシュートを3/4本成功させ、13点をマーク。「数少ない海外のチームと対戦する機会であり、その中でも試合に出させていただき、元NBAや素晴らしいアジアの選手たちとマッチアップできたのは、本当に良い経験になりました」と話し、この2試合を通じて自信や課題など多くのことを吸収する。フィジカルで負けずにディフェンスで抑えたが、そこから失点されてしまった場面もあった。
「B.LEAGUEでは一度止めた後、さらにアタックしてくることはなかなかなく、最終的に1on1でやられてしまいました」という違いを体感できたからこそ、「残りのリーグ戦に活かしていけるようにしたいです」と前を向く。
高島ら「国際大会をはじめて経験する選手もおり、最初はどうなるかなと思いました」と不安を抱いていたのは、長年にわたって日本代表のインサイドで活躍してきた竹内である。しかし試合がはじまれば、「みんなすぐに対応していました。日本代表の場合は、国を背負って戦うものすごいプレッシャーがかかります。でも、今回はそれを感じなかったのも、自分たちのホームゲームだったからだと思います。だからこそ、みんなも緊張することなく、国際大会がはじめての選手であってもいつも通りのプレーができていました」と述べ、すべてを出し切ったからこそ成長を実感できた。
遠藤は、「チームを上向かせるきっかけをつかみたい」と今大会に臨んでいた。1勝1敗で早々に終わってしまったが、「一人ひとりのやるべきことが見えたと思います」と得るものは大きかったようだ。
「これまではいろいろやろうとし過ぎてしまい、あまり噛み合わなかった部分がありました。でも、一人ひとりがやるべきことを遂行すれば、この試合のように満遍なくみんなで点数を獲ることができたことに手応えを感じています。今後のレギュラーシーズンに必ずつながる収穫でした」
5人が二桁得点を挙げ、遠藤は12点と活躍。佐々ヘッドコーチ曰く、「シーズン序盤と比べればチームも選手も、見違えるような成長をしています。これから東地区の強豪との試合が続きますが、あきらめずに最後まで戦っていきたいです」とこの経験を糧とし、再開するB.LEAGUEでの巻き返しを誓った。
グループAの4チームは先に沖縄へ移動し、3月4日(土)はグループステージ最終戦。1勝した安養KGCは得失点差+25、同じく琉球ゴールデンキングスは得失点差+28で3点リードし、現在トップに立っている。この両チームの直接対決はないため、より多くの点差をつけて勝利することがファイナル進出条件となる。安養KGCはサンミゲルビアメンと、琉球ゴールデンキングスは台北富邦ブレーブスと対戦し、グループステージ突破を目指す。