B.MAGAZINE編集長・菜波の「KIDS DREAM DAY」観戦記(ホワイトリング編)
皆さん、こんにちは。B.MAGAZINE編集長の菜波です。
2月18日、「りそなグループ B.LEAGUE 2024-25 B2リーグ戦」第22節の信州ブレイブウォリアーズvs山形ワイヴァンズを取材するため、ホワイトリングに行ってきました。

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今回の目的は2シーズン連続の実施となった「KIDS DREAM DAY(キッズドリームデー)」。
これはクラブのパートナー協賛企業、長野市と連携したイベントで、長野市内の小学生、中学生にプロバスケットボール観戦などを体験してもらうことを目的としています。課外活動の一環として子どもたちが参加しやすい平日昼間の時間帯に実施され、今シーズンは11月26日のバンビシャス奈良戦に続いて2度目となります。

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アリーナに到着すると、「KIDS DREAM DAY」仕様のゲームデープログラムをゲット。学習帳のような表紙になっていて、小学校低学年でも読めるようにふりがなが記載されていました。バスケットボールの基本的なルール、応援の仕方など、観戦が初めての子にもわかりやすい内容でした。
会場には体験ブースが盛りだくさん。私も子どもたちに混じってバスケットボールのシュート体験をはじめ、モルック(※1)、ボッチャ(※2)、ピックルボール(※3)といったものにも体験させていただきました。どれも面白かったです。私が小学生の時、こんなに多くのスポーツに触れる機会はなかったので、羨ましかったです。パートナーブースにも立ち寄りました。見て、触れて学べるブースが多く、楽しみながら勉強できるのもいいなと思いました。目を輝かせながら体験していた子どもたちの姿が印象的でした。

体験ブースの生徒たち (C)B.LEAGUE
※1:木製の棒を投げ、数字の書かれているピンを倒し、合計50点ぴったりを目指す競技

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※2:赤・青のそれぞれ6球ずつのボールを投げたり、転がしたりして、白い目標球にいかに近づけるかを競うパラリンピック種目

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※3:テニス・卓球・バドミントンの要素を組み合わせたようなスポーツ

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体験ブースでは昨シーズンに続いて2回目の観戦となった長野市立七二会小学校4年生の小山朔くんにお話を聞きました。ディスゲッター(※4)が特に楽しかったようで、「今日は勝ってほしいです。ダンクシュートを見たいです」と教えてくれました。引率していた先生によると、長野市立七二会小学校は全校生徒が25人の小さな学校。みんなで試合を観戦して、貴重な思い出になったのではないでしょうか。

右:小山くん (C)B.LEAGUE
※4:ターゲットに向かってフリスビーのようなディスクを投げて、何枚抜けるか競うターゲットゲーム
この日は13時5分にティップオフ。私は1階コートエンドで試合を観戦しました。お客さんの大半が小中学生で、味わったことがない雰囲気でした。前半は少し遠慮しているようにも感じましたが、後半になると応援の声がどんどん大きくなっていました。しかも、その声がすごく高い! タオルを振り回したり、ペンライトを掲げたり、立ち上がったり……それぞれの応援で盛り上がっていました。

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ハーフタイムには小中学生によるドリブルゲームが行われました。長野市立豊野中学校を代表して出場した2年生の高橋知也くん、1年生の葦澤宥心くんにもお話を聞きました。バスケットボール部に所属する2人は「緊張しましたけど、楽しかったです」と、普段は選手が立つコートでのプレーを満喫したようです。初めてのバスケットボール観戦となった葦澤くんは「すごく盛り上がっていて楽しいです」と声を弾ませました。プロバスケットボール選手を将来の夢に掲げる2人が、B.LEAGUEのコートに戻ってくる姿を見られるかもしれませんね。

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ドリブルゲームに参加した生徒たちの集合写真 (C)B.LEAGUE
試合内容はリードチェンジを繰り返す熱い展開。特に#2ペリン・ビュフォード選手のダンク、#13栗原ルイス選手の3ポイントシュート、#50ウェイン・マーシャル選手のブザービーターには会場が大きく沸きました。勝久マイケルヘッドコーチが「KIDS DREAM DAYは最高の雰囲気でした」と明かすほどで、子どもたちの後押しを受けた信州は89-83で勝利しました。

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行政と手を組み、授業の一環としてB.LEAGUE観戦の場を提供しているのはすごく魅力的だと感じました。友だちと一緒になって、試合を楽しむ子どもたちの笑顔も素敵でした。信州が地域密着型のチームだと改めてわかりましたし、今日の試合に来た子どもたちがチームとともに成長していくのかなと感じました。木戸康行代表取締役社長にお話しを聞いてきたので、最後にインタビューの模様をお届けします。

株式会社NAGANO SPIRIT 木戸康行代表取締役社長 (C)B.LEAGUE
――まずは「KIDS DREAM DAY」を始めた経緯から聞かせてください。
木戸社長:ホームタウンが千曲市から長野市に移転したのが、私が社長に就任する1年半ほど前のことです。長野市は1998年の冬季オリンピックが開催された場所で、荻原健司市長は元オリンピアンなんです。2021年に「スポーツで街を元気にする」ことを掲げて市長に当選され、市全体としてスポーツで街を盛り上げようという狙いがありました。また、長野市では社会科見学の一環としてアイススケート場に行く文化があったようです。そこで我々もスポーツに対して理解のある長野市の協力を受けて、昨シーズンから「KIDS DREAM DAY」を始めました。
――初めての取り組みで苦労したことも多かったと思います。
木戸社長:まずは子どもたちの安全、安心のため、送り迎えが必要でした。交通や観光などを事業とするパートナーのアルピコホールディングスさまに相談したところ、「100台ものバスを一度に手配するなんてオリンピック以来ですよ」と。市内の交通や警備を考慮すると難しかったので、時間差でバスを動かすようにしました。ですから、学校によってアリーナに着く時間、アリーナから出る時間が異なります。アリーナからの距離、下校の時間なども関係して、途中で帰らなければいけない学校もあります。2回目、3回目と重ねることでやり方がわかってきました。
また、長野市における小中学生の人数は約28,000人なので、全員を招待できるわけではないんです。同じ学校でも行ける生徒、行けない生徒が出てきて、参加したことがない学校もあります。我々としては満遍なく来てほしいので、教育委員会と協力し合い、この課題を解決していきたいです。
――昨シーズンから改善した点はありますか?
木戸社長:ホワイトリングにはブースを出展できる広いスペースがあります。長野県にはバスケットボールだけではなく、サッカーやフットサル、野球など他競技のチームもあるため、スペースを使ってそれらの体験ブースを設けました。2回目以降はパートナーブースが増え、今回は計7社が出展してくれました。お土産を用意する企業さんもあり、子どもたちには実際に体験しつつ楽しんでもらえたと思います。5,000人以上が集まる機会ですので、企業さんも新人研修の場にするなど、うまく活用してくれました。

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――私もいろいろなブースを体験させていただいて、すごく楽しかったです。ユニバーサルスポーツの体験ブースも多かった印象です。
木戸社長:普段は触れることが少ない競技も知ってもらいたいからです。バスケットボールだけやってほしいわけではなく、この機会を通じていろいろなことを体験してほしいんです。学校では経験できないことも多いので、ここで新しい発見をしてもらいたいと思っています。
――素敵ですね。取り組みの反響はいかがですか?
木戸社長:子どもたちには観戦を通じて「これがバスケットボールの試合なんだ」とわかってもらえているのかなと。子どもをきっかけに家族にも認知されていくと思います。2回目、3回目の観戦も確実に増えていますからね。あとは子どもたちが年齢を重ねた時、将来に語り継いでほしいという思いがあります。
――バスケットボールを見るだけではなく、プレーする子も出てきますよね。
木戸社長:そのとおりです。我々にはスクール、アカデミーの事業もありますから、そこにもつなげていきたいです。競技を広める活動としても活かしていきたいと思っています。
――「KIDS DREAM DAY」の活動でどのようなことを思い描いているのか聞かせてください。
木戸社長:長野県のプロバスケットボールチームとしては長野市のみならず、今度はエリアを拡大していきたいと思っています。9市町村で組織された長野広域連合というものがあり、その人口約50万人です。そこの子どもたちにも来てほしいです。その後は長野県のすべての市町村を対象にして、より多くの子どもたちにバスケットボールを観戦してほしいと思っています。オール信州でこの価値を高めていきたいです。
同じような取り組みをほかのチームにも検討してほしいですし、B.LEAGUE全体で盛り上げていきたいです。日本のバスケットボール業界の発展につながってくると思いますからね。バスケットボールを知って、プロ選手になりたいと思う子どもたちが増えてくれればうれしいです。

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