『スタッツで見るBリーグ』ピタゴラス勝率から見えるCS出場チームの行方
【(C) B.LEAGUE】
りそなグループ B.LEAGUE リーグ2024-25シーズンも38試合を消化し、シーズンの折り返し地点を超えた。各チームの戦力や戦術が見えてきたこの時期、「最終的な順位」に注目が集まっている。
通常、チームの強さを判断する際は勝率を参考にするが、接戦での勝利が多いチームと大差での勝利が多いチームでは、同じ勝率でもその実力には違いがあるはずだ。そこで注目したいのが「ピタゴラス勝率」という指標である。この指標は、もともと野球の世界で使われていた計算式で、チームの総得点と総失点から「本来あるべき勝率」を算出するものだ。これをバスケットボールにおける数字分析の第一人者であるダリル・モーレイがバスケットボール用に修正し、NBA、そしてBリーグでもその有効性が確認されている。実際、過去3シーズンのBリーグでは、シーズン途中のピタゴラス勝率上位8チームのうち、平均して7チームがチャンピオンシップに出場。単なる勝率以上に、チームの真の実力を反映する指標として注目を集めているのだ。それでは、38試合を終えた現時点でのピタゴラス勝率から、今季のチャンピオンシップ出場チームを大胆に予想していこう。
ピタゴラス勝率とは
このスタッツは元々メジャーリーグで使われていた指標で、計測時点での総得点と総失点それぞれを累乗して計算することで最終的な勝率を予想することを目的としている。 野球で使われていたこの計算式を、バスケットボールにおける数字分析の第一人者ダリル・モーレイがバスケ用に修正した式が以下である。

【(C) B.LEAGUE】
しかしこれはNBA用の計算式であり、NBAとBリーグでは得点、失点、試合数が大きく異なるためこのまま適用しては大きな差分が生まれてしまう。 そのため過去のデータを用いて算出した係数10(13.91→10)を用いて計算していきたいと思う。

【(C) B.LEAGUE】
■過去のデータ
2020-21シーズン

※WC=ワイルドカード【(C) B.LEAGUE】
このシーズンはアルバルク東京と名古屋ダイヤモンドドルフィンズが順位を落とし、大阪エヴェッサが上昇。その結果、勝率こそ変わらなかったものの、WCでサンロッカーズ渋谷が出場している。
2021-22シーズン

WC=ワイルドカード【(C) B.LEAGUE】
この年は名古屋Dがケガ人などの要因で順位を落としたが、CS出場チームはすべて的中している。
2022-23シーズン

WC=ワイルドカード【(C) B.LEAGUE】
2023-24シーズン

WC=ワイルドカード【(C) B.LEAGUE】
ティム・ソアレス、張本天傑の復帰などロスターが揃った名古屋Dが後半戦に24勝6敗と快進撃を果たしランクイン。 逆にリーグ終盤に6連敗を喫するなど減速した島根スサノオマジックがCS圏外へ外れてしまい、同じく前半戦好調であった佐賀は大きく勝率を下げる結果となったが、 ピタゴラス勝率では6チーム的中という結果であった。
2024-25シーズン

WC=ワイルドカード【(C) B.LEAGUE】
38試合を消化した現時点において、ピタゴラス勝率は実際の順位とほぼ同様の推移を示している。 注目すべきは、1ポゼッション差(3点以内)の接戦を7勝2敗と制している宇都宮ブレックスだ。得失点差を重視するピタゴラス勝率では、接戦での勝利は比較的低く評価される傾向にあるが、それでも東地区首位をキープする予想となっているのは、チームの総合力の高さを示していると言えるだろう。 しかし、後半戦における順位変動の要因として最も重要なのは、選手の健康状態である。右腓骨筋腱損傷でアルトゥーラス・グダイティスを欠くアルバルク東京が現在の勝率を維持できるのか。一方、リバウンドの要であるジョン・ムーニーが復帰した千葉ジェッツはどこまで順位を上げることができるのか。 勝率6割をめぐる上位チームの争いは、まだまだ予断を許さない状況が続きそうだ。
文=しんたろう